トイレ |
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■現地の病は現地の薬で |
マレーシア[Malaysia]のペナン[Penang]からインドネシア[Indonesia]のメダン[Medan]へ行く船はエアコンが効きすぎる。 蒸し暑い東南アジアはどこも半そでTシャツ1枚で十分なのだがこういう時は困る。一番前の座席で冷気が目の前から直接吹きつける。寒すぎる。カバンから長そでと帽子を出して着用するがとても耐えられない。お腹にきた。 港からメダン[Medan]までのバスに乗る。所要時間はわからないがおよそ数時間。ダメだ、もう我慢できない。バスを止めてもらい紙を持って道端の草むらにかけこんで下痢をした。下痢のつらいところはふんばっても出ないくせにぐるぐるっと鳴ると漏れるのを止めようがない、それでいて突発的にやってくるところ。旅行者誰もが当然遭遇する通過儀礼とは言うがこの時ばかりはどうにもならなかった。薬は持ってない。日本ではたいてい正露丸で治していたけどカバンが臭くなるし現地の病は現地の薬で、必要なモノは必要な時に買えばいいという信条から、各国で薬を購入した。つまりはそれだけほとんど全ての国で腹を壊したということにもなる。多くの旅行者に聞くとトルコの下痢止めはものすごく効くというから一度は試してみたい。 現地で慣れない言葉で薬を買うのは勇気がいる。一応持っていたポケット辞書で下痢=diarrhea(ディアリア or ダイアリア)だと調べたのだけど、そんな初めて聞くような単語が現地の薬局で通じるとも思えない。お腹と尻を指して困ったような顔でジェスチャーすればなんとか通じるだろう。相場もわからないのでボッたくられてるかもわからないし効くのかも不明。飲んで治った気になるしかない。実際たいして効かなかった。無理に下痢を止めるよりも悪いモノは出してしまった方が楽だと後半は薬も飲まずぐるぐるっときたら出す。そんな風に下痢も日常になっていた。 タイ[Thailand]では朝の市場を歩き回っていたらもよおし、宿のトイレ件シャワールームになんとか帰りついたが便器までは間に合わずブバッと床に撒き散らしてしまった。白いシャツまで茶色く汚れてしまった。床一面汚物だらけである。ちゃんと水を流してキレイにそうじしたけどボクの次に利用した人、ごめんなさいネ。 日本でお腹を壊すような人は現地でもやられる。東ティモール[East Timor]に入った日も国境から首都へ行くバスの途中で下痢。車も通らない山道を歩いていたときは川辺で用を足した。 |
■トイレ事情 |
メダン[Medan]で降ろされたものの広くホコリっぽい街は地図を見てもどっちになにがあるかわからない。降りたそばから宿を教えてやるぞという男につきまとわれる。いつもならうるさい寄るなという態度を取るのだけど体調が悪かったので連れられて歩くことになった。が男について歩くうちにまた腹が鳴った。我慢できず廃墟の壁裏に座り込む。間に合わずパンツやズボンまで汚れてしまう。紙はほったらかしたカバンに忘れたので取りに行くわけにもいかない。落ちている新聞や板切れで拭く。汚い。 紹介された宿は高いのでパス。泥棒も出たので注意というザキア[Zakia]へいく。ドミトリー10000Rp(≒140円)というので決めたのだけどチェックインの名前を書く前にトイレにかけこんだ。この旅行中最もひどい下痢である。寝ていても休んでいても間断なく襲ってくる苦痛。紙切れという事態からボクはとうとう手で尻を拭いた。 地球の歩き方東南アジア編によるとこうだ。 □トイレ事情 「台湾、香港、シンガポールを除くほとんどの国のトイレでは、トイレットペーパーを使わない。もともと習慣として紙で事後処理をしないのである。たいていどこのトイレでも、水をはったバケツやシンクがあり、柄の付いた桶が置いてある。これで流しながら、手(普通は左手)でジャブジャブと洗い、自然乾燥。即席手動ウォシュレットである。これでキレイさっぱり、お尻は清潔に保たれるというわけだ。… □トイレットペーパー使用上の注意 「もともとトイレットペーパーを使わない国では、トイレットペーパーを流せばすぐにつまってしまうことが多い。トイレにはたいていゴミ箱があるので、使ったトイレットペーパーは流さずゴミ箱に捨てよう。 最初は嫌悪だった。尻も左手もどんなに洗ってもキレイにはならない気がした。ズボンをおろし水で流しながら洗うという慣れないやり方ではくつや服も濡れてしまう。用を足して洗った後そのままパンツをはくことになるので湿った感触がしばらく続く。いくら暑くて早く乾くといっても気持ちのいいものではない。 中国[China]の麗江[Lijiang]で会った旅行者は、「その方が清潔です」という。タイ[Thailand]のカンチャナブリ[Kanchanburi]で会った旅行者は、「ケツを拭いた紙を始末する人のコトを思うとオレには紙を捨てることができない」といった。 立派でぐっとくる意見ではあるが、潔癖国日本で育った者にとってこの時はまだ抵抗が大きすぎた。 しかし慣れてしまうものでインドネシア[Indonesia]以降ボクは大便をしたあと、ケツを手桶の水と左手でジャブジャブするようになった。紙の用意をする必要がなくて楽なのと自分の指でこそぎとるという感覚がかえってキレイであるような感じになったのだ。逆に水と桶がない清潔なトイレの方が不安で落ちつかなくなってしまうくらいに。 朝出発する前は大をしておかなければならない。日本ではもよおしたらコンビニにでもかけこめばいいが、旅行中はどこにでもトイレがあるわけではない。むしろない方が当たり前。特に長距離バスに乗っている間は、そのバスが次の町まで何時間かかるかどこで休憩するかもドライバーの気分しだいだったりする。小ならまだいいが大ともなると、バスに置いていかれてしまうなんて事態になったら大変だ。だから出発する朝は出なくても無理に出しておかなければならない。ボクはうんこが嫌いなのでこの習慣がイヤだった。 アジアの公衆トイレではお金を取られる。かといってキレイなわけではないのがしゃくなので使わない。10円20円というたいした額ではないのだが至れり尽せりな日本のトイレが無料なことを考えればこの汚さにお金を払うことが許せなかった。トイレおばちゃんなんて1日中トイレの前に座っているだけじゃないか。それが商売なのかよ暇人め。 下水道も汲み取りポンプ車も走っているわけではないので、汚物はみな建物の下に掘った穴に流れるだけ。水分は地面に吸収され他は時間と共に分解される。紙は分解しにくいので流さないのが習慣なのだろう。 インドネシア[Indonesia]のモニ[Moni] で会った旅行者は10年くらい世界のあちこちに行っているが下痢をしたことがないという。そればかりか水を買ったこともないのだという。普通に現地の水を持参したペットボトルに汲んで使いまわしている。生水を避け売っている水だけしか買わないボクが毎週のように下痢しているというのにうらやましい限りだ。彼は言う。 「日本の水だって美味くないじゃん」 そういうものか。 |
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