ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第31話   決着―真相への道標―




 エラン開発主任の居る研究施設への侵入者の全排除。
 そこで少年は再び仇としたモノに出会う。

 『何故、ここにいる』
 「それはお前がここにいるから」
 少年は答えた、凄まじい戦いが始まった。
 互いに引くことのない戦い。
 ブレードとブレードが接触した刹那、少年はスナイパーライフルを敵に向ける。
 その動きを予想したかのように斜線軸より離れるナインボール。

 戦うものは2人。
 最強の存在を自負するナインボール。
 この半年でサブアリーナからアリーナにのし上がったルシード。
 この両者の戦いは誰もが震え上がるほどにレベルの高いものだった。
 「はっ!」
 一瞬だけ、ナインボールの体勢が崩れた。
 それは付け入るどころか、それが隙とは気付かないほどの一瞬。
 「ふん!」
 その瞬間を見切り、ブレードを突き刺すようにナインボールへと向けるルシード。
 避けきれずにブレードの腹で受け止めるナインボール。
 しかしその瞬間を少年は待っていた。


 WA−finger‐改

 完全に腕部と化していた指。
 そこから銃弾が発射される。


 何十発もの銃弾がナインボールに突き刺さった。


 「大きすぎる・・・修正が必要だ・・・」

 閃光弾。
 一瞬だけ少年は目を閉じた。
 その一瞬でナインボールは撤退した。
 少年も、今度は冷静に、深追いしようとはしなかった。



 その日のうちに、ラナ・ニールセンから支援中止が通知された。
 それでも依頼は時折来た。
 少年は、それを確実にこなしていった。

 戦闘、勝利、その繰り返し・・・

 とあるミッションの後、エラン・キュービスよりメールが届く。
『先日はありがとう、君がいなかったら今ごろどうなっていたことか。
今回は現れなかったようですが、ナインボールについて判明した幾つかの奇妙な点をお教えします。
一つはネストに登録されているパイロット、ハスラーワンですが、
彼に実際会ったという人物が誰一人いないこと。

そしてもう一つ。
ハスラーワン、及びナインボールに関する情報の多くが、ネットから巧妙に消されていること。

これは大変興味深いことです、一層関心がわいてきました。
また何か分かり次第、連絡します。』

 さらにその数ヶ月後。
『お久しぶり、私です。
調査を進めた結果、ナインボールに関わった企業にある共通点が浮かび上がってきました。
彼の関わった企業はどれも衰退するか、逆に業績を伸ばしているようなのです。
それもごく短期間に。

一連の襲撃事件もおそらくは急激な成長を遂げたプログテック社を潰すためだったと考えられます。

ただの優秀なレイヴンでないことは明らかです。
彼は一体何者なのでしょうか?』




 そして・・・
 1つの依頼文書が届く。
 ナインボールにエラン・キュービスのチームのラボの置かれた施設が攻撃を受けているという、
 それを戦って排除しろとの依頼。
 その中の敵戦力、ナインボールのところに目が止まる。

 施設の内部を攻撃中の敵部隊を攻撃する。
 すなわち交戦中、敵の撤退は無い。
 「決着を・・・」
 そう考えていた時、既にコックピットに乗り込み、各部を点検していた。



 戦いを望む遺伝子。
 戦士の遺伝子。
 そう呼べるものが、少年にはあるのかもしれない・・・


 そして・・・
 「どけっ!」
 少年は叫んでいた。
 自分の仇と自分を遮る敵に向かって。
 仇を討つ事が出来る。
 それだけで頭が一杯になってもおかしくない状況下で、それでもなお少年は冷静だった。
 「無駄弾を撃つな、無駄弾を・・・」
 一撃、相手を牽制するように撃ち、一瞬怯んだ隙にMTのコックピット3つを貫く。
 『こちらはエラン・キュービスです、今、ナインボールが私の目の前にいます』
 さすがに少年は驚いた、殺されるかもしれない相手を目の前にして通信を入れる。
 その場で殺されてもおかしくない状況だからだ。
 なぜならここはエラン・キュービス開発主任のラボである、
 つまり敵の狙いがエラン開発主任だ、と考えていたからだ。
 『どうやら敵の狙いは私ではないようです』
 その言葉に一瞬動きを止める、だがまたすぐに動きだし、思考を進める。

