ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第46話 混乱する戦場―殲滅作戦―
突入に成功した各員は分散してそれぞれ深部を目指していた。
「深部・・・メインコンピュータさえ潰せれば作戦の第二段階へ移れる・・・」
ジオは飛びかかってきたMTを破壊し、奥へ奥へと向かった。
ジオの目の前を走っていたACが突如爆発した。
もう一機のACが相棒の名前を叫ぶ、そして、爆発、四散した。
「巨大な連装砲か・・・」
物陰に隠れてジオは分析を始める。
「連射は可能なようだが・・・どうやらFCSはそれほど精度のいいものではなさそうだな・・・だとすれば・・・」
彼は再び何かを取り出した。
変化が訪れた。
連装砲にエラーが発生したのだ。
目の前の通路全てに広がる爆炎のために。
連装砲が混乱したところに飛び込み、砲身を切断する。
そしてそのまま油断せずに周辺を見渡す。
「どうやら・・・この砲一門だけのようだな」
それを確認すると、再び彼は歩き出した。
・・・先ほどまでの仲間を振り返ることなく・・・
『ハッチ開放不能』
「ちっ・・・」
ACのバックパックから何かを取り出す。
「設定、20秒」
ドアの側に置いてそこから離れる。
角を1つ曲がり、少々の間をおく。
爆発音。
覗き込んでみるとドア部はほぼ完全に破壊されていた。
そしてそれは一機のACなら通るには充分だった。
「よし・・・」
その先に進んでゆく。
「これだな・・・」
あまりにも巨大な物体、それはメインコンピュータ。
「制限、1時間」
メインコンピュータの各所に先ほど使った爆弾を仕掛ける。
その時、潜入した別部隊から通信が入った
「発電施設に爆薬の設置完了、領域を離脱する」
「弾薬庫に時限爆弾の設置完了、こいつで地上部分にもダメージを与えられると思われる、よって離脱せよ」
「こちらメインコンピューター破壊部隊、AC2機を失ったが作戦は成功した、これより帰還する」
そして、通ってきた道を戻っていった。
「こ、これで何機目だよ・・・3桁いったんじゃねえか?」
周りを見ると、周囲の味方は減少していった。
だが既にその数は互角、もしくはそれ以上になっていた。
「だが・・・まだまだ行けるぜ!」
自分自身を叱咤激励し、ノアは戦場を駆け抜けた。
浮かれているようで冷静。
それが彼である。
浮いた言葉で自らを叱咤し、その中で自分のAC数値を完全に読みとり、
着実に、確実に敵を撃破してゆく。
味方を鼓舞するため、出来るだけ派手に。
そんな一見不可能に思えることを行ってゆく、並の人間では不可能な集中力だ。
「おらおらいくぜぇ!」
もう一度、彼は自らを叱咤した。
―――1時間後、作戦領域外。
「第2段階開始予定時刻まで・・・3,2,1・・・」
数十のACが丘の上に立っていた。
ブリーフィング終了直後、戦艦ダイナストブリーフィングルーム
そこには数人のレイヴンが残されていた。
全員がランカーレイヴンと呼ばれる大物達だ。
「並行したもう一つのミッション?」
「そうだ、しかもその仕事は、先ほど説明した攻略作戦のように数をそろえれば達成されるものではない」
「・・・前置きはいい、本題に入っていただきたい」
「そうか・・・何、それほど難しいものではない、基地の破壊後、その戦場にいる全ての人間を抹消して欲しいのだ」
「理由は?」
「・・・知っての通り、今回攻撃する基地は元々我が社のものだ、それは先ほど説明したので知っていることだと思う」
レイヴン達は一様に頷く。
「そして基地を占拠した連中は元々我が社の連中だ」
「だからどうした?」
「その中には我が社の重要機密を知っている人間がいるかもしれん、その口封じだ」
「ならば前線にでている連中は関係ないのではないか?」
「その可能性は高いだろうな、だが万一と言うこともある、どうかね?参加したものには報酬を3万プラスしよう・・・」
その言葉が全員を了承させた。
変化は突然訪れた。
爆発したのだ、地面、その下にある地下基地部分が。
それも両軍が戦闘している中央部で。
「なっ・・・」
幸いにも・・・両軍ともに健在だった。
ただし数機を残して戦闘の続行は不可能だった。
「くぅ・・・何だよ?これは・・・」
幸いにもノア機には大した損害はなかった。
それも、奇跡と呼べる物なのだろうか?
