宿に戻れば…1991年3月5日(その4)

ヨインスクの部屋
一畳ぐらいのスペースに小さなせんべい布団一式に枕2個あるのみ。
隣のビルに接しているために光が入らない。別に牢屋ではない。



  19時、宿に戻る。地下道のキオスクみたいなところでクラッカーを買う。300ウォン、約60円。日本なら2〜300円位のものだろうか。自動販売機にてカップコーヒーを買う。200ウォン也。40円位だ。日本なら60円〜80円位だから、物価を考えればまだまだ高い。部屋に閉じこもってクラッカーかじりつつ物思いにふける。さあ、明日からどうしよう。とりあえず観光地ということでキョンジュ(慶州)にでも行こうか。『フリーダム』を見ながら行き方を調べるが、いかんせんバスの乗り方やらシステムやら具体的に知っている訳ではないので「本当にソウルまで行けるんだろうか」と疑問に思ってしまう。少しは言葉の分かる英語圏の国やブラジルならともかく、読めない、話せないではまるっきり、不安も違う。もう少し漢字ぐらい使ってくれればありがたいのだが・・・。
 壁を隔てて人の声が聞こえる。日本語だろうか?どうも韓国語と日本語は音の感じが似ているのでこんなこもった音では聞き分けにくい。しかも外は車の騒音、クラクションがうるさい。しばらく、かまわずにいたがやはり気になるので壁に耳をあて聞き耳を立てる。隣の部屋に行ってみようか、思い立ち部屋を出ると、ちょうど隣からも人が出て来た。トイレに行くようだ。



  最初は結構、不安なものです。高校の修学旅行で韓国へ行った、と言う友人が、「韓国は日本と似ていて、外国っぽくなかった。」と言っていたので、すっかり安心して来たら、買い物の仕方(注・15)から宿の泊まり方(注・16)から食事の作法(注・17)から交通マナー(注・18)等、何から何まで、もちろん韓国人気質も含めて、日本と違うので戸惑ってしまいました。僕が泊まったヨインスクは『ソウル・ヨインスク』という、日本人旅行者の間で有名な安宿で、鉄筋コンクリートの建物です。(現在は存在しているのかどうかは分かりません。)共同トイレ(注・19)と共同のシャワー室(注・20)があります。部屋はオンドル(注・21)になっています。僕の泊まった部屋は、畳1畳強の、布団一枚広げられるぐらいの広さの部屋でした。
注15・買い物の仕方
市場などでは必ず自分の納得できる値段に交渉する、等

注16・宿の泊まり方
ヨインスクや旅館の場合、値段交渉や部屋の下見等をする。予約もしなくて大丈夫。

注17・食事の作法
茶碗を持たない、ごはんは汁物に混ぜて食べる 等。

注18・交通マナー
自動車優先。

注19・共同トイレ
大抵、紙はない。持参すべし。韓国のトイレは 一般に紙を流してはいけない。備え付けのバケツ に捨てるべし。

注20・共同のシャワー室
ヨインスクの場合、水しか出ないこともある。

注21・オンドル
韓国独特の暖房で、床下に熱気を通して部屋を 暖める。床に油紙を敷き詰める。炭を燃料とする ものから電気式の物までいろいろある。

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