論理哲学論考 1-7 4.1-4.5 4.11-4.12
      
4.11 真な文の総体が全自然科学(あるいは種々の自然科学の総体)だ。
4.111 哲学は自然科学の一種ではない。
(「哲学」という語は、種々の自然科学に並ぶ何かではなく、それらより上か下かに位置するものを指すはずだ。)
4.112 哲学の目的は思考全般の論理的浄化だ。
哲学は教えではなく、活動だ。
哲学の作品というものは本質的に諸註解から成る。
哲学の結果は「哲学的教義」などではなくて、諸教義の明晰化だ。
哲学はそのままでは謂わば濁っていて曖昧な思考全般を明晰にし、はっきりと限定すべきだ。 〔4.1121-4.1122
4.113 哲学は自然科学が反論可能な領域を限定する。
4.114 哲学は思惟可能な領域を劃定し、そして、それによって思惟不能な領域を劃定すべきだ。
哲学は、思惟可能な領域の内側から、思惟不能な領域を限定すべきだ。
4.115 哲学は、所述可能なことがらを明確に表わすことで、所述不能なことがらを暗示するだろう。
4.116 そもそも考えられ得ることがらの総ては明確に考えられ得る。言い表わされ得ることがらの総ては明確に言い表わされ得る。