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BSD物語

とあるソーシャルネットワークに管理人が参加したとき、自画像としてティナを代理で対応させた。それが不味かったらしい。
 
 
 

CH74:VR
 
 

ティナです
某所で2足型歩行猫型ロボットに似ていると言われました
ティナです
いくら胸が無いからってあんな寸胴と一緒にしないで下さい
ティナです
確かに時々ドジもしますがあそこまで抜けてはいません
ティナです
ティナです
ティナです……
 

「お〜い、帰ってこ〜い」
「ご主人様、申し上げにくいのですがティナはああなると当分帰ってきません。暫くそっとしておく方が良いかと思われます」
「問題は反転したとき何だけどねぇ」
「確かに。今度の反転はどうなるのかしら…」
「え? 反転?」

管理人も時々酷く落ち込みはするが、反転と言う衝動の意味が分からない。どう言うことだ?

「ティナはですね、ああやって落ち込んで最下層まで達すると今度は文字通り反転して対象を攻撃することが有るんです。今回は……まぁ初見の方の書き込みはともかく、常連でありながらあの発言のきっかけになったR軍曹ではないでしょうか?」

「それなら安心かな、原因のR軍曹は木星軌道上の電脳仮想戦争に参戦真っ最中だし……って、居ない!!?」

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[こちらRNAエウロパ基地、試験中のデバイスTD04325がサイバージャックされた。現在犯人は衛星軌道上をガニメデに向かって逃走中、ガニメデでスイングバイ(天体の重力圏を利用する加減速法)する物と思われる。同方面軍展開中の各部隊はこれを捕捉破壊せよ! なお、機体の保持の必要はない!]

[出動命令だ。現在我々の部隊が逃走強奪犯を最も早く捕捉、撃破できる位置に居る。なお、我々のRAIDEN部隊のサポートとして両舷より0x391部隊と0x392部隊が遠距離砲撃を行う予定である。今回のミッションは同じ陣営の機体を攻撃する事となるが出撃前に該当機体のみ火器管制制限対象外となり攻撃可能となる。なお、全兵装使用自由である。作戦を遂行されたし]

「おいおい、何だよこの命令は。帰還前に割り込みミッションかよ」

R軍曹……本名は不明。この電脳仮想戦争にそんなのものは不要だ……は愛機のRAIDEN512Aのコクピットの中で一人ごちた。彼は今、ガニメデでのミッションを終え、ちょうどこれからエウロパへ帰還するところだったのだ。彼の機体は衛星間機体輸送船「Kobayashimaru」内部で3分間出動可能状態で待機中だった。衛星間巡航速度まで機体を運ぶ船体が加速するまでは敵機体からの攻撃を受けると衛星からの重力圏から離脱できないためこうして護衛することとなっている。しかし、実際の所そういったことは極めて希で単なる習慣……であるはずだった。

「フューイ通信官、TD04325ってのは一体何だったんだ?」
「ブースター・ユニットKK-66ってのはRAIDEN乗りなら知っているな?」
ザザッ
「例の限定発売されたRAIDEN用高機動ブースターだったか。相当ピーキーになるはずだが」
ザザザッ
「そのKK-66をベースに単機で衛星間巡航速度まで加速できるブースターと長距離砲撃能力、それを行うのに必要な索敵能力を与えるレーダー群をワンセットにした追加パーツだ。コードネームが[TD04325]開発部での愛称が[DeepStriker]だ。端的に言うとRAIDENに巡洋艦用の核パルスエンジン2機と砲撃戦艦主砲を1門更に索敵艦用の全方位レーダーと射撃用長々遠距離測位レーダーを取り付ける一連のアタッチメントだ」
「何でまたそんな酔狂な物を」
ザザザザッ
「どこまで強化できるかの限界テストだったらしいが……なに、これだけの重量だ。いくらトップスピードは速くても機動は重い。やりようはあるだろ」
「何だか雑音が入るな……それを重機動のRAIDENでやれだと?」
「艦内通信なのにおかしいな。通信ケーブルの接触不良か?ともかく健闘を祈る。ミッションの時間だ」
「あ、まて!」

通信は一方的に切られ発進シーケンスが機体の外で開始されていた。後続の機体もある。そうぐずぐずとはしていられなかった。慣れた手つきでシーケンスチェックを行いALLClearを確認すると推力レバーに彼は手を掛け愛機をカタパルト上へ乗せた

「RAIDEN512A R軍曹 出るぞ!!」

カタパルト内壁に取り付けられたガイドウィンドがグリーンを示し、今まさに推力スロットルを全開に使用としたまさにその時、「それ」は起こった

「ツ・カ・マ・エ・タ」

RAIDENの全エネルギーが停止すると共に、絞り込まれた常識範囲外の砲撃が衛星間輸送船「Kobayashimaru」船体前方のカタパルトを襲ったのはその僅か数秒後の事だった
「左舷前部カタパルト大破!」
「R軍曹とRAIDENはどうなった!!」
「砲撃に巻き込まれた模様!、応答、機体シグナル共に消滅!!」
「敵機はどうした!!」
「敵マーカー所在地点にて爆発反応確認っ!! 詳細不明!!」

………………
…………
……
 
 
 
 

「結論としてDeepStraikerはもう使用不能と言うことか?」
「ベースとなったRAIDEN本来の物だけでなく推進・砲撃用のエネルギージェネレータ、すなわちコンバーター出力全てを合計してもあの距離からの砲撃は大幅な過負荷を掛けます。その為冷却が完全に追いつかなくなり熱暴走。結果炉心融解から冷却液瞬間沸騰に繋がり大爆発を起こした物と思われます。装備はもちろんのことベースとなったRAIDEN512Nも大破、再生は不能です」
「R軍曹はどうかね?」
「はい、戦闘機動前の攻撃でしたので戦闘ログアウトが出来ず、強制ログアウトとなりました。これにより半日ほど強制ログアウト後遺症が出た模様です。なお、彼には本部より公傷休暇が3日出されております」
「そうか……しかし強奪犯は何者だったんだ?」
「現在情報部が追跡中ですが……不審人物の割り出しは難航しており……」

こうして[Deepstraiker強奪事件]は幕を閉じた。なお、この事件はその特異性から極秘扱いとされ歴史に残ることはなかったという
 

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「で。コレは一体何なんだ?」
「某社で開発中の電脳仮想戦争新作『ヴァー○ャロンジュピター』で使用可能名レア機体「DeepStraiker」です。ご主人様。もし遊ばれるのならお使い下さいね」
 

「ティナ、ずいぶんご機嫌だな」
「余り深くつっこまれない方が宜しいと思いますわ〜」
 

   ( 続く )

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あとがき代わりの駄文その74

以前、BSDでヴァーチャ○ンをやろうと計画したことがあるのですが諸般の都合で中止となりました
その残骸を拾ってSS書いてみました
なお、作者は木星に余り詳しくありませんし○ーチャロンも未プレイです
詳細なつっこみはご容赦願います

なお、この話はフィクション……のはずです(^^ゞ