ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第43話   勝利と敗北―判断―




 「くっ・・・」
 2人とも接近戦は不可能だと悟っていた。
 下手に接近すれば一瞬で炎(高温すぎてプラズマ化しているが)に両断されるからだ。
 「はははははは!どうした?かかってこないのかぁ!?」

 かつて誰かが言ったという。
 人間以上の力を持った人間は暴走する、と。
 その典型的事例がそこにあった。
 いくら攻撃を回避してもこちらの攻撃は効いた様子がない。
 それはまさに人間以上の力を持った人間であり、ACであった。

 「おい・・・たった2機でどうにかなると思うか?」
 男が聞いてきた。
 そんなことは分かるはずもない。
 1対2であっても敵は互角以上に、否、有利に展開していた。

 そんな状況下で、青年、ノアは叫んでいた。
 「貴様は何故あんな事をした!」

 3年前、目の前の敵は自らの友人達を虐殺した。
 それでも殺戮をやめない、何故そんなことをするのか。
 青年はそれを理解できない。
 それは真の苦しみを味わったことがないから。
 人を殺すことでしか己が己であることを理解できないから。

 「何のことだ?」
 「とぼけるな!お前は三年前に俺の仲間を!みんなを殺した!忘れたとは言わせない!」
 「ああ・・・アレか、それがどうした?」
 「ってめぇ!」
 「じゃあ貴様はどうなんだ?貴様は1人も殺していないのか?レイヴン?」
 「俺が殺したのは戦闘員、俺に向かってきた人間だけだ!
  お前は・・・非武装の民間人を殺したんだぞ!」
 「それがどうした?生きるため、自分のためだ、『イケナイ事』か?」

 言葉は通じなかった。
 自分の考え、思考があまりにも違うから。
 生きてきた世界があまりにも違うから。


 そうだとしても、青年は彼を許す気にはならなかった。
 マシンガンを乱射しつつ、距離を取った直後、もう一人の味方機に狙いが定まり、接近された。
 「・・・しまった・・・!」
 直後、機体が両断された。

 「くくく・・・これで1対1だ・・・どうする?」
 当然ノアは退く気はない。
 だが、1人では勝てない事も分かっていた。

 どうする?
 どうすれば勝てる?
 接近すれば即死。
 かといって距離があけばロケットが飛んでくる。
 必死になって考えた。

 息が苦しくなってくる。
 そして回避するのが苦しくなってくる。
 「どうしたどうした?最初の勢いを見せてクレよ!」
 考えながら必死で回避行動を行うノア。
 「かかって来いよ!それで俺の炎に焼かれなよ!」
 青年の回避したロケットが、先程一瞬で倒したACに当たり、四散する。


 その言葉、それが彼の未来への扉を開いた。
 「そうか・・・わかったぞ!」
 思い立ち、弾切れ寸前のマシンガンを地に捨てる。

 「何の真似だ?素直に死んでくれる気にでもなったかい?」
 「そんなつもりはないさ・・・来い!」
 そう言ってACに格闘戦―ブレードさえも使わない―の構えを取らせる。
 「ふざけるなよぉぉ!」
 一気に距離を詰めてくる。

 「死ぃねええぇぇぇぇぇぇ!」
 火炎放射器の炎を使っての格闘攻撃。

 炎を避ける。

 右へ回避。

 足払い、同時にコア後方へ肘打ちを当てる。

 ACは勢い余ってそのまま進行方向へ転がってゆく。

 直後、倒れた味方機の持っていたグレネードを拾い上げ、撃つ。

 回転するACの進行方向には扉があった。

 扉にぶつかっても勢いは殺せず、扉が壊れた。



 直後、爆音が、その室内、否、洞窟全てに響いた。
第43話 完


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後書き代わりの座談会

座談会初の連続休止である。

でもまぁ、ここ読んでる人いるのだろうかという疑問がわいてくるけど。
(あえてこの小説読んでる人自体がいるのかということは考えない)


また書くことが思い浮かばないので終了。




何も書いてないけど。