ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第17話 戸惑うココロ―優しさという名の戸惑い―
自己紹介の明るさに一瞬圧倒されるがミリアムはポーカーフェイスを崩さず、人物鑑定を行った。
人なつっこくて明るそうな人物だな・・・
『扱いやすそう』で何よりだ・・・
「こちらこそ、宜しく頼むよ、ヴァーノアさん」
口に出してはそれだけだった。
次の日、食堂にて。
「じゃあ、お前さんも突然やってきた連中に特別な連中だとか言われてここに来たのか」
トガワが少々驚きと、やれやれまたか、という2つの感情の入り交じった声を上げる。
「ええ」
それに対してカリナの声はやけに楽しそうだ。
「・・・これからは辛い思いをしなくていいのだから、よろしくね」
ユキムラが気を遣ったように話しかける。
「辛い思い?」
キョトンとした表情で問い返す。
「私達エンジェルプラスは普段は隠れているとはいえ、
その特殊能力の片鱗を時折発動してしまうでしょう?
その事が原因で周りの人から阻害され、蔑まれてしまうでしょう?」
自分のことを思い出すように、ユキムラは言った。
「ま、もっともここに連れてこられてからは有無を言わさずに訳の分からない化け物と戦わされる日々、
結局俺達のことを分かってくれるのは同じエンジェルプラスだけだもんな」
と今までの人生を振り返るようにコーヒーを飲みながら語るトガワ。
「そうなのかなぁ?」
やはりキョトンとしたまま、カリナは問い返した。
「お前だっていろいろ迫害を受けてきたんだろ?」
意外なものを見たようにトガワが言った。
「ん〜、そりゃあ昔登り棒をグニャリと曲げてパワフルカリンなんて呼ばれてた時期もあったけど、
そう言う風に考えたことなかったなぁ・・・」
唇に手を当て、考え、そして答える。
「?じゃあお前は突然ここに連れてこられた事で少しも後悔したことないのか?」
珍しいものをみたようなトガワ。
「うん、だって無意味だと思ってたこういう力が誰かのためになるって分かったんだもん!」
笑いながらわざとらしく握り拳を作ってみせるカリナ。
「あははは、お前ホントに明るいなぁ、参った参った」
その仕草を笑いながら、彼女の明るさを意外そうに、見つめるトガワ。
その光景を、まるで遠くの世界の出来事のように眺めながら、ミリアムは紅茶をすすっていた。
「ミリアムさん、そういえばACの整備はどうなりました?」
「・・・ああ、完了しているはずだ、今はエラン教授のチームにヴァーノアのAC適正に合わせてアセンブルし直しているはずだ」
無味乾燥な会話を行い、再び遠くの世界を見つめる。
そこは過去だった。
ぼろぼろに親に殴られ、泣いている子供がいた。
自分の子供を怒鳴りつけ、罵倒する親がいた。
そんな親を止めようとする兄がいた。
そして、途中から兄はいなくなって、それからは全てが闇に閉ざされたようだった。
殴られ、そして泣く、毎日起こる悲しい現実。
「まったく!なんて気味の悪い子だろう!お前のその瞳!まるで・・・」
じっと見つめるカリナの視線を感じて、ハッと現実に戻ってくるミリアム。
「何かな?」
ゆっくりと笑いかけるミリアム。
「ハーディーさんってよく見ると左右の眼の色が違うんだ・・・
綺麗・・・まるで突き抜けるような空と、日が沈む前の夕焼け色みたい」
うっとりした表情でミリアムに話すカリナ、そしてその後ろでギョッとする二人。
「・・・」
沈黙で答えるミリアム。
「ハーディーさん?」
「あ・・・いや、ありがとう」
どうにか、という感じで返礼をする、その光景に一番驚いたのは後ろの二人である。
ちらりと時計を見て、そして立ち上がる。
「じゃあ私はそろそろ各所との会議があるから、適当な時間にカリナは実地訓練に入ってくれ」
「りょ〜かい」
笑顔で答えるカリナだった。
ミリアムは会議室とは反対方向に歩いていた、そして自らの私室に入る。
会議までは時間があった。
その直後、コンクリートの壁を思い切り叩いていた。
その手から血が滲み出る。
「くそ・・・」
理由の分からない苛立ちに、ミリアムは戸惑っていた。
第17話 完
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後書き代わりの座談会
ジオ「17話、完成だ!」
ルシード「どうした?やけにテンション高いな」
ノア「まあしょうがないだろう、元々過去の話を書いててその上さらに過去を・・・よく分からなくなる」
ミリアム「と、言うより・・・私のキャラ違いすぎるんじゃ・・・」
ジオ「そういう設定だ、急にここでキャラを明るくすると潰れるだろうな」
カリナ「そ、そこまで言うの?」
ジオ「当然、てか原型作ったのはお前らだって前にも言っただろ」
ノア「ところで・・・エラン教授って、まさか・・・」
ジオ「多分正解、エラン・キューズ、オフィシャルキャラ初登場だよん」
ルシード「だよん・・・て」
カリナ「じゃあ彼の言う一番安全な場所って、都市の外だったわけ?」
ジオ「うむ、それが一番安全だ」
ノア「た、確かに・・・」
ミリアム「でも、それでいいの?」
ジオ「いいんだって、詳しいことは作品中には書かれていないんだから」
ルシード「オフィシャルの設定なんて持ってないからなぁ・・・誰1人」
ジオ「ま、それはしょうがない・・・」
カリナ「適当なだけのような気がするのは私だけ?」
ジオ「多分」
ノア「・・・設定資料探してこいや」
ジオ「金がない」
ミリアム「それじゃどうしようもないわね〜」
ジオ「なんかまったりしてきたから終わりにしないか?」
ルシード「それがいいと思う」
全員「次回もこうご期待!」