ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第23話   誰が為の過去(きのう)―最後の仕事―




 「本日君達に集まって貰ったのには理由がある」
 会長の部屋、そこにはGOADのメンバー、それに飛燕分隊の隊長が集合している。
 現在までは全て作戦指揮をミリアムに任せていた事もあり、ほとんどのメンバーが緊張を隠せずにいる。
 「ネオ・バグの発生源が分かった・・・」
 それは、短い言葉ながらもその場の全員に緊張を最大限高めるのに充分だった。
 「諸君、ケミカルダイン社を知っておるかね?」

ケミカルダイン社・・・
六年前のアイザックシティー抗争の時代、
覇権を争っていた2つの企業のうちの1つの傘下にあった企業で、
センチュリオン・バグ等の生体兵器を開発していたが、
とあるレイヴンによって壊滅させられている。

 「確か・・・アイザックシティーの企業の1つでしたね、崩壊したらしいですが詳しくは知りません」
 トガワが答える。
 詳しく知らないのは当然である、ここはアイザックとは海一つ隔てている、
 大破壊、そしてネストの崩壊と混乱した情報網では詳しい情報など入ってくるはずがない。
 「ああ、かつてケミカルダイン社は生体兵器を作っていたらしい。
  恐らくバグはそれを発展、進化させたか、例のヴイルスをを投入したのだろう。
  どちらにせよ放置は出来ない」
 「それで・・・我々はここを離れてそこを襲撃せよ、と?」
 「正確には違うな、既にそこは壊滅している、
  諸君らにはある都市の近郊に確認された残存する施設の急襲だ、
  ここは現在も稼働しているのが確認されている、おそらくここが最後の施設だろう」
 「・・・つまりこれが我々GOAD最後の作戦である、と?」
 ユキムラ尋ねる。
 「恐らくな、これが終了した場合、この都市がバグの驚異に晒されることはまずあるまい
  ・・・だがな、当然のことながら襲撃する場合、敵は最精鋭をぶつけてくるだろう。
  そこでだ、ここで君達が出撃するかしないかを決めて欲しい、
  これが君達を呼んだ理由だ」
 ざわめきが起こる。
 「私は行くわよ」
 そして一瞬でざわめきは治まる。
 カリナだった。
 「当然、私も行くわ」
 ミリアムだ。
 「それでは私も」
 ユキムラだった。
 「それじゃ俺も行かないとな」
 トガワ。
 「我々も行くぞ、サポートくらいならできる」
 飛燕分隊長も次々と出撃を表明する。
 「決まりね、会長、我々は全員で出撃します」
 「そうか・・・行ってくれるか、ありがたい、それでは頼む、既に装備は完了しているはずだ」
 「了解!」
 部屋にいた全員が会長に敬礼した。



 『作戦領域に到着しました、ルート変更命令が施設より出されています』
 「構わないわ、無視よ!私達のACがまず対空火器を潰します、そしたら飛燕を降ろして!」
 「了解!生還と武勲を祈る!」
 「システムを戦闘モードに移行、各部異常なし!降下!」
 ミリアム、カリナ、トガワ、ユキムラのACが大型輸送機から降下する。
 「分かってるわね!まず対空火器を潰すのよ!対地火器は自己の判断で避けつつ、
  他メンバーに攻撃を加えようとしているものから破壊するのよ!」
 「了解!」
 ミリアムの指示に、全員が了承サインを送る。
 「右前方24°、56°、64°、それに左32°に対空火器を確認しました」
 言葉とほぼ同時に爆炎を上げて壊れてゆく対空火器。
 こういうとき、他の誰よりもユキムラのACの索敵能力は貴重である。
 「トガワ!後ろに対地火器が!」
 言い終わるよりも速く炎上する火器。
 「へへへ、こういうことをやってみたかったんだ」
 見るとトガワのACが装備するハンドガンが後ろを向いている。
 当然だがこの状態ではFCSの援護は無い、それでも正確に当てている。
 「一度で充分だけどな」
 トガワも頃合いを見計らって急速反転しFCSを再び使い始める
 「ミリアムさん、この辺りの対空火器の破壊は完了したようです、飛燕降下の準備をさせます」
 「わかった、次に施設へむかうルート上の対地火器を破壊するのよ!
  あとカリン!グレネードの無駄撃ちがあったわよ、ただでさえ弾数少ないんだからね」
 「でも補給道具は結構あったわよね?大丈夫よ」
 「・・・それでもいつ足りなくなるのか分からないんだから一応自重しておいてよ」
 「は〜い」

 五分後、飛燕降下開始
 その2分後 対地火器破壊完了
 その1分後 飛燕降下完了
 だがここに特記するべき事はない。
 強いて上げれば一機だけ飛燕が破壊され、パイロットが脱出したことだろうか。

 「突入するわ!総員、気を引き締めて」
 かなり広い地下研究施設の入り口、そこに総員が集結している。
 「まず、無人の高機動型ビショップを前面と後方に配置して警戒しつつ前進するわ」
 「了解」
 突入して数分ほどしてミリアムは気付く。

