洗濯 |
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■石けん1つ |
日本で生活している時は、平日昼間働いてたまった洗濯物を週末一気に洗って干すというサイクルだった。パンツシャツ靴下は一週間分以上は所持していたことになる。旅行中は宿にいつも洗濯機があるというわけではない。ランドリーサービスがあるところもあるがお金を出してクリーニングしてもらうくらいなら自分で洗ってやるという気持ちになっていた。出発時、Tシャツは3枚しかないしパンツは2枚タオルは小さいもの2枚靴下2足だけ。必要になったら買えばいいくらいに思っていた。現地で買った方がおそらく安いだろう。 毎日洗濯するのもめんどくさい。だいたい洗濯といっても手洗いだ。たいていは数日同じモノを着ていることになる。汚れたり臭ったりするがココは清潔天国日本ではない。周りも汚いし誰も気にしない。とても楽な生き方だ。ボクには合っている。 ほぼどこの町も1泊2泊して次の町へ向かうというサイクルを繰り返していた。 「もう行くの?」と聞かれることもある。たびそらの三井さんのようだ。 でもボクが探している町はここではない。ここにはない。そうやってバスを乗り継いで次の町次の国へ進んでいった。 洗濯はバケツを借りて石けんでシャツの襟首や脇を適当にこすってなんとなく汚れが落ちた気になればいい。ずぼらなO型だから。ゆすいで干してひと晩もすればだいたい乾く。白いシャツはよく汚れる。鼻の頭の汗をそでで拭えば砂埃とともに茶色くなる。場所によってはものすごい砂煙で、バスに乗っているだけでシャツは真っ黒になる。ある旅行者は同じルートを通った時のシャツはさすがに洗っても無駄だと捨てるハメになった。 特に毎日目的があるわけではない。ヒマだから洗濯もいいのだけどやっぱめんどくさい。バケツに洗剤を入れひと晩浸けておくだけで真っ白に落ちるのだとミツオさんは言う。酵素パワーは違う、と裏の洗い場に忍びこんで洗剤をちょろまかしたりセコイ知恵を教えてくれた。バケツに手を突っ込んで回し手動洗濯機だという奴もいる。ボクは洗剤を持つのも買うのもなんだし、指がアレルギー体質でボロボロになってしまうので石けん1つで済ませていた。坊主頭も洗顔も体も全部石けん1つだ。日本で使っていたシャンプー、トリートメント、洗顔、ボディソープ、洗剤は無用な贅沢物品だったのだ。 Gパンはさすがに手洗いでは無理があった。一度水洗いしてゆすいだがしぼってもしぼっても茶色い液体が際限なくしたたり落ちる。汗だか泥だかわからない。しかも乾きづらい。オススメできない。絞る握力も限界だ。こればかりはランドリーサービスのお世話になった。数ヶ月に一遍くらいなので叩けば砂が舞うくらい汚れたズボンを毎日はいていたことになる。 ラオス[Laos]のビエンチャン[Vientien]で韓国人経営のRDゲストハウスに泊まった。韓国人に限ったことではないのだが、日本人以外の民族はどうやら洗濯後脱水という行為を行わないようだ。シャワールームからぽたぽた水を垂らしてそのまま屋上に干す。確かに暑いのですぐ乾くのだけど、日本人のボクとしてはしぼれるだけしぼってから干す。その方が早く乾く気がするから。 |
■タオルにはタオルを |
京都で会った女性のお話。 オーストラリア[Australia]でバスタオルを干していたら盗まれたという。女性モノ目当ての泥棒ではなくただ単にタオルが欲しかっただけらしい。犯人は同じ宿に泊まる外国人だった。翌日堂々とそのタオルを使用して堂々と干していた。ので女性は取り返した。 すると、なぜ盗むんだ?と逆に詰め寄られた。自分のモノだから取り返しただけだと答えた。相手はオレが使っていたんだからオレのものだと譲らない。そんなバカなことはあるか私のタオルじゃない?と他の人に相談したところ、 「それは君が悪い。例えどんな状況があろうとも君が盗んだという事実には変わらない」のだという。目には目を歯には歯をという理念は通らない。あまりにも悔しいのでそのタオルは結局捨てたという。 日本では自分のモノはどうあろうと自分のモノだ。取り返すのは正当な行為として認められる。オーストラリア[Australia]では盗むという行為そのものを見て非難されるということか、それとも盗まれるような危機感のない人が悪いというのか、主張したものが勝ちなのだろうか。それが価値観の違いというものだろうか。 相手が銃を持ちこちらに向かって構えている。その時あなたは武装するために自分の銃を持つか? その女性は、例え撃たれて殺されることがあったとしても絶対に自分は銃を持たないと言い切った。その時はその時であきらめがつくという。ボクも全く同じ考えに今は至っている。死んでもかまわない。自分の身を守るため、少しでも生存の可能性があるというならば皆は銃を持つのだろうか。その考えも悪くはないと思う。ただそれが国家レベルにまで発展すると疑問がある。 軍備を増強しいつまでも終わりのない戦争と紛争を続けることになるのではないのだろうか。日本はアメリカに守られている。そのおかげでここまで発展してきた。でももうそろそろ武器を手放してもいいのではないだろうか。少なくともボクは競技や娯楽であっても銃を持つ気はないし撃とうとも思わない。多くの人がそう思っているなら武器は減らせるハズだし醜い殺し合いも減る。 青い空には戦闘機よりも風にたなびく真っ白なシャツを干したい。 |
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