ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第35話 残光―天使再臨―
マネージメントした青年は優秀だった。
それぞれにそれぞれの仕事、この都市におけるに大企業、
“クローム・マスターアームス”と“ムラクモ・ミレニアム”の仕事をそれぞれに与え、成功していた。
そしていつしか、その青年達は両企業の主力となっていった。
しかし、幾つかの依頼、お互いに潰し会う物は少年によって握りつぶされていた。
自らの手駒を失うことは自分の敗北と繋がってしまうからだ。
そして・・・
『ヨーゼフ・エルンスト』はクロームの『CHAOS』部隊を全滅させた。
『テオドール・ベルナー』はムラクモの『ジャスティス』を完全停止させた。
クローム社は、ほぼ全ての力を注ぎ込んだ作戦であったためこの作戦の失敗によって急速に衰退していった。
ムラクモ社は、どうにか生き残ってはいたが、その後、急速に勢力を拡大していったバージュ社によって滅亡した。
『何も変わらねぇのかよ、結局・・・』
それは2人の青年の言葉、そして少年にとっての始まりを示す言葉。
「来たか・・・」
多少緊張した面持ちで、少年は依頼文を読んでいた。
ネスト内部に侵入した侵入者の排除。
そうだとすれば何故復活したあの機体。
『ナインボール』を使わないのか?
そして他にネストに所属する特殊戦闘部隊を使わないのか?
それらの疑問は少年の頭の中ですぐに氷解した。
秩序を破壊する者の消滅。
そのための依頼であると・・・
「生きて帰れ」
それが少年が青年に対して言った言葉。
この青年達には全ての事情を話した。
何故かは知らない。
でも、話さねばならない気がした。
そして全ての事情を知った上で青年達は頷いてくれた。
仇を討つ。
この時代にはする事すら虚しいこの行為を。
共感し、納得し、自らの命を投げ出す覚悟で。
「ヨーゼフ、君は左だ」
「OK、出来れば生きて再開しようぜ」
「ああ、そちらの戦力はこちらほど多くはないはずだ、出来ればこっちの支援も頼みたい物だな」
ヨーゼフとテオの陽気な軽口が少しだけ響く。
青年達は陽気なわけではない、いつか自分以上の技量の持ち主に殺されるかもしれない。
そして今日がその日かもしれないのだ。
そんな中、最強と呼ばれた存在の前で何故戦力を分散させねばならないか。
それは同時に制圧することで再復活を防ぐためである。
それが無謀だとわかっていても。
『無駄なことはやめろ』
威圧感を感じる声。
それは以前よりも弱々しかったが、それは確かに存在した。
「無駄かどうか・・・試してみるか?」
ロックされたドアを破壊し、奥へと進む。
ナインボールが8機、部屋の中に存在した。
『抵抗してももはや無意味だ』
「おいおい、マジかよ?」
テオから陽気な声が消えた。
「一撃でヘッドかコアを破壊すれば倒せるぞ」
その説明の間に少年は一機のコアを破壊する。
「よ、よっしゃ」
テオのAC『リオネッセ』は何発も被弾しつつも一機のコアを破壊する。
五分後、その部屋の中には8機の紅い残骸があった。
『お前の運命はもう決まっている』
「そうだ・・・滅び去ること・・・それがお前達の運命だ」
「先へ・・・進むぞ」
その直後、ヨーゼフからの通信が入る。
「こっちの制圧は完了しました・・・こちらは端末のみです」
「そうか・・・わかった、ちょっと待っていてくれ・・・こっちはまだ先があるからな・・・」
「分かりました、待っていますよ・・・ちゃんと生きて通信下さいよ」
「よし、先を急ごう・・・」
その先の部屋の中に鎮座せし存在・・・
2機のナインボールセラフ。
紅い天使は再び降臨した。
数を増やして、少年達を待っていた。
第35話 完
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後書き代わりの座談会
全員、夏にやられてます(クーラー無しだし)
ジオ「35話、天使再臨でした」
ノア「おいおい、セラフ二機ってよ、無茶しすぎてないか?」
ミリアム「確かにそうね、強いかもしれないけどテオって一般人なんでしょ?」
ジオ「・・・ジャスティスを単機で止められるような奴が一般人か?」
カリナ「一般人にしては強いわね、でもそれだけでしょ?」
ルシード「それを言うなら俺だって設定上はただの一般人の復讐者だろ?」
ノア「ま、一般人同士頑張れってことで」
ミリアム「それ適当すぎ」
ジオ「ナインボールを墜とすようなのが一般人じゃないって分かれよ、そろそろ」
カリナ「確かに設定上ナインボールは最強だけど・・・」
ジオ「はいはい、実際それより強いのはごろごろいる、だろ、わかってるってば」
ルシード「設定と実力の相違、コレが問題だな」
ジオ「そんなこと言ったってホントに最強にしたらゲームのクリアなんか出来るわけないだろ」
全員暑いためグロッキー状態だと判断したので打ち切り
次回は・・・
再生の時代の終焉。
ルシード編その1の最終回(予定)です。