論理哲学論考 1-7 5.1-5.6 5.51-5.55 5.511-5.515
      
5.515 「∨」や「 . 」等々によって結び合わされるのは諸文でしかあり得ないことは、我々のシンボル全般に自ずと顕現するはずだ。
そして、実際そのとおりだ。シンボル「p 」や「q 」そのものが「∨」や「〜」等々を前提とするのだから。「pq 」における記号「p 」がどんな複合的記号も代表していないならば、それは単独では意味をもち得ないが、そうすると、しかし、「p 」と同じ意味をもつ記号「pp 」や「p . p 」等々もまた何の意味ももち得ない。ところが、「pp 」が何の意味ももたないならば、「pq 」もまた何の意味ももち得ない。
5.5151 ネガティヴな文の記号はポジティヴな文の記号から形成されなければならないのか? 何故ひとはネガティヴな文をネガティヴな事実によって表現し得ないのだろう。(例えば、「a 」が「b 」に対して或るひとつの関係にない場合、そのことは aRb が成り立たないことを表現し得るかも知れない。)
だが、やはりその場合でも、ネガティヴな文はポジティヴな文を通じて非直接的に形成されているのだ。
ポジティヴなはネガティヴなの存在を前提とせざるを得ず、逆もまた成り立つ。