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児童文学総合誌 『ネバーランド』 Vol. 8
―てらいんく刊―
〈編集委員〉 井辻朱美 ・ とき ありえ ・ 菊永 謙 ・ 矢崎節夫、
定価 1, 000 円 (本体952円+税)
『ネバーランド』 連載終了のご挨拶にかえて. . .
2007年2月、「ネバーランド」Vol. 8 が刊行になりました。
『ネバーランド』の "カニグズバーグをめぐる冒険" は、ついに最終回です。
昨夏、一番暑いときに草稿を準備していたからか、いま読み返してみると、サルスベリの鮮やかな紅が目にうかんできます。
それにしても. . . 途中で何度、泣きながら逃亡を企てたことでしょう。
この連載は、わたしにはそれくらい苦しく、難しい仕事でした。
にもかかわらず、こうしてなんとか最後まで続けることができたのは、皆様のご理解とお励ましに支えていただけたから.
. . 。言葉では言い表せないほど感謝しています。ありがとうございました。
また、大変にわたくしごとですが、昨年末、12月29日に父が急逝しました。
あまりに突然のことで、ひと月ほどは夢を見ているような気分でしたが、先ごろ四十九日の法要も穏やかに終えることができました。
通夜、葬儀.、法事. . . と、親類や昔なじみの人たちに、ずっと助けられながら、
「わたしはこの土地で、この人たちみんなに育ててもらったんだ. . . 」
という感慨を、あらためて強くしています。
最終回では、くしくもそんな思いにも触れましたので、冒頭の「斜めの関係」の部分、とくに88ページの
"伊豆"が出てくるあたりは、父をはじめ、いまはなき、祖父母、伯父伯母、そして近所のおじさんやおばさんたちにも読んでほしかったなぁ、などと思ったりしています。
今回は、さらに悲しいお知らせもしなければなりません。
2007年1月30日、翻訳家の 原信田 實 (実/はらしだ・みのる)氏が逝去されました。
安らかなお眠りを祈るとともに、ここに哀悼の気持ちを表したく思います。
連載の第一回でもお伝えしましたが、原信田さんは、03年2月、わたしが岩波書店に改訳のお願いをしようかどうか迷っていたときに、背中を押してくれた友人の一人です。
当サイトに「カニグズバーグをめぐる冒険」のコーナーを作ったときには、すべての原文とわたしの試訳とを一つ一つチェックしてくださいました。
原信田さんのお力添えなくして、カニグズバーグ作品の改訂は実現しえなかったと思っています。
また、この連載についてもご自分のことのように親身に. . . 毎回、『ネバーランド』をお送りするたびに、詳細な感想や次へとつながる的確なアドバイスをくださいました。
素晴らしい先生であり、やさしいお兄さんのような存在でした。
来月には、原信田さんがライフワークとして研究されていた広重の浮世絵の本 *1 が、集英社から出版されます。
(刷り上がったご本、見たかっただろうなぁ. . . )
わたしは、せんないことばかりを思っています。
いまはまだ何をどう考えたらいいのか. . . 涙ぐむことしかできませんが、連載の最後でもお約束したとおり、こちらのウェブ版の「冒険」は静かに続けていくつもりです。
あたたかな応援. . . ほんとうにありがとうございました。
これからも、ご指導やご意見をいただけましたら幸せです。どうぞよろしくお願いいたします。
2007年 3月 4日
感謝とともに. . .
渋谷 やみぃ 拝
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