ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第45話 前哨―偶然―
この日、彼の仕事は『反乱勢力』の掃討だった。
この日、彼の仕事は『他社勢力』の迎撃だった。
これが、この安っぽい奇跡の始まりだった。
大型艦『覇王(ダイナスト)』の艦上で、彼はブリーフィングを受けていた。
とある大きな基地のミッションルームで、彼はブリーフィングを受けていた。
両者とも、同じ事、「面倒な仕事になりそうだ」と考えながら。
片方は「本社の意向に従わない反乱者の始末」と。
片方は「他社の一方的要求に断固立ち向かう」と。
それぞれ教えられながら。
特別な事は何もない、いつもの仕事。
そのはずだった。
彼は既に死んだはずの存在だった。
彼は既に公民権を失っていた。
だから、レイヴンとして生きていた。
今日、小さな、安っぽい奇跡が起きることを知らず。
「作戦領域に到達した、これより全軍を投下する」
「防衛圏内に敵を発見、迎撃に向かってください」
「了解」
全く同じ言葉を発した人物は、それぞれ違う陣営にいた。
1人はジオ・ハーディー。
この作戦において、敵戦力は無視し、目標施設に潜入、爆破することが今回の任務であった。
もう1人はノア・ヴァーノア。
この作戦において、敵戦力の比較的少ない、左翼の防衛部隊に配属された。
「進入、敵戦力は無視・・・と言っても、結局は強行突破なんだよな・・・」
ジオは作戦前、そう愚痴っていた。
「迎撃、敵部隊は殲滅する・・・敵の兵力はこちらより圧倒的に多いんだぞ」
ノアは作戦前、そう愚痴っていた。
「まぁどっちにしろやるしかない」
そう考えながら。
「突入部隊を援護、正面部隊に集中砲火を浴びせ、突入路を啓開させる!」
「両翼の部隊は全速前進、敵部隊を取り囲んで動きを封じろ!」
両軍共に、常識的な指揮官であった。
で、ある以上戦力の多い側が有利に運ぶはず・・・
両軍の指令はそう考えていた。
だが、その予想は外れた。
「3つ!・・・4つ!・・・5つ!・・・キリがねえな!」
1人の兵士と、その活躍に高揚した戦士の活躍で。
「これで6機!」
両軍は互角に、戦局は混戦模様に進んでいった。
「こちらの右翼、押されているか・・・まあ良い、正面!何をしている!さっさと突破しないか!」
「左翼が押しているな・・・正面!敵の狙いは中央突破にある!突破されるな!押し返してやれ!」
そして戦闘の転機は突然訪れた。
「正面部隊、突破に成功しました!突破です!」
「左翼部隊!突破に成功しました!正面部隊の後方を取ります!」
「よーし!突破した部隊を基地に突入させろ!」
「全部隊敵中央に火力を集中!突入速度を減殺しろ!基地の予備兵力も出動して足を止めろ!」
「敵基地に部隊を確認、突破する!」
ジオは周りの味方を確認した、自機を含めて16機、突破は容易ではなさそうだった。
「後ろを取った!殆ど無防備だ、行ける!」
ノアは正面の敵機を見据えた、その数は無数、しかし、後ろを取っている、勝てる自信があった。
両者は再開する、偶然か、必然か、それとも、安っぽい『奇跡』のためか・・・
第45話 完
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後書き代わりの座談会
本日はジオとルシードでお送りします。
ジオ「新章開始!第45話」
ルシード「・・・ノアはどうした?」
ジオ「せっかく俺とノアの部なのに・・・」
ルシード「それは仕方がないか・・・どう違うんだ?今までと」
ジオ「いい質問だ、今までは過去のしがらみとか過去の出来事とかだったけど・・・」
ルシード「ふむ・・・」
ジオ「出会い、だな、特に主人公だけじゃなくて脇役も含めて」
ルシード「脇役?」
ジオ「ほら、ミューアとか空中騎士団とかそういうのとの出会いとかも予定」
ルシード「予定?」
ジオ「そう、予定」
ルシード「いつもの行き当たりばったりか・・・」
ジオ「ま、そういうこと・・・」
で、この後雑談して終了。
風邪ひいてたので一日遅れ、しかもそんなに話せなかった・・・
ちょっと毎週更新できるかちょっと不安です。
見通し立ってないし。