ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第36話   残光―決戦―




 「・・・テオ、こいつは私に任せろ、奥に進んでコンピュータを壊せ、そうすれば何とかなるだろう」
 半年前、少年と天使は互角だった。
 だから、自分よりも技量が劣り、尚かつ完全な連携が不可能な仲間とでは2機倒すことは不可能と判断した。
 だからこそ、命を賭けて、天使の足止めをする事に決めた。


 胸部からの砲弾の斉射がにらみ合いに終止符を打ち、激しい戦闘が開始された。


 胸部からの砲弾、その正体はやはりWA−fingerである。
 以前はエラン・キュービスの技術協力もあり、両腕に一門ずつ装備されていたが、
 その機体は以前に大破し、エラン・キュービスも行方不明なので再現は不可能になった。
 現在は胸部に一門装備されているだけになっている。

 「いけ・・・テオ、頼むぞ・・・」
 激しい砲火の中、少年は青年に向かって言った、もしかしたら最後になるかもしれない言葉を。
 「了解!、分かりました、生きて会いましょう!」
 後方から少年が援護して、奥の扉へ青年を進ませる。

 扉が閉まる直前、天使は扉の向こう、扉を進もうとする青年に砲撃を加える。
 その瞬間、少年へ向かう砲火が止まる。
 その一瞬のうちにスナイパーライフルをしまい、もう一本のブレードを抜き放つ。
 その2本のブレードを天使に向かって振り下ろす。


 その一撃は天使の体を3つに切り裂く。
 その瞬間、爆発が、衝撃が周辺一帯に広がる。
 「くううっ!」
 その衝撃はコックピットにも伝わる。
 「もう一機は?」
 衝撃がコックピットを突き抜け、収まるまでの間に、レーダーを使いもう一機の天使の姿を求める。
 だが

 『電波障害発生、レーダーレベル低下』

 という警告と共にレーダーが『停止』する。
 そこで気付いた、1機は動きを止めるためのハリボテだということに。
 だとすれば、何処に来るか?

 答えは1つ。



 右腕で握っていたブレードを真後ろに投げ放つ。
 そのブレードは天使の右肩を貫く。

 ブレードを投げた直後に再びスナイパーライフルを取り出す。
 構えず、FCSが反応しない場所、後方に一発撃った。
 それは再び右肩に命中し、爆発する。
 刺さっていたブレードが誘爆をおこし、右肩に装備していたもの、ミサイルを破壊した。
 刹那、チェインガンの火線が黒いACに向かう。

 「避けられた?」
 少年は自分自身に驚いていた。
 そう、自分の反応速度が格段に上がっていた。
 その直後に、半年前のあの決戦の続きを錯覚させるような超高速戦。
 計器が示す速度はあの時よりも速い。
 だが、それでも少年には余裕があった。
 回避できている。
 その事実に驚きながら。

 「くぅ・・・」
 スナイパーライフルの弾切れ。
 天使が、不安定ながらも超高速で移動している。
 右肩から下がない分、不安定になっても速度を上げているのだろう。
 それに対抗する手段は1つしかなかった。


 カッシャァン!!
 鋼鉄の地面に響く乾いた音。
 そこには弾切れになっていたライフルとステルスパーツ。
 余分なパーツを捨てたことでさらに少年の黒いACは速度を増す。

