ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第59話   一企業反乱戦争―Prize and honor―
 「それにしても、昨日の対戦は凄かったな」  声が響いている。  「ああ、そうだな、俺だって信じられなかったよ、まっさかあそこらの逆転勝利なんてさぁ」  「その信じられないことをした本人が何言ってるのよ」  続く笑い声。  小さな雑居ビルの小さな部屋。  非市民街の一角だった。  「お断りします」  「なっ・・・何を言うかと思いきや・・・この仕事、成功すれば報酬の他にも準市民権等が特典でついてくるんだぞ?」  「私はもう既に市民権を持っていますし、それに・・・正直そんなところに行って帰ってくる自信はありませんからね」  彼女、ミューアはそう言った。  「そ、そんな馬鹿な・・・レイヴンに市民権を与えたことなど無いはずだが・・・」  「事実ですよ、用件がそれだけなら失礼させていただきます、あ、そうそう」  立ち去ろうとしたミューアは振り返り、言った。  「その依頼を受けてくれそうで、しかも実力保証つきの方、紹介しましょうか?」  彼女はその人と一緒ならこの仕事を受けてもいいと付け加えた。  「連中に依頼しろと言うのか?」  「はい、ラフィングパンサー直推の人物です」  「しかし・・・彼奴等はイレギュラーなんだぞ・・・秩序を破壊する存在だ・・・   私はこの都市をネストの二の舞にするつもりはない・・・」  「このままでは同じ事です、いえ、それ以上のことになるでしょう・・・市長・・・いえ、連合都市長、お願いします」  秘書は頭を下げた。  「若いな・・・君は1つの目的のためには手段を選ばず、か」  「いえ・・・私もネストについては聞き及んでいます、イレギュラーによって完全に崩壊させられたそうですね」  まさかネストを崩壊させた人物が敵とは夢にも思うまいが。  「しかし、正直な所は・・・核によって消滅するより、   レイヴンに壊滅させられた方が幾分かはマシなのではないか・・・そう言うことです」  「・・・分かった・・・仕方ないだろうな・・・薄汚いイレギュラー共に頼ることも・・・」  都市連合長は苦虫を纏めて噛み潰したような表情になった。  昨年、彼等を陥れ、イレギュラーとして処理しようとした最大のイレギュラー消滅部隊が消滅した。  イレギュラーとして呼び出された8人のうち、1人は処理に成功したようだが  残りの7名のうち、3人は行方不明、4人は大胆にもこの都市連合に戻ってきたのだ。  それも、以前のような2人組のチーム2つではなく、4人組のチーム1つとして。  それから後、彼等には都市連合としては一切関知していない。  その後も妨害工作をしようとした者達もいたが、彼等はことごとくそれらを粉砕、破滅させてきた。  「依頼文書?」  「ああ、それも都市連合長直々に、緊急でと言うことらしい」  「それで?内容は?」  「・・・読んでみれば分かるだろう」  そう言って、ラグはプリントした依頼文書を手渡す。
緊急の依頼だ。 現在この都市連合は正体不明の武装集団により、核兵器の直撃を受けようとしている。 それを阻止するのが君達の仕事だ。 既にランカーレイヴンを向かわせたが、敵の遠距離精密砲撃により、降下前に全機撃墜されてしまった。 よって今回の仕事は輸送機をそちらに回す事ができない、 輸送機を用意するか、ACを使って歩いていってくれ。 場所はホーイックロックス麓のミサイル基地。 そこに保管されている核兵器を破壊、もしくは発射を停止させること。 制限時間は犯行予告によると10日と無い。 今回の仕事が成功したら、君達には報酬の他に準市民権を与える。 だからなんとしてもこの仕事を引き受け、成功させてくれ。 これは同じ都市に住む同士としての願いでもある、必ず引き受けてくれ。
 「これ・・・まともな依頼じゃねえな」  「そうね・・・まず制限時間が異様に長いよな・・・距離から判断すると使用されるのはIRBMだ」  「そうじゃないだろ・・・見るところは『武装集団の犯行予告』だろ」  「確かにそうね・・・イルミネントストームもストラグルも犯行予告を出したなんて話聞いたことがないわ」  「だろ?まあこれはアイザックから遠いからっていうのもあるだろうけどな、   俺もこの辺のテロリストだって犯行予告を出したなんて話聞いたことがない」  「それは当然だろうな、まず敵ははっきりしている」  ラグの言葉で全員が振り向く。  「え?それって・・・」  「先月の事、お前達覚えているか?」  「ああ・・・確か・・・そうか、ビルモア財団か!」  ノアは記憶の中から1つの企業の名前をとりだした。  「そう言うことだ、まず間違いなく追放された時の報復と見て間違いないだろうな」  「でもあれって確か都市一帯のテロリストと結託したから云々ってニュースで言ってなかった?」  「カリナ、お前は都市から流される情報が全て正しいと思ってるのか?だとしたらそれは改めた方がいいぞ」  ラグは何枚かの写真をを愛用の鞄から取り出す。  「見てみろ、大量の炸裂弾がオフィスに撃ち込まれてるだろ?」  「うっわ〜・・・これはまた派手だな・・・」  「元々あの財団の中心部は郊外にあったからな、情報工作も簡単だったんだろう・・・」  「そうかもしれないけど・・・でも・・・」  まだ納得していないカリナに業を煮やしたのか1つの資料を突きつけた。  「そこまで言うなら・・・この資料を出す気はなかったが、見てみろ、機密レベル10だ」  機密レベル10,それは連合都市の最高幹部でも滅多に目に付くことはないレベルの機密のことである。
『我が都市連合内部において、秩序を破壊する可能性のある存在を確認。 レイヴン8名である、それに対し我々はディクセンシティー議会の特殊部隊を使用し、攻撃を行う。 目標はラサシティーよりレイヴン・ジオ、グランブルシティーよりレイヴン・ノア・・・』
 「こ、これは・・・?」  「分かっているだろ?お前達が出会った場所を利用した『イレギュラー掃討作戦』だ」  「馬鹿な!議会のラサ代表はクレス・ヴァーノア・・・俺達の親なんだぜ!」  さすがにこれにはノアもソファーから立ち上がり声を荒げた。  「それは分かっている、後ろの所に書いてあるだろう?賛成6、反対1、棄権1と、反対票はお前の親父だ」  「・・・あ〜!もう!やってられねえな!」  ノアはソファーに荒々しく座り直した。  「それでどうする?この仕事、受けるのか?」  ラグが聞いた。  もっとも、彼等にとってそんなことは決まっている。  「・・・お前なぁ、俺達4人はこの都市の出身だぜ?」  最初にこの男にマネージメントされた男、ジオが言った。  「この都市には愛着もある」  「それに・・・」  その妹。ミリアムが言う。  「一般人を巻き込むような迷惑な人を放っておけないわよ」  「そうそう」  その親友、カリナが立ち直って明るく言う。  「そう言う人にはきっちりお仕置きしてあげなきゃね」  「つまり・・・」  その兄、ノアが言った。  「ここにいる連中みんな依頼を承諾するって事だ」  「そうか・・・なら話は決まりだ、ACに搭乗してくれ」  ラグは笑顔でそう言った。
第59話 完

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さて、59話です。 今日は時間ができたので気合い入れて書き上げました。 さて、戦闘がないよ〜 でも次回からは戦闘開始の予定。 もしかしたらもう一回戦闘無いかもしれないけど・・・ では60話でお会いしましょう。 追記:IRBMとは、中距離弾道弾のことです。 大陸間弾道弾のことはICBMと言うそうです。