ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第34話 沈み往く彼の地―レイヴンズ・ネスト―
執念。
それが機械に宿るとすれば、眼前の紅い天使には確実に宿っていた。
消えていたメインカメラがこちらに向き、光を発した。
左肩が爆発し、地面へと落ちる。
それでもなお、ゆっくり、ゆっくりと歩き出す。
黒い天使を破壊するために。
残っていた右腕を伸ばし、火器を構える。
そして、コックピットに狙いを定めた。
「ここまでか・・・」
以外にあっさりと、少年は自分の死を覚悟した。
右足が爆発し、天使が倒れる。
紅い天使が。
執念が途切れたかのように、紅い天使が燃えていた。
そして、最奥部へと少年は向かった。
自走だけは可能な黒いACで。
「これは・・・」
そこには、綺麗な星が広がっていた。
どこまでも青く広がるソラと海。
緑に広がる草原と山。
そんな平和な惑星が広がっていた。
『秩序を破壊する者よ・・・』
聞き覚えのある声。
『何故地球を再び永遠の暗黒の中に貶めようとするのだ?』
それはあの日、通信で聞いたナインボールの声。
「それはお前が家族を殺したからだ」
『・・・少なくとも現在の人間には地球は必要だ、だが地球にとって、人類は必要か?』
「なんだと?」
『あの日、大破壊の日より我らは地球の環境のため、人類の未来のために動いてきた』
「人類の未来を担う物が人類を殺すものか!」
『我らは人類よりも地球を優先する』
『緑の惑星、地球それを取り戻したとき、我らの使命は終わる』
『そのために我らはここに存在するのだ』
少年は無言で近づき、ミサイル迎撃用のバルカンを発射する。
『何故だ、お前に人類の未来を決定する権利など無いのだぞ・・・』
「人類の未来を決める権利はない、だが、自分の未来を決める権利はある、それが人類の未来を左右することになっても・・・知ったことか」
『そうか・・・お前は・・・』
「黙れ!」
少年は撃ち続けた、自らの幸せを壊した物を。
少年は撃ち続けた、自らの家族を殺した物を。
その直後、アイザックシティー近郊で起きた謎の爆発と共に一人のレイヴンがアリーナを去り・・・
しばらく後、突如ネストが活動を停止した。
それから僅か半年後、ネストが不完全ながらも活動を再開する。
以前のようなアリーナはなく、ランキングシステムの導入などで補われていた。
倒すべきものが復活しても、少年は直接戦場には戻らなかった。
少年は密かに反ネストのノーランカーとして行動し、
同時にレイヴンのマネージャーとしてネストに所属した。
そして内部から再度破壊をするべく活動を再開したのである。
この時マネージメントした二人の青年。
『テオドール・ベルナー』と『ヨーゼフ・エルンスト』
それが彼等の名前である。
第34話 完
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後書き代わりの座談会
ジオ「はい、MOA編終了の34話です」
ノア「ギリギリの勝利の後でよくまぁ弾薬が残っていたな」
ルシード「それはミサイル迎撃用だからだろう、それよりもよくそれでネスト本体を破壊できたな」
ジオ「それはお話の都合さ、ある程度は都合ってのがあるからね」
カリナ「でもネストにしても本体が破壊されてよく復活できたわね」
ジオ「それが敵だよ、いくら叩きつぶしてもポコポコ出てくる、それも強いのがね」
ミリアム「じゃあどうやってネストはネストとして復活したの?ほら、ネストの後釜ってあるじゃない?」
ジオ「ああ、それか?本体は攻撃を受けた後ネット上に機密情報なんかをこっそり流したんだね。
それでその後情報を自律システムで1つに集合させた、それがAC初作のコンピューターだったんだよ」
ルシード「それじゃあいくら倒しても無駄だろう?」
ジオ「だっからぁ、どうしたら倒せるかを考えてみろって」
ノア「・・・あ、そうか、通信ケーブルを全滅させればいいのか」
ジオ「そう言うこと、で、ネストが通信ケーブルを回復させる前に破壊すればいい」
カリナ「あ、それでアリーナ制が無くてランキングシステムになったのね」
ジオ「その通り」
ミリアム「どういうこと?」
ジオ「まぁつまりアリーナというシステムはネストにとってそれほど重要なものじゃ無かったからな、
ネット上に移し終わる前に破壊されてしまったわけだ、本体が」
ノア「それはそうと最後に出てきたあの2人、名前を見たことがあるような気がするぞ」
カリナ「あ、そう言えばそうね」
ジオ「歴史家だ、色々と本を書いてる」
ミリアム「あっ、いたわね、そう言えば」
ルシード「だから一般人の知りようのないことを知っていたわけか」
ジオ「そう言うことだ、今までのはその伏線だ、一個だけ解けたろ?」
カリナ「微妙な伏線よね」
ノア「気付いた人がいるかどうか・・・」
ジオ「まあそれはいいじゃないか、そろそろ終了にしようぜ」
ミリアム「あ、逃げる準備してる」
ジオ「気にするな」
‐逃走完了‐