ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第63話   一企業反乱戦争―2nd stage―
 「大型ロケットなおも接近中!この施設への直撃コースです!直撃まであと8分26秒!」  「まさか・・・連中ここで核を爆破させるつもりなのか?」  確かに核を都市にとって安全に爆破させるのならここで爆破するのは正しい判断だ。  彼らはそう判断した。  「整備部隊、ブラックナイトの用意を」  ルシードがゆっくりと近くの電話に向かい、言った。  「約8分でロケットが到達するとすれば・・・その5分後が勝負所か・・・」  彼はそう一人呟いた。  「しかし・・・あの程度のロケットではここを破壊することなどできんさ・・・対空砲、撃て!」  何の前触れもなく凄まじい爆音が響き、対空砲警護のMT部隊数人が気絶した。  そして3分後、ロケットは全て破壊された。  「ふっ・・・先の連合都市の部隊より頭が回るようだが・・・この程度ではこの要塞は破壊できぬさ・・・」  「おや、Mrルシードは如何なされた?」  「恐らく先のロケットを破壊するために出撃されたのでしょう、もうすぐ戻ってきますよ」  笑い声と同時に司令室に警報が鳴る。  「ちょ・・・直上に反応!」  一瞬ハッとなり上を見上げる司令室の数人。  しかしそこには天井があって空は見えない。  「対空砲を直上に発射!撃ち墜とせ!」  「しかし・・・」  「早くしろ!」  「・・・了解」  対空砲が直上に砲撃を開始する。  直後、爆発する。  衛星高度から落下してきた、巨大な『鉄塊』が。  大量の破片が要塞に突き刺さる。  衝撃が要塞を揺るがす。  「ま〜ったく・・・あんな物を100時間で用意しろってんだから無茶させてくれるねぇ・;・」  大型自走ロケット砲台『MLRS改』の中でレオ・ニードはぼやいた。  「ま、出来たんだから文句は言うなよ、ニード」  隣のACでノアは笑いながら言った。  「ま、何かを用意するならこのレオ・ニード様に任せなって感じだが・・・」  「どうした?」  「お前さぁ・・・不安じゃないのか?仲間・・・それも妹を死ぬ可能性の一番高いところに配置されて」  「大丈夫、カリンはそう簡単に死ぬような奴じゃないさ・・・さて、俺も行くか・・・」  「はいはい・・・やっぱ不安なんだろうが・・・あ、そうだ、前金の他にも過重労働手当を忘れるなよ!」  「生きてたらな!」  数秒後にはブーストを全開にして見えなくなっていった。  「鉄塊の破片による被害を確認しろ!・・・くそっ・・・まさかあんな手で来るとはな・・・」  憎々しげに社長は呟く。  彼らジュピトリス−と言う名前は知りようもないのだが−が取った手段はいわゆる高々度爆撃の応用に当たる。  衛生高度から、旧時代の異物である人工衛星の、巨大な残骸を落下軌道に乗せ、質量兵器とする。  危険な手段であり、コースと軌道を間違えたらそれは都市を直撃する。  高々度からの落下攻撃はつまりその位危険なのだ。  それ以前に、実行のためにはそれが可能な作業力を宇宙に送らねばならない、  これについても相当時間がかかるため、僅か100時間という時間を考えれば、彼らの作業効率は相当な物だったと分かる。  「確認終了・・・対空砲、被害40%、護衛のMT部隊はほぼ壊滅です・・・   他に通信アンテナや上部甲板が10%程損傷しました・・・」  「・・・わかった」  「上方に新たな反応!大型爆撃機『B−100』確認!   これは・・・大気圏を突破して爆撃する構えです!」  「残存する対空砲を全てそちらに回せ!他のミサイルはMT部隊に任せろ!」  「了解!」  「どうやら・・・作戦は順調なようだな・・・よし、ミリィはこのまま基地をめざしてカリンの援護、俺が突破口を開く」  やや遠目の山陰からジオはそう言った。  「分かったわ」  六連装ミサイルが集結し、停止していたMT部隊に降り注ぎ、破壊する。  その隙をついて一気に突破するミリアム。  それを援護し、MT部隊に突入するジオ。  そのまま2人はMT部隊を突破した。
大型爆撃機『B−100』 ロケットブースターで一度大気圏を離脱した後、大気圏外から降下し、爆撃する事が可能な大型爆撃機。 とはいえ大気圏を突破するための特殊装甲などを搭載したために大きさに比例してそれほど爆撃能力は高くない。 だが、その特殊装甲は一般の爆撃機に比べて防御力を上げる結果となり、大気圏内からの爆撃にも使われた 正式採用された後、大量に生産されたが その数年後の大破壊のためそれほど活躍の場は与えられなかった。
 「撃て!撃ち墜とせ!」  生き残った対空砲が火を噴く。  他にも数十機のMTが上部甲板に居た。  「ウェポンベイ(弾薬庫)を開放、機体角度の変更無し」  彼女が言うと、爆撃機の弾薬庫が開け放たれる。  そこから彼女は飛び出した。  そのまま爆撃機は地面、要塞に対して垂直に突入―墜落とも言うが―した。  それはとても派手な爆発を起こした。  暫く滞空した後、爆発の終わった上部甲板に降り立ったのは・・・カリナだった。  「なにぃ?上部甲板にACが降りたったぁ?」  「はい、どうやら上部甲板の残存していた対空砲もほぼ全滅したようです」  「ちいぃ・・・やってくれるじゃないか・・・AC部隊は?」  「整備は完了しております、出撃可能です」  「Mrルシードは?」  「既に出撃しておられるようですが・・・」  「・・・わかった、『コランダム』を外に出せ   それから当然残った『インクルージョン』『ファセット』は上部甲板だ」  『インクルージョン』『コランダム』『ファセット』、それぞれAC部隊の呼称である  「了解しました」  「おっかしぃな・・・あまりに手薄だ・・・」  ノアは奇妙な感覚に捕らわれた。  彼が突入を開始して既に2時間が経過している。  それまでに遭遇したのはMTが12機。  レーダーが壊されているとはいえあまりに手薄である。  「・・・そうか、無人機か」  レーダーのない状態では、熟練した人間の操るACには遠く及ばない、  そう、現在の状態では無人機はまともに動くことは出来ない。  「なるほど・・・これならあと30分も走れば・・・」  一瞬正面に何かが見えた気がした。  瞬間的に真横に避ける。  その直後、光が先程まで走っていたラインの上を通り、真後ろの岩山を貫通する。  正面には、黒いAC。  「・・・よぉ・・・偶然じゃないか、ルシード・・・」  黒いACも気付いた。  正面のACの正体に。  「・・・ノア、か」  核発射まで―――126時間
第63話 完

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なんか暫く更新止まってますね。 さて、63話です。 サブタイトル、『2nd stage』、そのまま『セカンドステージ』です。 新しい作戦に出たジュピトリス側とそれに対抗する企業(ルシード)側、 新しい作戦とそれに対応する新たな展開を意味します。 で内容ですが趣味を出したというか。 ACやMT以外の兵器を出したかったんだよう、と言う感覚で書きました。 しっかし、我ながら無茶な設定を出した物だ・・・ 大気圏離脱可能な大型爆撃機って・・・ ガンダムのザンジバルとガウを会わせたような感じだなぁ・・・と、思ってみたりします。 てーかあっという間に壊れてるし・・・ さて、次回は激闘を予定してます。