論理哲学論考 1-7 6.1-6.5 6.11-6.13 6.121-6.127
      
6.123 ひとつの論理法則そのものがまた何らかの論理法則に従属してはならないことは明らかだ。
(それぞれの「タイプ」にラッセルが考えたように固有の矛盾律が存在する訳ではない。矛盾律は、それ自体には適用されないのだから、ひとつで足りる。)
6.1231 一般的妥当性は論理的文の徴ではない
一般的であるとは、たまたま総てのものに当てはまることを意味するに過ぎないのだ。一般化されていない文は一般化されている文と全く同様にトートロジカルであり得る。
6.1232 論理的な一般的妥当性を、ひとは、例えば「総ての人間は死ぬべきさだめにある」のような偶然的なものと対照的に、本質的と言うことができるだろう。ラッセルの「還元公理」のような文は論理的文ではない。そして、このことは、そうした文は、真だとしても、もっぱら都合のいい偶然によって真であり得ているだけなのではないか、という我々の感じを説明する。
6.1233 還元公理が通用しないような世界は考えられ得る。だが、論理は我々の世界が実際そうであるか否かという問いには何の関わりもないことは明らかだ。