論理哲学論考 1-7 5.1-5.6 5.51-5.55 5.551-5.557
      
5.552 我々が論理の理解に必要とする「経験」なるものは、何かがしかじかとなっていることではなくて、何かが在ることだ。だが、これはとにかく経験ではないのだ。
論理はあらゆる経験――何かがそうあること――に先行する。
それは如何にに先行する。何にではない。
5.5521 もしそうでなかったならば、どうして我々は論理を適用し得るだろうか? ひとはこう言い得るだろう: たとえ世界が存在しなくとも何らかの論理は存在するのだとすれば、世界が存在するとき、どうしてさらに別の或る論理が存在し得るだろうか。