『ルーヴルの怪人』    
Belphegor - le Phantome du Louvre

 別にミイラが動き出して人を襲うわけではありませんが、とりあえずミイラの話に分類しておきます。
 アルチュール・ベルネード原作。1927年に新聞連載小説と映画というメディアミックスで発表された『ベルフェゴール』を、ジャン=ポール・サロメ監督が再度映画化したものです。今回の作品でミイラの発見者がデフォンテーヌ教授となっていますが、27年の映画を撮った監督の名前がアンリ・デフォンテーヌでした。65年のテレビドラマ版『ベルフェゴールは誰だ!』(シャンソン歌手ジュリエット・グレコが主演)が有名で、01年にはテレビアニメ化されています。各々ストーリーはかなり違うようですが。ともあれ、フランスではファントマやオペラ座の怪人に並ぶ国民的怪談らしいです。
 改装中のルーヴルから謎のミイラと名前が消された棺が発見され、それを機に40年ぶりに「ルーヴルの怪人」ベルフェゴールが現れる。怪人は夜毎ルーヴルを徘徊し、夜警を殺しては陳列された呪具を盗むのだった。ミイラから出たバー(魂)に乗り移られた付近住民リザこそが怪人の正体で、棺から名前を消されて現世に縛られたバーは、儀式を再生して成仏しようとしていたのだ。
 原作を知らない者にとっては、ソフィー・マルソーの何様女優ぶりが唯一のポイントです。と言ってもわかり難いと思うのでもうちょっと詳しく説明します。主役を大女優が演じるという前提で構成された企画・脚本なのですが、その大女優とはソフィー・マルソーなのです。…この冗談が面白いと思った人にはおすすめの映画。面白くなかったという人には見所はありません。

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『ルート666』    
Route 666

 オモシロ映画。監督はウィリアム・ウェズリー。
 証人護送中の連邦職員たちは、近道と思って廃れた砂漠の旧道「ルート666」を通ります。この道は囚人が作った道だったのですが、工事中の謎の事故で4人の囚人が死んで以来、その幽霊が出るために封鎖されたのでした。幽霊とはいえ不死身の実体を持ち、鶴嘴やドリルで人を襲う様子はゾンビそのもの。4人は自分たちの舗装した道の上なら任意の場所に出現可能で、道路は被害者の血を吸い、エネルギーを4人に与えるのです。
 怪談としてかなり洗練された設定です。実際にこういう都市伝説があるのかもしれません。大作ではありませんが、綺麗にまとまった佳作映画でした。

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