ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第62話 一企業反乱戦争―Go attack―
「はっ!」
一撃でMTを切断する。
「攻撃が散発的だからいいようなものの・・・」
「まだ距離は直線で1時間はかかる距離だぞここは・・・」
それだけの距離から防衛ラインが引けると言うことは敵が相当な数を用意していることが容易に想像できる。
しかも中心に向かうごとに防衛部隊の数が増えていくのは当然である。
「まあでも・・・この辺り一帯は驚くほど岩山がある・・・身を隠すのにはもってこいだがね」
物陰に隠れて銃弾を回避しながらジオは言った。
「だから、だろ?こっちがまだ一発も撃ってないのは・・・」
ノアが言った。
「ブレードだけで何とかするってのは・・・思ったよりも辛いわね」
そう言ったのはミリアムだ。
接近専用のアセンブルで、一番ブレード攻撃をする回数が多いのに?とジオは聞いた。
「だからってずっとブンブン振り回してるわけじゃないもん、普通はマシンガンで動きを止めてから切るんだもん」
「へぇ・・・そんな物かねぇ・・・」
ジオは妙に感心した。
「ホラホラ、気を抜いてるとやられるぞ」
足下に転がっていたMTの腕部を敵に向かって蹴り飛ばし、それごとMTを切り裂いた後、ノアは言った。
「前進するしかないけどな・・・核攻撃は困る・・・」
「ま、そういうことよねっ!」
「あった・・・」
残骸と化した無人のMTの中にそれはあった。
「よし・・・こいつなら・・・120か・・・130時間で出来るな・・・」
時計を見ながら彼は言った。
「余裕だな」
そう言うとラグは微かに笑った。
核攻撃発射までの時間まで、約260時間。
「おいおい、数が多すぎるぞ?」
ノアが言った。
その先には、はっきりとは見えないが、レーダーがそれを教えてくれた。
そこには敵を表す光点ではなく、光帯が映っている。
敵を個別に見ることは不可能なほどの物量。
多少、どころか圧倒的な数の差を跳ね返す自信はあったが、これほどの数の差は彼らも想定していなかった。
「予想以上ね・・・」
カリナが言った。
「シャレに・・・なってないわよ」
ミリアムも言った。
敵は迫ってくる、あと数十秒で射程圏に捉えられてしまうだろう。
考える時間はそれほど必要はなかった。
「くっそ・・・一度後退だ!作戦を立て直す!敵の防衛圏内から離脱するんだ!」
ジオは決断を下した。
任務遂行も、今回に限れば最優先事項だった。
だが自分たちが死んでしまったら後詰めは無いすなわち核は発射されてしまう。
それが彼に逃げることを選択させた、−あくまで相手を信頼するのならば−まだ時間はあるのだから。
夜―残り時間258時間―
「とにかくあの数だ、まともな戦法じゃあ核破壊どころか施設への接近もできない」
「でもどうするの?ラグとは連絡取れないしミューアへの通信は傍受される可能性だって・・・」
「だからそれを考えてるんだろうが」
「う〜ん・・・ステルス用の機材は手元にないし・・・」
割と議論は活発だ。
だがその中でただ1人ジオは黙っていた。
「どうしたの?」
「まあちょっと考えてみたんだけど・・・」
一通りの説明を追えてからジオは聞いた。
「どうかな?」
「・・・面白いかもしれないな」
「失敗する可能性もあるけど・・・やってみる価値はありそうね」
「じゃあ作戦開始だな」
「分かったわ」
数日後の明け方、残り時間154時間
「結局、一回攻めてきただけで何の反応も無し・・・か、こりゃあ楽勝・・・かな?」
企業側に雇われたとあるレイヴンが言った。
「阿呆が・・・」
ルシードはその様子を遠くから眺めていた。
今日明日に何か仕掛けてくる。
ルシードは確信していた。
翌日、残り時間130時間
「作戦時刻まで・・・あと5秒・・・」
ミリアムは言った。
「4・・・3・・・2・・・1・・・」
一気に真上へ飛び上がる。
「ゼロッ!」
一瞬で山の上に設置された物体を破壊する。
それは小型のレーダーだった。
「いいか?さっきこっちに逃げてくるときに気付いたんだが・・・
ここに大量の岩山があるのはお前達も知ってるダロ?」
「そりゃ当然だろうが、そこで戦ってたんだから」
「それでだ、その岩山の上に小型レーダーが設置されてたんだ」
「え?と、言うことは・・・」
「そう、一個のレーダーじゃなくて大量のレーダーがここには配備されてる」
「それで、どうするの?」
「念のためさっき一本だけ抜いてきた、ほら、アレだ」
そう言うとジオは彼のACを指さす。
確かにACの左手には―あくまでACから見れば―細い棒状の物体が握られている。
「それで調べてみたんだがアレ1つの効果範囲は精々100から200m・・・」
「あの岩山を利用した物としてちょうどいい範囲ね」
「アレを徹底的に破壊する」
「・・・それで?」
「次にノアに頼みがあるんだが・・・」
「小型レーダーが次々に破壊されていきます!AC反応2!」
「何だと?近くの迎撃部隊を・・・」
「えっ・・・生き残ったレーダーに反応!これは・・・大型ロケットを確認、総計12!」
少年、ルシードはその光景を司令部の中で冷めた目をして笑っていた。
第62話 完
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さて、今回はおおむね順調に書けました。62話です。
キャラが好きなように動き回ってくれてる感じで助かってます^^
さて今回のGo attack、まあ「攻撃せよ」って意味です。
どちらの側からも言えることですけどね。
さて、ロケット弾です。
次回は多分もっと趣味に走るんでしょうね・・・
ビバップの映画版のごとく(勿論質ではかないっこありませんが)