戻るトップに戻る
 
■トラウマ
 ボクは犬が嫌いだ。というより動物全般が苦手だ。
 小中学生の頃、近所のヨウくんが散歩途中の犬の頭をなでようとしたところ、意に反してガブリと噛みつかれてしまった。ヨウくんは病院行き。瞬間を目の当たりにしたボクは今でもその光景をたびたび思い出すほどのトラウマとなった。ボクが噛まれたわけでもないのに。
 朝のジョギング中ににらみをきかせて道を塞がれたり、早朝の新聞配達でけたたましく吠えられたり尻尾を踏みつけてしまったりフンで靴を汚してしまったりいい思い出はない。
 
■そんなに臭いのか
 インドネシア[Indonesia]のバリ[Bali]へ行った。ビーチと芸術、自然にあふれる島である。さほど大きくはない島だが見所は多く北から南までぐるっと一周しながら2週間滞在した。ちょうど真ん中、標高の高い所にウブド[Ubud]という世界中のアーティストが集まるといわれる町がある。各々の家もふんだんに装飾が凝らされており、入って中にお邪魔したくなるようなデザインのものが多い。
 移住してしまう人も多く、竹細工の家具製作修行という目的で来ている日本人もいた。気温も低く過しやすい。
 ボクもすこしのんびりと、とは考えたのだが難点がひとつだけあった。犬である。
 ほぼ全ての家で1頭は飼っているだろうと思われるほど道端でよくみかける。野良犬を含めると10Mおきに居座っているといってもいいくらいだ。それがまたボクに対して明らかに敵意をムキだしにして吠えかかってくるのだ。ボクは町中をただ散歩したいだけだというのに嬌声の大合唱である。ヤツらはどんな菌を持っているかもわからない。噛まれでもしたら一大事だ。最悪帰国というハメにもなるだろう。結局ボクは道路の反対側までよけて足音も静かにおびえながら町を歩くことになる。
 ほぼ全ての犬からこれほどまでに嫌われるというのはボクが臭いからだろうか。確かに靴は洗ってないし靴下もシャツもパンツも何日を同じものだけど。
 町を出る最後の朝、宿を出てターミナルへ歩くボクを背後から迫ってきた一匹が左足に噛みついた。幸いなことにGパンの上からかすられた程度でふくらはぎに傷はなかった。どうやらこの町では望まれなかった旅行者のようである。
 
■健康予防
 旅行先では自然や動物に触れる機会も多くなる。キレイだかわいいなどと油断せずに最低限の安全は考慮に入れておいた方がいい。
 タイ[Thailand]のカンチャナブリ[Kanchanburi]では、自転車で数時間の所に『この木に何の木気になる木』に出てくるようなジャイアントツリーがあると勧められた。しかしその途中には難関の狂犬がいるのだという。ある日本人は運悪く噛みつかれて病院送り、またある1人はあまりの吠え声と恐ろしさに木までたどり着けず引き返してきたという。ボクはびびって行くのをやめゆっくり宿で寝ることにした。
 ラオス[Laos]のバンビエン[Vang Vieng]では有名なミスターケオの洞窟探検ツアーがある。通常は10$だが日本人は5$となった(ミツオさんに交渉してもらった)。探検前、畑広がる民家の屋外で食事をすることになった。ココに小さく愛嬌のあるサルがいた。さとこさんはヒョウヒョウとした恐いもの知らずの女性。サルと戯れていたが、顔をバリッとひっかかれた。跡は残らなかったが、何かに感染でもしていなかと少し不安になった。ボクはもちろんサルなど相手にしない。
 そうやって動物に対しても人に対しても交流していこうとしない姿勢こそが、つまらない旅行をつくってしまった原因なのだろうか。
 
戻るトップに戻る前へ次へ