ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN



第29話   出会い―行動の指針―




 「無法者排除」
 紅いAC、ナインボールの電子頭脳は今度の作戦を読み取った。


 アイザックシティーアリーナ1位、ナインボール。
 その正体はレイヴンズネストを守護し、絶対なる秩序を守るために作られたAC・・・
 いや、無人の量産AC型MTである。
 この小さな都市の数少ない産業、AIチップはネストが全て買い取っている。
 よってこの都市が消滅した場合、ナインボール型を中心とするネスト防衛部隊の作成が遅れてしまう。
 だからこそナインボールが1機、派遣されたのだ。


 「ナ、ナインボール?」
 この近隣でナインボールのことを知らないAC、MT乗りはいない
 「に、逃げろ!」
 夜盗はなだれをうって逃げだし、二手に分かれる。
 兵力の多い一方に狙いを定め、一機で殲滅していく。

 もう一方は逃げだし、生き抜けたことを感謝しつつ、逃げ出す準備をしていた。


 ・・・だが、そこにはそれ以上に危険で、好戦的な存在があった。



 突然一機が切り裂かれる。
 レーダーには何も映し出されてはいないのに。
 「貴様らを・・・生かして返すわけにはいかない!」
 少年は必死でACを操縦していた。
 そしてそれは初めてACに乗ったとは思えないほど上手く、滑らかな動きをした。

 そして黒いAC、ステルスを搭載した『ブラックナイト』は装備されたブレード・・・
 『LS−99 MOONLIGHT』を振るう。
 死を呼ぶ黒い嵐、そう呼んでもさしつかえないような攻撃だった。

 「うわああああああああああ!墜ちろ!墜ちろぉ!」
 マシンガンを乱射しながら夜盗は叫ぶ。
 だがそれではACの装甲を削りきることは出来ない。



 数秒ごとに炎上するACとMT。



 先程まで人々に与えていた感情。
 『恐怖』
 それは生き残っていた夜盗達を捉えて離さない。

 たちまちのうちに全滅した。

 少年は荒い息をたてていた。
 初めて人を殺す感覚。
 それは信じてもいない神に祈るような気持ちになっても不思議のない感触だった。


 「あれは・・・」
 向こうからやってくる紅いAC、ナインボール。
 戦闘態勢を解かず接近する。
 ナインボールは夜盗が全滅したことを確認し、戦場を離脱した。

 夜盗のボス逃げられる!

 そう考えた少年は手に持っていた実弾系スナイパーライフルを乱射する。
 何発射撃しても一発も当たらない。
 「くそ・・・」
 悔しさで拳を強く握る。
 両の拳から血がにじんでくる。


 あいつに・・・家族を、みんなを殺した復讐をしてやる・・・
 殺してやる・・・絶対に。


 それは少年の勘違いから。
 でもその時は憎しみだけで。
 他の物は何も見えない。
 例えばそれが、死んでいった家族の想いとは違っていても。
 その時にはそれは解らない。


 そしてその時、1つの転機が訪れる。
 冷静に物を見られるようになる外部からの接触が。


 『『力が欲しいか?』』
 コックピットの端に表示される文字。
 『『レイヴンになりたいのか?』』
 それはネットワーク上の人物。



 ラナ・ニールセン



 それが少年にとっての、全ての始まりだった。
                           第29話 完



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後書き代わりの座談会

ジオ「結局ナインボール出しました、29話です」
ノア「・・・コレってMOAだよな?ストーリー的に」
ルシード「その場合は大変なことになるな、勘違いだし」
ジオ「いや、でも実際勘違いで戦闘した阿呆共はいるぞ、ほら、ノモンハンの旧日本軍(の司令官)とか」

(このあたりは非常に濃い話題なので切り取り)

ルシード「それはそうと・・・右腕のアセンブルが違っているようだが?」
カリナ「それは当然でしょ?プログテック社から貰うんだから」
ノア「でも月光はデフォルトなんだ」
ミリアム「無茶なの出しすぎな気もするんだけど」
ジオ「気にするな、小説なんだし」
カリナ「もう既に30話近い段階で既に『小』じゃないような気もするけどね」
ノア「しかも伏線っぽいのが大量配置されてるって事は相当長いだろ?」
ジオ「下手すると3桁行く」
ミリアム「長っ!」
カリナ「それだけやってて、纏められるの?」
ノア「終わってから「あ、この伏線とくの忘れてた」じゃシャレにもならないぞ」
ジオ「大丈夫、構想は大体できててあとは形作りだけだから」
ルシード「それで良いなら良いけどな」
ジオ「じゃ、終わりにしよっか」
ルシード「そうだな」

全員「次回もよろしく」