 その直後から被弾率が上がる。


 「これでどうだ・・・木偶人形!」
 一直線に紅い天使に向かう黒い天使。
 ブレードを発生させた左腕と頭部パーツを右腕で守りながら、一瞬で距離を詰める。

 その直後に軌道を変える紅き天使。
 「逃がすか・・・」
 既にぼろぼろになった右腕でチェインガンを握り、横から両断し、縦からも両断する。

 紅い天使が道連れと言わんばかりにチェインガンを発射する。
 それに対応してチェインガンの発射口を右腕で塞ぐ。
 そして、弾が逆流して紅い天使にトドメを刺す。

 右腕に爆発寸前の警告メッセージ。
 躊躇うことなくブレードで右腕を切り落とす。


 そして・・・
 この日、ネスト本部は完全に崩壊した。


 流れるように聞こえるネストの言葉。

 『コレで満足か・・・?
  秩序を、世界を破壊する、それがお前の望みなのか・・・

  我々は必要だった、だからこそ我々は生まれた。
  ・・・秩序無くして人は生きてゆけん、例え、それが偽りであってもだ。

  生き抜くがよいレイヴン

  我らとお前、どちらがはたして正しかったのか・・・


  『お前』にはそれを知る権利と義務がある』


 彼等にはそれ以上は聞こえなかった。
 だが、ネストは最後にこういった。

 『何故なら、お前は・・・』

 意味するところは、彼にはまだ分からない。
 ・・・だが。


この瞬間、「再生の時代」は終局を迎えた。


 「終わりましたね・・・」
 「そうだな・・・」
 終局を迎えたこと、それは紛れもない真実だった。



 そして、少年は宛の無き旅へ出て、故郷、滅びた都市には戻らなかった。
 そして青年はアイザックシティーに戻った。
 もう1人は親友に別れを告げ、何処へと去った。

 少年は目標を無くした。
 憎むべきモノを失った。
 人を殺し続け、ココロを失った。


 ここから少年の放浪は始まる。
第36話 完


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後書き代わりの座談会

ジオ「ルシード編その1完・・・第36話でした〜」
ノア「これでゲームに添った内容が終わったわけだな」
ジオ「そゆこと、これでようやっと多くの投稿キャラが出せるんだ」
ルシード「その前に出してやりゃよかったのに・・・」
ジオ「まあ・・・正直な事を言うとな、キャラ投稿用の掲示板作った頃にはこの辺まで考えてはあったんだよ」
ミリアム「修正とかすればよかったのに」
カリナ「時間は十分にあったでしょ?」
ジオ「まぁ・・・あったけどな・・・前のトコロを考える能力が低下してたんだよ、前へ前へって脳内の声がうるさくて」
ルシード「二重人格?」
ミリアム「サイコ系?」
ジオ「お前らそれ言い過ぎ」
カリナ「でもある程度は認めるんでしょ?」
ジオ「まぁ・・・そりゃあ、な、てか誰だって精神分裂みたいなの起こすだろうが、キレるって手段で」
ノア「お前普段からキレてるだろうが」
ジオ「う・・・」
ノア「反論しろって」

‐雑談終了‐

ノア「そうそう、そう言えば胸部にfingerを取り付けたって?」
ジオ「その通り、エランの技術供与がないから腕には取り付けできなかった、
   と、言うよりも指として使えなかったからだけどな」
カリナ「でも右腕はともかく左腕にはつけられたんじゃないの?ブレードだし」
ジオ「ヘタに取り付けたらブレード戦の邪魔になる、それに重量バランスの問題もあるからな」
ミリアム「でも、ふと思ったんだけど・・・セラフのハリボテって何のためなの?虚仮威し?」
ルシード「いや、あれは多分後ろを取るためのダミーってところだろ?」
ジオ「正解、その通り、電波障害でレーダー使用不能にしたのはオプション機能だ」
ノア「ヤなオプションだな〜」
ジオ「んな事言ったって射撃戦、戦車戦、航空機戦、AC戦、どれ取ったって普通は後ろ取った方が有利だろ?」
ミリアム「後ろが取りやすいからレーダーを?」
ジオ「ま、そう言うこと、レーダーが効かなければ動きってパターン化するか止まるからな」
ノア「じゃ、終了やね、お疲れ〜」
ジオ「って、行動早っ!」


なし崩しに終了。

ま、次回予告のちょうどいい機会ですからね。


ルシードはネスト崩壊の3年後。
ノアはジオの失踪より1年後。

互いが互いに、町中で出会う。


虚ろに、遮る物を排除するためだけに・・・



第37話『出会い』お楽しみに〜