論理哲学論考 1-7 5.1-5.6 5.51-5.55
      
5.54 一般的文形式では、ひとつの文がひとつの文の中に現われるのは、もっぱら諸真理オペレーションの基底としてだ。
5.541 一見、或る文は別の或る文の中に別の仕方でも現われ得るかのようではある。
特に、「A は p が成り立っていると信じている」や「A は p と考える」等々のような心理学の或る種の文形式において。
ここでは、表面的には、文 p が対象 A と或る種の関係にあるかのような訳だ。
(また、現代的認識論(ラッセル、ムーア等々)においても、こうした文は実際そう解されてきた。)
5.542 だが、「A は p ということを信じている」、「A は p と考える」、「A は p と言う」が「「p 」は p と述べる」という形式をもつことは明らかだ。そして、ここで問題なのは、或る事実と或る対象の対応づけではなくて、諸事実の対象間の対応づけを通じての、事実間の対応づけなのだ。 〔5.5421-5.5423