ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第32話   沈み往く彼の地―赤い真実 紅い事実 緋き真相―




 「これは・・・」
 間違いなくナインボールの物。
 彼が殺したはずの存在。

 『あなたはナインボールを倒した、そのはずです。
  なのに何故、彼は今もアリーナに存在するのでしょうか?
  ハスラー・ワンに関する有力な情報はいまだにほとんどありませんが、
  彼のデータに細工をしていたのかが何者なのかは分かりました。

  ネストです。

  レイヴンズ・ネストが彼に関するあらゆるデータを操作していることはほぼ間違いありません。
  ハスラーワンと何があるのかまでは分かりませんがただのレイヴン支援組織、
  レイヴンのためのネットワーク組織ではないようです』

 しかし、それを疑問に思いながらも仇に出会うことなく時は過ぎていった・・・


 そして・・・

 遂に彼はアリーナ2位となる、トップランカー、ナインボールのすぐ足下まで。

 『私は現在、自分が知りうる限り最も安全な場所にいます。
  ネストのデータバンクをさぐったところ、
  ナインボールの搭乗者データには『H−1』という謎めいた言葉が記録されていました。
  特定の人物名というよりも、まるで何かのパーツのようだ・・・
  私の受けた印象はそうでした。
  ハスラー・ワンなどという人物など、実在しないのではないでしょうか?
  そして同じデータの中に以前に君のマネージャーであった『ラナ・ニールセン』と言う名も確認できました。
  彼女とナインボールは何らかのつながりがあるはずです。
  十分に気をつけて!』

  『久しぶりだ。
  ランキング2位、おめでとう。
  お前がここまでに成長するとは、正直思ってもみなかった。

  お前は私の思惑を遙かに超える力を身につけた。

  十分すぎるほどに。

  覚えているか?
  いつかナインボールに会わせてやる。
  私はお前にそう言ったはずだ。
  今、その時が来た。』



『発信者 :ラナ・ニールセン
成功報酬:60000C

アイザックシティーの近郊に、その存在すら知る者のない一つの工場施設がある。

そこで私は待っている。


襲われる研究員。
狙われるレイヴン。
倒しても消えないアリーナのトップ。


お前は既に答えを得ているはずだ。
それを確かめに来るといい。


作戦領域:工場施設
敵戦力 :不明
成功条件:施設最深部への到達』


 自ら導き出した考え、そしてエラン・キュービスによる情報。
 それは1つの答えを頭の中に作り出す。
 だからこそ、罠と知っていても行くしかなかった。
 最後に奴が待っている。
 それが何者で、何を求めていたとしても、後悔はしないはずだった。
 いや、例え後悔したとしても納得の出来るものが得られればそれでいい。
 少年はそう結論した。



 『メインシステム、戦闘モード起動します』



 『お前達は何故現れる』
 突然、目の前にACが現れた。
 反射的、いや、シナプスの伝達速度さえ超越したかのように、
 刹那の間に、コックピットをブレードが貫き、スナイパーライフルで頭を吹き飛ばしていた。
 そして、その後、その残骸がナインボールだった、と気付く。
 『何故邪魔をする』
 そして、その後、残骸には目もくれず、少年は先を急ぐ。
 それがナインボールであることに気付かずに。
 『企業、AC、そしてレイヴンズネスト』
 「な・・・」
 少年は驚愕の事実に直面した。
 『全ては私が作り上げた物』
 ナインボール。
 最強の存在を生み出す工場。
 それがここだと気付く。
 無人機。
 それがナインボールの正体。
 『荒廃した世界を、人類を再生する』
 事実に震えていた。
 殺された家族、それは機械によって殺された。
 その思いこみから発した『彼にとっての事実』に。
 『それが私の使命』
 「そうか・・・」
 ならば、悲劇を繰り返させない。
 それが自分に課された使命なのだと決めつけて。
 『力を持ちすぎた者』
 少年は、そして裏切ることのない戦友、ACは、課せられた使命を果たすべく・・・
 『秩序を破壊する者』
 戦場に立った。
 『プログラムには、不要だ』
 死ぬためか、生きるためか、考えずに。
                           第32話 完



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後書き代わりの座談会

今回、ノアとルシードは疲れでダウン。
カリナはまた病気なので今回はミリィと2人です。

ジオ「はい、32話です、遂に決戦ですね〜」
ミリアム「そうねぇ、心理描写が冗長気味な気もするけどまあこれはこれでいいんじゃないの?」
ジオ「最短で結論が出ました、終了です、とか言う気か?」
ミリアム「そ、それは違うわよ」
ジオ「だったらどもるなよ」
ミリアム「それは、そう言うことにしておいて、孤独な戦いよね、しかも勘違いの戦いだし」
ジオ「まあ、これ、ちょっとだけ見てると凄くシリアス(にしてるつもり)なのに現実を見ると凄い滑稽なんだよな」
ミリアム「でも、何でもっと物量を用意してないの?それにわざわざ本部に招いて戦うなんてどう考えてもおかしくない?」
ジオ「ん〜、話の都合、とかそう言うのを考えなければ考えられる事もあるぞ」
ミリアム「え?何々?」
ジオ「まずさ、ナインボールだけど一応表面上は一機だけだろ?それが何機も集まってる所を見られたらまずいだろ?」
ミリアム「始末したらいいんじゃないの?ほら、一応最強なんだし」
ジオ「アイザックシティー近郊に工場があるんだろーが」
ミリアム「あ、そっか何人に見られるか分からないんだ」
ジオ「そ、不特定多数に見られたらさすがにネストだって全滅させる事は無理だろうし、
   仮に出来てもその間に噂が広まりまくるのには間違いないだろーね」
ミリアム「つまり、一機じゃ倒すことは出来ないしかといってたくさんで攻撃したら問題がるからおびき出したって事?」
ジオ「そう言うことだ」
ミリアム「でも、でもよ?あの途中にあるナインボールはどうして動かなかったの?」
ジオ「さて、ここで個人的設定です、ルシードの出身の小都市は何が主産業でした?」
ミリアム「それは・・・あ、そっか、電子部品ね」
ジオ「そう言うこと、部品なんか機会の類はあの時代でも結構高いだろうし、それに強盗が最初に狙うのは現金か特産品だろ?」
ミリアム「つまり代わりの部品を作る機械を買うお金が無くて電子部品もネストに売れなかったって事?」
ジオ「ま、そう言うこと、つまりアレは装甲のあるハリボテだったってことさ」
ミリアム「へ〜、ちゃんと考えてるんだ〜」
ジオ「ま、多少の想像力は必要だろ?」


この後雑談に移行、ってことで終了です。
さ、次回はナインボールとの決戦です。
ルシード編の前編も後僅かですね〜(ルシード編は前、後編の予定です)

まだ次回は細かい部分をほっとんど何も考えてません。
とりあえず次回も期待してください。