英語1 |
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■中学レベル以下 |
旅行から帰るとよく聞かれる質問が、 「言葉はどうしたの?」というものである。 実際、旅行前の一番の心配事がこれだった。欧米人と会話ができるくらいのレベルを100と仮定すると、ゼロではどうにもならないがレベル1ならまだなんとかなる。中高大と少しは英語に触れてきたのでなんとかなるだろうとは思っていたのだがヒアリングはまずほとんどできなかった。ボキャブラリーもポケット辞書頼み。ボクの発する言葉は、 「I want …」と「How much?」くらい。 あとは各国の数字を覚えることと、行きたいところの地名を連呼すること。これで1年間の旅行中の衣食住をこなすことはできた。東南アジアでも旅行者が泊まるような宿では英語が通じるから。 旅行を通して少しは話せるようになったかというと全くだ。今後またどこかへふらりと行く時のために今ボクは英語(主にDVDで映画をヒアリング)を勉強中である。何を言ってるかがわかれば交流もできるかもしれないからね。アフリカへ行くならフランス語、南米に行くつもりならスペイン語も多少知っていた方がいいかもしれない。 |
■どこ行くの? |
ナイトマーケットがにぎやかなタイ[Thailand]のチェンライ[Chiang Rai]。4人部屋のドミトリーで2泊も隣り合わせのベッドで寝ながら「Hi!」という挨拶以外交わせない状態でいた。彼が出ていく最後の朝に声をかけてみた。 「Where will you go?」(どこ行くの?) 「sorry?」(何?) 「Where will you go?」(どこ行くの?) 「Bangkok」(バンコク) 「Un?」(ん?) 「Bangkok!」(バンコク!) 「Oh! Bangkok」(あーバンコクね) ボクはまず、行き先を尋ねるというその単純な質問ですら一発で通じない歯がゆさを覚えた。さらにタイ[Thailand]国内に居て場所を尋ねておきながらBangkokという相手の言った地名が理解できない自分にいらだちを感じた。 彼ら欧米流の発音では語尾のkはほとんど聞こえないに等しい。だからボクの耳で聞いた単語をカタカナで書くと、 「バンコ」 だった。日本人にはバンコクで通っていてそれが当たり前であっても彼らにとってはバンコなのだ。おそらく単語の語尾がtやdであっても同じバンコに聞こえてしまうのだろう。彼ら欧米人はこのわずかな消えそうな音を聞き取ることができるというのか。他にもLとR、nとngなど5個の母音でしか会話をしていない民族には判別しにくいものが多くある。例えば以下の文をネイティブスピーカーに話してもらったらどうだろう。 A:「I can speak Japanese.」 B:「I can’t speak Japanese.」 流暢な英語で話されたら、この2つを聞き取る自身がない。もちろん前後の文脈やその後の会話の展開次第でわかるとは思うのだが…。それに生死にかかわるような重大時でもなければ、こんな小さな違いはどうでもいいつまらないことなのかもしれない。 ちなみに「どこ行くの?」と聞く場合は、 「Where are you going?」 というのが一般的であるようだ。 止まらない咳を二晩続けたまま重いバッグを持って彼は部屋を出た。心なしかボクも喉が痛い。SARSや鳥インフルエンザが近くまで来ているのかもしれない。 |
■ニーママ |
ラオス[Laos]のバンビエン[Vang Vieng]で泊まった宿で受付をしているのはまだ10代に見える若い少年だ。彼は英語の読み書きは全くといっていいほどできないのだが会話は達者で、欧米人相手にひるむことなく洞窟探検ツアーの売込みなどをやっている。 彼が発した言葉に「ニーママ」というものがあった。近くにいた日本人を集めてこれはいったい何と言っているのだ?という議論が始まった。もちろん現地のラオス語ではなく英語だ。二の部分にアクセントがあるようだが何度聞いてもさっぱりわからない。単語1語なのか2語なのかもわからない。紙とペンを持って来て彼に書いてもらったがそのNとMで始まる単語は見たことも無い。彼は単語をアルファベットでは覚えていないのだ。 何分かして誰かが気付いた。 「Never mind」(心配するな、問題ない) 日本人のボクたちにとってはネバーマインドはどこまで行ってもネバーマインドだ。しかし彼が発音するとニーママに聞こえるしそれで欧米人相手に通じているのだ。英語ができなければここで働くこともできないという生活のために身についた英語と、ただ構文と単語を何年間も書かされただけの英語。2つの間の大きな隔たりを実感した。 世界遺産のあるカンボジア[Cambodia]のアンコールワット[Angkor Wat]では、広大な敷地に遺産が点在するため、バイクタクシー(通称バイタク)という商売が幅を利かせている。バイクの後ろに2人乗りし、1日5〜6US$で好きなところへ連れて行ってくれるのだ。その彼の英語も流暢だった。毎日1時間の英語の受講コースに1年間通っただけだというのにだ。 彼に「お前は何年英語を勉強したんだ?」と質問された。中学校から合わせれば10年以上にはなるが、恥ずかしくてその問いには答えることができなかった。ただ、 「今度はもっと英語を勉強してから来るよ」とだけ言っておいた。 |
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