論理哲学論考 1-7 6.1-6.5 6.41-6.45 6.431-6.432
      
6.431 死の際にさえ、世界は変わらない。終わるのだ。
6.4311 死は生〔des Lebens〕の出来事ではない。死をひとが体験することはない。
ひとが永遠ということを無限の期間ではなく、無時間性と解するならば、現在において生きている者は永遠に生きている。
我々の視野が限り無いのと同様、我々の生は果てし無い。
6.4312 人間の魂の時間的不死性、つまり、魂が死後にも永遠に生き続けることは、到底保証されない。そればかりか、この仮定は、とりわけ、ひとが恒にそれによって叶えようとしていることがらを全く果たさない。そもそも私が永遠に行き続けることによって何か謎が解かれるのか? それに、そもそもその永遠の生は現在の生と同様に不可解ではないか? 空間と時間の中の生の謎の解決は、空間と時間の外に位置する。
(解かれるべきは自然科学の問題などではないのだ。)