論理哲学論考 1-7 4.01-4.06 4.041
      
4.041 ひとは、もちろん、この数学的多様性そのものをさらに写すことはできない。写しの際にこの多様性の外に出ることはできない。
4.0411 我々が、例えば、「(x ) . fx 」によって表現していることがらを、「fx 」の前にインデクスを附けることで――例えば「Alg . fx 」というように――表現しようとしても、うまくいかないだろう――我々は何が一般化されているのか判らないだろう。それをインデクス「a 」によって――例えば「fxa 」というように――呈示しようとしても、うまくいかないだろう――我々は一般性表示の範囲が判らないだろう。
それをアーギュメントの座にマークを導入することによって――例えば
「(A, A ) . F (A, A )」
というようにして――どうにかしようとしても、うまくいかないだろう――我々は変数の同一性を確かめることができないだろう。以下同様。
これらの表示方法は何れも、必要な数学的多様性をもっていないため、十分ではない。
4.0412 同じ理由から、「空間眼鏡」による空間的関係全般の観取という観念論的説明は十分ではない。それは当の諸関係の多様性を説明し得ないのだから。