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BSD物語

俗に季節の変わり目は体調を崩しやすいと言いますが……
 
 
 

CH73:冬と春の合間で
 
 

「っくしょん!!」
「大丈夫ですか? ご主人様」
「ああ、急に寒いところに出たからちょっとむずむずしただけだよ」
「病み上がりなのですから無理はしないで下さいね」
「そうは言っても冷蔵庫が空じゃあ買いに行くしかないだろう」
「まぁ、荷物は私がお持ちしますしご主人様は暖かい格好でゆっくり憑いてきて下さいな〜。おやつは300円までバナナは別途計算ですわ〜」
「遠足の買い出しじゃないって」

新年明け早々、管理人はかなり酷い風邪を引いた。消化不良続きすっかり体力を失った。それが明けたかと思いきや今度は39度の高熱、医者に再び駆け込んだ所インフルエンザの陽性判定が出て屋敷に監禁、結果新年イベントもヴァレンタインイベントもすべて寝て過ごすという無惨な結果に終わったのだ。

教訓:ワクチンはきっちり打っておきましょう

それはさておき、屋敷で唯一の人間が倒れた状態において不要となる行為が一つあった。それは「料理を作ること」。普段こそ彼女らネコミミメイドUNIXメイドは私に会わせてご飯を食べているが本性がOSな彼女たち、それこそ電気だけでも十分活動は可能なのだ(電子精霊なメイルや美宇も同様である)結果、屋敷にあった食料は寝て養生する私の分だけで十分と言うことになり、多少は蓄えてあった食料は保存食を除き全て空っぽ、ようやく体調が全快した私の最初の仕事が生鮮食料品の買い出しと相成ったのだ。

昨今のメイドカフェブームのおかげとティナの活動履歴の長さと言うこともあり屋敷の近所でなら彼女たちはそう奇異に見られることもなくなった。たまに訳が分かっていない人たちから撮影を依頼されたりするがティナ達はそれを丁寧にお断りしている。まぁ、盗撮等しようとしても相手が悪すぎるのだが……

ふと、有る用事を思いだし花屋に向かう

「ご主人様? 花屋にご用ですか?」
「知り合いでちょっとおめでたいことがあってね、当日はその場にいけないから変わりに花を送ろうと思って」
「赤いバラですか? また大人っぽい選択ですね」
「大人っぽいって……僕をいくつだと思って居るんだ!?」
「25歳かと」
「そんな訳あるかぃ!!」

店頭での漫才も程々に申込用紙に必要事項を書き込む。先方の住所等はメモを見ながら書き込んで……なんでPDAじゃないかって?PDAに入力したらティナ達に詮索されるからなぁ……

「はい、こちらが領収書になります。ありがとうございました〜」
「レイナ、お待たせ。買い物は済んだ?」
「お任せ下さい。今日は水菜の良いのが入りましたので色々腕を振るわせていただきますわ〜」
「じゃあ、帰ろうか!」

知り合いから借りてきたワゴンRの後部座席一杯に買い込んだ生鮮食料品を山積みにし。我々は屋敷へ帰ったのだった。
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その73

今回のコメントは2006/03/05以降公開されました。

「あら? これは何かしら」
管理人が脱ぎ散らかしたコートをハンガーに掛けていたティナはポケットから落ちた青い複写紙に気が付いた。それは先に花屋から受け取った花宅配便の領収書だった。
「え〜と、申込人は……ご主人様のお名前ですね。送り先は……あら?」
領収書に記載された送り先を見て、ティナはふと、気になった。どこかで見覚えがあったのだ。早速中空にウィンドを一つ展開、住所検索から送り先を追跡すると……

「メイル、聞こえますか?」
「ティナおねぇちゃん!? 一体何事!!? 緊急エマージェンシーコールだなんて!!」
「この住所、見覚え有りますわよ、ね?」
「何もそんな地獄の底から響くような声出さなくても……(^^ゞ  あ、此処前行ったこと有るよ。ご主人様が携帯落としたところだ」
「ふふふ、そうですか……今宵の妖刀アクセスリストは血に飢えていますよぉ……」

その夜、屋敷から悲鳴が上がったとか上がらなかったとか真偽は定かではない