ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第37話 出会い―空虚なる2人の影―
青年は何の考えもなく家を飛び出した。
仇を討ちたい。
その一心で。
そして、その1年後、青年は少年と出会ったのです。
「っと、今日はこんなもんかな・・・」
青年、ノアはレイヴンとしてこの一年生活していた。
自分の友人達を殺した連中を殺すために。
この3年間、少年は放浪を続けていた。
生きるために人を殺してもいた。
仇を討つ、それだけに生きて、仇をとった今、少年は魂の抜け殻となっていた。
だから自分の命なんていらないモノだと思っていた。
それでも、自分で自分の命を絶つ勇気は無かった、
そして自分よりも格下の人間に殺されるのもまっぴらだった。
そして、まだ生きているかもしれない妹のことを、諦める気にはなれなかった。
始まりは、この時代にはあまりにもよくある風景だった。
生来の美形であった少年は、街のごろつきからはいかにもひ弱そうな少女に見えただろう。
「ようよう、嬢ちゃん、有り金全部置いてきな」
そう言って胸ぐらを掴まれる。
その周りにはその仲間らしいのが4人。
そのありがちなセリフと行動に少年は他人を見るかのように、平然としていた。
「命まで取ろうって訳じゃねぇんだよ」
その言葉が終わるかどうか、と言うとき、後ろにいた一人に石が直撃した。
一瞬で、少年は胸ぐらを掴んでいた一人の鳩尾に一撃を入れた。
「ぐっ・・・」
倒れそうになっている所に再び蹴りを入れてKOする。
「誰だ!」
「そんな弱い者イジメしか出来なさそうな連中に名乗る名なんかないね」
「あんだとぉ?」
「そもそもお前らみたいなクズに名乗る名前を持ってる方が不名誉だってーの」
「てめえ!ふざけるのもいい加減にしろよ!」
「おい、そこの人、加勢して・・・やる必要もなさそうだね」
「何ぃ?」
そこで1人が振り返る。
そこで自分以外の仲間が全員KOされていることに気付き、同時に自分の腹部にパンチが入った事も知る。
「がふあ・・・」
そこで残っていた最後の1人が倒れ伏す。
「よう、お嬢さん、あんた強・・・って男か」
そういって持っていた袋の中からリンゴをとりだし、少年に向かって放り投げる。
「やるよ」
少年はそれを受けとった。
「じゃあな」
そう言って立ち去った。
「・・・ありがとう」
背中にそんな声を聞きながら。
闇の世界に生きる自分とは互いに二度と会わないだろうと思いながら・・・
そしてそれから2年後、両者は再び出会う・・・
第37話 完
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後書き
本日が日曜日(更新日)だって事すっかり忘れてたので1人でやります。
さてルシード編第2章に位置するこの回。
ノアとルシードがチームになる前に実は出会っていたという回ですね(ってかそれだけ)
空虚なる2人、つまりはルシードとノアですが
ノアの方は目的があるがその目標が見つからず、落ち込んでる状態ですね。
ルシードの方はネスト崩壊というエラクでかい目的を達成してしまってどうしようもない状態ですね。
ま、これは本文にもありますが妹の影、薄くなりつつあります(^^)
どうしよう、この妹ってのが本音。
さて、次回はゲストキャラが本編に(覚えてる限り)初めて出ます。
応募した方々はお楽しみに。
次回のお話は今回のお話より2年後。
第38話『内紛』お楽しみに〜