 『何故ここにいる』
 『大きすぎる修正が必要だ・・・』

 その言葉は確かに自分に向けられていた。
 だとすればエラン・キュービスさえも利用して自分を排除しようとするのだろうか、あのトップランカーは。
 普通レイヴンはそこまで自己の意志を行動に移さない。
 それは余程の狂人か、もしくは自分のような復讐者だけだ。
 そう少年は結論づけた。
 『どうやら彼はあなたを待っています、気をつけて!』
 「わかっている、俺もあいつとの決着を望んでいた・・・」



 そして最奥部、エラン開発主任ラボの実験室――その奥に彼のデータールームがある――に辿りつく。
 そこに・・・赤い紅い・・・
 憎むべき緋いACが佇んでいた、少年との決戦を望み・・・

 『力を持ちすぎる者は全てを壊す』
 不思議と落ち着いていた。
 そして相手を見据えていた。
 『お前もその一人だ』
 「だとしたら・・・俺の力はお前を倒すために存在する」

 互いに一瞬で間合いを詰める。
 遠、中距離での射撃戦は無く、ゼロ距離での近接白兵、そしてゼロ距離での砲戦というかつて無い決戦が始まった。



 「おかしい・・・」
 少年は口に出して言った。

 トップランカー、それは比類無い強さを誇る者に与えられる称号である。
 そして接近してきたということは接近戦も得意だということの証明でもあるだろう。
 だが、それも少年の技量に圧倒されていてまともに攻撃が当たっていない。
 「本気を出せ」
 少年のACのブレードがナインボールの右の肩口を捕らえた瞬間、少年は通信を入れた。
 それが囮だと言わんばかりに左からブレードが飛んでくるがそれを上昇によって軽く避ける。

 ワンテンポ遅いのだ。
 少年の反応速度よりも。
 ナインボールの行動が。

 端から見れば、それは余程高い技量の持ち主でもなければ、いい線で張り合っているように見えるだろう。
 だが、この戦いは明らかに少年に分があった。
 破損した右肩に再び攻撃を加え、袈裟懸けに切り落とす。
 その勢いを殺さず、四足という特性を生かし通常よりも深くしゃがみ込み、残った左からのブレード攻撃を回避する。
 立ち上がる勢いとともにブーストで距離を少しばかりとり、エラン・キュービス開発のスナイパーライフルを叩き込む。
 それは左腹部をえぐり取る。
 「本気を出せと言っている!」
 再度ブースターを噴かし無理矢理方向を変えると、そのままナインボールに袈裟懸けに斬りかかる。
 ナインボールの回避方向すら無視し、人間で言う右鎖骨から一気に左腹部までを切り裂く。
 刹那の爆発。
 恐らくジェネレーターの爆発が全体の爆発を誘発したのだろう。


 後には・・・黒い四足のAC。
 そしてACの残骸・・・


 『残りの部隊は撤退したようです』

 その声は少年には届いていなかった。
 仇は確かに討った。
 そしてそれは弱すぎた、少年の腕は仇とした者を遙かに凌駕していたのだ。
 そしてふと思う。
 これからどうすればいいのかを。



 そして次の日、何もする気が起きず、ふと目を通した新聞。
 『ナインボール、テロ撃滅』
 少年はそんな記事を見つけた。
                              第31話 完



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後書き代わりの座談会

テストが近いので座談会無しとなりました。

31話です。
MOAのストーリーに乗っ取って展開するストーリーですが、戦闘シーンには力を入れました(後はストーリー辿るだけだし)

参った、正直話すところがないぞ。




あ、そうそうナインボール撤退のトコロですがゲーム上だと主人公、追撃しませんよね、背中を見せたとき砲撃も加えませんよね。。
そういうことで閃光弾を使わせました。





ああ、そうそう第2部からも予測できることですがこの時既にエラン・キュービスはアイザックにいません。
もう既にあの街へ移住が完了してます。
この時ルシードと行動していたらどうなっていたことでしょうかね?
そんな歴史の小さなifを考えてみてもイイかもしれませんね。




・・・ホントにこの位しか話すことがないや。





戦い続け、真相へと次第に近づく少年。
それはネストにおける排除対象となることだった。

ネストと敵対し、生きていた者はかつていない。


そうだとしても、彼は前進を続ける、敵を討つために、真相を知るために。


第32話『沈み往く彼の地』お楽しみに