ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第41話   月下の騎士―月から舞い降りた天使―




 「基地に接近する機体有り、機影4、うち少なくとも3機は軽量級ACと思われる!迎撃用意!」
 基地中に警報が鳴り響く。

 「隊長、敵部隊を確認しました、AC8、支援機はいないようです」
 「支援機・・・サーチャーは後退、フロントは前進して防衛戦を形成、サポートは自分がする。
  バックは防衛戦の外周で射撃用意、ラインを抜けた機体を叩け」
 「フロント、了解」
 「バックス、了解」
 それを聞くと男は手元の時計でカウントを始める。
 「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・行動開始」
 それを聞いた3機は同時に行動を開始する。

 それを見た敵のうち4機が急速に移動を開始する。
 軽量級の機体である、後方の四機は共に中量、重量級である。
 「なるほど・・・部隊の連度は低いか・・・」
 それを見て取った隊長は1機に狙いを定める。
 「フロント、自分が撃ったと同時に全速前進、最も突出した機体を叩け」
 「フロント、了解」
 返事と同時に突出した4機の最も後方の機体の脚部、そこを狙って撃つ。
 手にしたマシンガンが火を吹き、脚部の弱点、間接部に直撃、ACが横転する。
 「GO!」
 フロントと呼ばれたACがコアを切り裂き、さらに後方の機を目指す。
 その直後に隊長機が同じ機体の脚部を切り裂いた。
 「サーチャーより、後方機2機に大型熱源反応、改造型グレネードと思われます」
 「フロント、攻勢停止、散開せよ。
  バックス、炸裂弾用意、
  サーチャー、その2機のデータをバックスへ、同時に全機のレーダーを連動させろ」
 「了解」
 全員同時に返答する。

 グレネード弾が爆ぜる。
 4機―うち2機は味方である―を中心に。
 その中心にいた4機は爆風で一瞬レーダー機能―主に赤外線探査は―が働かなくなり、
 近距離にいる敵機が見えなくなる。
 ―そのはずだった。
 「そこだ!」
 後ろを取ったフロントは一機に狙いを大まかに定めてマシンガンを乱射する、狙い通りブースターに直撃する。
 たまたま近距離にいた一機を切り裂く隊長機。
 バックスはその間の後方攪乱のために中、重量機に対して炸裂弾を発射する。

 こういったACの機動戦の場合、出来る隙は一瞬だ。
 だが高速戦闘の場合その一瞬が生死を分ける。
 その隙を突き、あるいはカバーする。
 だから彼等は生き残っている。

 炸裂弾の煙がおさまり、視界が開けた瞬間には、正面の2機は見えなくなっていた。
 「バックスより、炸裂弾終了、これよりマシンガンで弾幕援護します」
 「了解、隊長よりフロントへ、目標、改造型左」
 「フロント、了解」

 4機のパイロットがレーダーに青い点(自機よりも上方にいることを示す)を見つけた時にはもう遅かった。
 フロントと呼ばれたACは右肩を、隊長機は頭部より真っ直ぐに、
 それぞれ改造型グレネードを装備したACを切り裂く。
 返す一撃でフロントもACを横から両断した。

 残った2機のACは距離を取ろうと後方へ下がる。
 「バックス、任意で狙える方へ連射開始。
  フロントは射撃開始後にもう一方へ攻撃開始」
 「バックス、了解」
 「フロント、了解」

 分断された両機を撃破することは難しくなかった。
 こうしたチーム戦においてはずば抜けた技量よりもチームワークが重要になる。
 と、言ってもある程度の技量は必要であるが。
 彼等にはそれがあった。
 例えばそれが偽りだったとしても・・・

 「こちらノア小隊、敵前衛部隊の殲滅に成功した、レオパルト7中隊は前進せよ」
 後方に控えた味方部隊に連絡を入れる。
 「了解、小隊はそこで待機していてくれ!念のための護衛戦力がいないのでな」
 「了解」

レオパルト7中隊
その名の通りレオパルト7(戦車)のみで構成された中隊である。
火力としてはAC以上の物だが、
いかんせん小回りが利かず専ら要塞攻略時にのみ使用される。
同じような目的の機体にヤグアルVがある。

 「・・・ここにも、いなかったか・・・」
 彼は仇を追い求めていた。
 自らの友人達を、憧れの英雄を殺したレイヴンを、
 この時代にはよくある悲劇を繰り返すかのように、
 自らの心を血に染めて。
 月下に佇む銀色のACは、まるで月から舞い降りた天使のようにも見えた・・・
第41話 完


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後書き代わりの座談会

本日はジオとノアのみでお送りします

ジオ「はい、ノア編のスタート、41話〜」
ノア「モノローグだな、何か天使とかそう言う表現があるのは何故?」
ジオ「気分というのもあるが・・・やっぱり軽量機は天使か悪魔、どっちかの羽が必要だろ?」
ノア「必要かどうかはともかくとしてそれなりに面白いかもしれんな」
ジオ「分かってくれればよろしい」

ノア「それはそうと、ヤグアル、レオパルト中隊って?」
ジオ「いや、だって必要じゃん、要塞攻略の時とか、あ、ちなみにヤグアルもレオパルトもドイツの戦車だよ」
ノア「そんな豆知識いらんて」
ジオ「ちなみにフロントとかバックスとかはこの回だけのゲストなのでこの後出場予定はありません」
ノア「名前もないしな、てか考えてないだろ?」
ジオ「まぁね〜」



ジオ「とりあえずモノローグなんで特に語ることはないな・・・」
ノア「じゃ、終了」
ジオ「次回は、敵討ちの始まりです」