モニターオーディオ Gold Signature 20   定価\441,000 (2006年1月発売、07年5月購入)


 英国モニターオーディオが最高音質を目指した“金字塔”  

正面




    主な特徴

 1.高剛性と表面積増加をもたらすRigid Surface Technologyを採用した
   165mm口径のミッドバスとバスドライバ
 2.43kHzまでの再生を可能にする25mm口径・新C-CAMゴールドドーム・トゥイーター
 3.ダイキャストと亜鉛を組み合わせ共振をキャンセルするユニットシャシー
 4.低重心で安定した設置を可能にするアルミダイキャストベース
 5.プレミアム・グレードの突き板を採用し、内部補強も充実したキャビネット
 6.キャビネットを上下に仕切り、上半分を2Way、下半分をバス動作させる2.5Way駆動
 7.■能率:89dB ■周波数特性:32Hz-43KHz ■重量:20.6Kg/台
   ■本体寸法:W206xH924xD280mm(スパイク使用時高さ:964mm)
 
   ⇒ 関連リンク : 「写真で見るGold Signature



    音 質   ★★★★★

 本機を購入してからしばらくの間、部屋の音響特性が原因で
 真のパフォーマンスを発揮させることができなかった。
 本機の放射するエネルギーが強烈なため、部屋の反射が多いことで
 特に低音のバランスが崩れていた。クローゼットやドアを開けて
 適度に音を抜けさせることで解決することができた。
 詳しくは「部屋の音響特性で音が激変!」をご覧いだたきたい。
 
 第一印象としては、まず低音のエネルギーがすごい。
 私はちゃんとしたトールボーイスピーカーの音を聴いたのは本機が初めてだが、
 高品質なバスユニットを十分な容量のキャビネットに収めたら
 こんな音が出るのか、ということを初めて知ったのである。
 一聴してすぐに、サブウーハー「YST-FSW100」が不要だと分かった。
 本機でこれだけのエネルギーを出すのなら、ダブルバスユニット構成の
 上位モデルGS60は一体どういうことになるのか、見当もつかない。
 
 宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」、最近頻繁に聴いている曲だ。
 「シルバースタジオ1」でもかなり低音が出るソフトだが、
 本機はレンジがさらに下まで伸びて、エネルギー量が段違い。
 本機は超低域まで実に歯切れ良い低音が出る。
 そのおかげで超低音までの音階がはっきり聴き取れる。
 本機とシルバースタジオ1を聴き比べると、ブックシェルフでは
 箱鳴りと量感でごまかされて、低音の音階が曖昧になっていることに気付いた。
 
 また、高音についても実に鮮明で、「チキチキシャカシャカ」という音が
 聴きやすくなっているし、宇多田ヒカルの若干ハスキーな声もよりクリアに聴こえる。
 シルバースタジオ1につなぎ替えて聴くと、「こんなに曇った音だったっけ??」
 と思えるほどの差を感じてしまった。
 
 ジャズはイイ。これはイイ。何がイイって、バスドラのアタックが
 今まで聴いたことのない臨場感。「ドスドスッ」という音が、本当に目の前で
 バスドラが叩かれている!その衝撃が胸まで伝わる。
 ドンと出てキュッと締まる、後に引かない低音が気持ちいい。
 シンバルの音も実に鮮明、本機でジャズは最高である。
 
 テクノミュージック、シンセの低音が大変なことになる。
 大した音量でもないのに、耳を圧迫されるようなエネルギー。凄い。
 このCDは友人S戸氏のものだったのだが、S戸氏も驚愕していた。
 
 映画「タイタニック」のサントラ。
 テーマは静かな曲で、ハミングのバックに大太鼓が鳴っているのだが、
 これも今まで聴いたことがない、本当に目の前で大太鼓が鳴っている!
 胸に腹に響く太鼓の音、実に気持ちがいい。
 
 オーケストラも、やはり大太鼓や弦楽器の低音に乗っかって、
 フルート、オーボエ、シンバルなどの高音が気持ちよく伸びていく。
 
 映画「U−571」。これは明らかにサブウーハーは要らない。
 爆雷の衝撃はもう十分。バックに流れる音楽はオーケストラはわけだが、
 大太鼓からシンバルまで十分な再現性を持っている。
 
 ライブDVD「White Snake」という海外ロックバンドのもの。
 5.1ch収録のソースだが、本機はサブウーハーなしでも何の問題もないどころか
 今までサブウーハーを使ってきて聴いてきた音以上の音を出している!
 バスドラのアタック感、エレキの鮮明さ、シンバルの粒立ち。
 何よりも音楽全体にエネルギーが詰まっている、その感じ。
 ロック最高!と叫びたくなるようなノリになってしまう。
 
 
 それまで使っていたシルバースタジオ1と何度もつなぎ替えて聴いたが、
 本機の音を聴いた後では「今まで本当にこんな音で聴いていたんだっけ、、、??」
 と思ってしまう。とにかく本機の出す音にはエネルギーがある、余裕がある。
 超低域から高域までビシッと出る。ブックシェルフとは違う世界の音である。
 10万円と40万円の差はしっかり感じさせてもらった。



    デザイン   ★★★★★

 まあこれは「写真で見るGold Signature」を見ていただければ分かるだろう。
 値段が値段、あらゆるところにコストがかけられているから、
 「高級“感”」ではなく「高級」な物、という感じで溢れている。
 キャビネットの質感、ユニット、ユニットのフレーム、メタルベース、
 スピーカー端子、天面のエンブレム、どれも最高の品質と言っていいだろう。
 ローズマホガニーのキャビ色も落ち着いて気品があって良い。
 シルバーのユニットとのコントラストも、両者を引き立たせる。
 
 トールボーイとしてのバランスも良いと思う。
 ユニットが165mm径であることから、幅も20cmそこそこに抑えられているが、
 これ以上幅が広がると野暮ったくなってくるような気がする。
 それから奥行も30cm以下に抑えられており、家庭用として無理のないサイズに
 まとめられていると思う。20kgという重量も、移動・設置に無理のない範疇だ。
 同価格帯のトールボーイでは幅・奥行が大きかったり、重量がさらにあるものも
 あるなかで、本機のサイズ・重量は適正なところに収まっていると思う。
 
 評価のダイナミックレンジが★5個までしかないので★5個だが、
 ★5個を超えて、もう殿堂入りのレベルである。
 形状で奇をてらったところはないが、本道を極めた一品。



    総 評   ★★★★★

 ブックシェルフとトールボーイの差、10万円と40万円の差、
 その差を明確に感じ取ることができた。「本物のオーディオ」に触れた。
 低音から高音まで、俊敏で正確。エネルギーに満ち溢れている。
 それでいてもちろん、音楽性にも溢れている。
 何よりも、一聴してのインパクトが違う、余裕が違う。
 部屋の音響特性が原因で、しばらくの間は正しい評価ができていなかったが、
 本機の放射するエネルギーが強力であるがゆえに発生した現象である可能性が高い。
 くしくも本機の持つポテンシャルがこういった格好で現れた形になった。
 
 デザインは文句の付けようがない。形としてのデザイン以外にも、
 本機のコンセプトも明確なように感じるし、調整器具が付属したり、
 商品の全体像を見た時に非常に良くまとまっている印象だ。
 
 「Gold Signature」というブランド名に恥じない、素晴らしいスピーカーである。





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