 【どうして残党勢力がこんな本部から離れたところにこれだけの施設を建造、維持出来るの?】

 時間の違いこそあれ、全員がその事に気が付く。
 「ミリアムさん・・・前方に反応、警備部隊のようです、速度からして敵は警戒速度のようです」
 ユキムラから報告が入る
 「接触まで、射程距離まであとどのくらい?」
 「恐らく相対速度から見て15分から18分・・・」
 「わかったわ、総員第1戦闘用意!後方の飛燕第3部隊は挟撃を警戒しつつ前進速度低下させて!
  他部隊は前進速度をそのままに射撃用意をして!」
 「了解!」
 「ところで、敵規模はどのくらい?」
 「細かい数まではわかりませんが・・・こちらより5機ほど多く反応が出ています」
 「無人機の前進速度を上げて様子見をしましょう」  「了解」
 「ところで、ミリアム、なんでこんなでかい施設を残党勢力がこんなところに建造できたんだろうな?」
 トガワがさっきからの疑問を口にする
 「さぁ?それはお互い生き残ってから考える事にしましょう」
 「生き残れるといいけどな・・・」
 ここでミリアムが違和感を覚える、弱気のトガワなど今まで見たことがなかったからだ。
 「どうしたの?」
 「いや・・・この仕事が終わると俺らってお役後免じゃねえか、それ考えるとな・・・」
 「そう言う心配は生き残ってから・・・」
 衝撃が来た、相手が瞬時に間合いを詰めてくる瞬間に感じる殺気。
 「飛燕第一!ユキムラのガードについて!」
 この状況から敵は超高速移動をしている、これでもしユキムラの索敵能力が無くなれば危険だと判断して指示を下す。
 「無人機の反応消失!敵一機が超高速で移動中!こっちに向かって来ます!・・・これは・・・」
 「どうした?何だ?」
 「データベースに反応・・・形状から敵は・・・『デストロイ』と思われます・・・」

『デストロイ』・・・
崩壊したレイヴンズネストにおいてナインボールと共に戦線を張り、
ナインボールと同等、もしくはそれ以上の力を持つと言われたノーランクレイヴンの一人。
しかしそれは正式には確認はされたことがない、
理由は単純、その部隊と戦い、生きて帰った人間がいないからだ。
装備については謎の部分だらけで、違法改造どころか違法製造されているとの噂である。

 この地方に来たとき、この地方に存在する全ての情報をインプットしておいたことがアダになった。
 飛燕部隊は浮き足立ち、混乱している。

 しかし何故このような情報が存在したのか?
 ネストの情報はもちろん、この大型ACと戦ったことのある企業でも、自分たちだけで対策を完成させようとしていたため、
 ナインボールやデストロイの情報については秘匿性が高く、外部に漏れることはまず無いはずなのだ。

 「デ、デカイ・・・2〜3倍はあるぜ・・・」
 「浮いている・・・宙に浮かんでいるのか?」
 デストロイは何も語らず、一発の大型ロケットを発射する。
 そして、それが空中で分解し、無数のミサイルを放った・・・
第23話 完


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後書き代わりの座談会

カリナ、本日風邪のため欠席。

ジオ「さて、ゴールデンウイーク、皆さんいかがお過ごしでしょうか?23話です」
ノア「待てこらボケ」
ジオ「誰がボケか?くおら」
ルシード「いきなりAC2の機体、フロートにコンテナミサイルが出てるぞ・・・これACの時代だろ?」
ジオ「だって〜、それがやりたかったんだもん、オーバーテクノロジー機体登場って燃える展開じゃない?」
ミリアム「そうかしらねぇ?」
ノア「お前時代設定がちゃんとしてないのは嫌い、ってスパロボ嫌いのくせにお前のは何じゃ」
ジオ「ふっふっふ、そう言われると思ったよ、ちゃんと考えてある、これを見ろ」

図を広げるジオ、年表である。

ジオ「基本的設定思想、そう言うモノは既にここで(ACの時代に)出ていると考えよう、これが前提ね」
ミリアム「前提知識から既に仮定の話なの?」
ジオ「ま、そう言うことだ、これをネストは少数生産、採算度外視でね、まぁ使い物になるのが一機、このデストロイのみだとするだろ?」
ルシード「フロートという未知数の存在にネストの全力と採算度外視で金をつぎ込むか?普通?」
ジオ「まぁそう言うことにしてくれ、まぁこの機体は火力こそ絶大だったがバランスもどうにか使えるような程度でしかなかった」
ノア「そもそもこんな物が流通すると大変だろうしな」
ジオ「そこでネストは以前から試作生産段階にあったナインボールを制式生産、これを前面に押し出すことで他の機体を隠匿した。
   それがデストロイなどの、いわゆる影の中に消えたネスト機体の誕生だ」
ミリアム「まだ居るのね、こういうオーバーテクノロジー機・・・」
ジオ「出すかどうか未定だけどね、設定ではいることになってる」
ノア「それで?」
ジオ「そのうちに。地球歴200年代になってからだな、フロートが一般企業においても制作に成功する。
   その有用性にいち早く気付いて生産開始した企業がジオ社と、エムロードだったと」
ノア「それで?」
ジオ「それだけ」
ミリアム「適当ね・・・」
ジオ「気にするな、どうせ半分こじつけだ」
ルシード「今まででも有数の適当さだな」
ジオ「そうかもね・・・とりあえず終了」
全員「次回をお楽しみに」