「作戦、第二段階を開始する」
その作戦領域外にいた数機のAC、それが作戦領域内、爆発に巻き込まれた両軍に向けて突入した。
「な、なんだ、こいつら!?」
何機もの、両軍の兵器が破壊されてゆく、無差別に。
突入した部隊の中には先程領域を離脱したはずのジオの機体もあった。
『交戦している2つの勢力、これは元々同企業で、内部分裂を起こしていた。
だがこれは片方が一方的に独立を宣言する形で一応の終結を向かえた。
だが独立された側はこれを認めず、この不名誉な事実を隠蔽するべく行動を起こした。
それに対抗する形で独立した側も兵力を呼集する。
独立された側は、この不名誉な事実を知る者は少ない方がよい、
そう考え攻撃する部隊の中に殲滅部隊を配置する・・・
だが、隠蔽する手段は、殲滅部隊だけではなかった。』
「ヨーゼフ・エルンスト著 奇跡の価値は」より
罪の意識。
それが無かったわけではない。
だがそれを償う気も、その力もない。
そう自覚し、また再び彼は罪を犯し続けていた。
その後味の悪さを知りながら。
「所詮レイヴンは使い走り・・・そう言うことかよ、あの会社は!」
飛び込んできたACを切り倒す。
そしてノアは目の前の機体、重量級の白い機体と対峙した。
「いつ切り捨てられるか・・・その心配はいらない・・・切り捨てられなくすればいいんだからな」
ジオは目の前の機体、軽量級の黒い機体と対峙した。
奇跡まで、あと数分。
第46話 完
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後書き代わりの座談会(今回の場合雑記といってもいいかも)
本日はジオ、ノアでお送りします。
ジオ「無事更新できました、第46話!」
ノア「先日はさぼりでした、ノアです」
ジオ「そうだったのか!」
ジオ「さて、今回の話だけど、実際どうよ?」
ノア「まあ批評しろとかどうのって言うのは苦手だが・・・」
ジオ「ふんふん」
ノア「地下基地丸ごと吹き飛ばせるような爆薬を持ち歩くのは危険だと思うぞ」
ジオ「ああ、吹き飛ばしたのはメインコンピューターと、あとは省略したけど発電施設と弾薬庫だ」
ノア「省略するなよ・・・誤解が生じるぞ」
ジオ「でもなぁ・・・そのシーン入れるとテンポがすごい悪くなるし・・・
かといって弾薬庫のガードとかにAC配置しとくような余裕は無いはずだし・・・」
ノア「無人MTで良かったんじゃないか?」
ジオ「そういうのは優先して前線だろ?
あ、そうだ、書き足すか・・・」(書き足しました)
ノア「うん、これならさっきより納得できるな」
ジオ「確かに・・・言われてみればメインコンピューター破壊にいったのが一人ってのはおかしすぎたな・・・」
ノア「まあ三機でも少ない気がするけど・・・」
ジオ「で、他になんかあるかい?」
ノア「作戦が杜撰というか何というか・・・」
ジオ「どこが?」
ノア「作戦に参加したメンバーを全て殺せってのがまず無理だ」
ジオ「ランカーの腕ならできる!」
ノア「・・・そうなのか?」
ジオ「そうだ」
ノア「それはいいとしても、地上部分に打撃を与えたいなら核弾頭でも撃ち込んだ方が確実だと思うが」
ジオ「・・・それ採用」
ノア「はぁ?」
ジオ「次回でそのネタもらった」
ノア「決断早いな」
ジオ「まあ即断即決ってことで」
ノア「人の提案をまんま使うなよ、しかも即決で」
ジオ「で、次回に続くわけだけど・・・」
ノア「ふむ・・・」
ジオ「奇跡って使っちゃまずいか?」
ノア「・・・それは知らないが・・・まあ5年ぶりの再会で、尚かつ片方は死んでるのが必然なんだから、まあ奇跡なんじゃないか?」
ジオ「やっぱりそうだよなぁ・・・」
そんなこんなで終了。