ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第13話   出会い




 「爆発を確認した」
 「位置は?」
 「データ上は何もない場所のはずだが・・・」
 「どこかの企業の隠し工場で事故か?」
 「とにかく行くぞ」
 数機の重MT、一般にCMTと呼ばれる兵器で構成された強行調査部隊『ベルリネッタ』
 その一人が彼の第一発見者である。

 「うわ、ひでぇな・・・そこら中に死体、それも黒こげのが転がっていやがる」
 「おい、ガキも混ざってねえか?」
 「無駄口は後だ、生存者を捜せ、背後関係を探るのが優先だ」
 「了解」



 「子供?」
 CMTに乗った彼は『それ』に気が付いた。
 「しかも『確か』この場所は・・・」
 外気確認、汚染度0010、切開手術時の手術室とほぼ同じ汚染レベルだ。
 「回収する」
 パイロットスーツの機密性を確かめる。
 「人間の回収で自分が死んだら馬鹿だからな」
 まだ人類は地球の汚染された空気を全て浄化することができていない。
 大破壊より人類は地下世界、及び地表面のシティードームでしか生活できていないのだ。

 その子供は立ったまま動いていない。
 死んではいないようだが・・・
 とりあえず彼は自分の分の予備スーツを、乱暴だが確実に着せ、自分の機体に乗せる。
 「私の名前はラグ・ヴォイド、ネストのマネージャー兼フリーのMT乗りだ、お前は?」

 この場合のネスト、とはネストの後釜の事を指す、既にこの時代ネストは崩壊しており、
 それに代わるシステム全般のことを呼ぶことが当時から一般化していった。


 「・・・分からない、ネスト?MT?」
 「記憶喪失?・・・何も覚えていないのか?」
 少年はこくりと頷く、どうやら嘘ではないらしい。
 復座式コックピットの一つに座り、物珍しそうにモニターを眺めている。
 もともとこのCMTは単座式だったのだがこれを複座敷に改造し、人員回収時に役立てている。
 もちろんそれが敵勢力の人間だったりするので前後復座の前の方に座らせているが。
 「ちょっとだけでいいので何も喋るなよ」
 「はい」
 少年が頷いたので安心して通信機のスイッチを入れる。
 「ワーカー、こちらラグ」
 ワーカーとはこの場合一応の隊長のことを指すが、
 フリーのMT乗りでの隊長はランダムで選ばれ、これきりの場合も多い。
 隊長、では無くワーカー(働きバチ)なのもそのためである。
 「ラグか、何か見つけたか?」
 「いえ、何も、それよりも帰還しましょう、運良く先行して調査に乗り出せましたが・・・
  今の爆発はこの辺りの企業に知られる可能性も有ります。
  生存者もいないようですし、この状態ではここのコンピュータも全壊していると思われますが」
 「・・・そうだな、よし、全員集合、都市部に帰還する」
 ラグは拾った少年のことは報告せず、そのまま自分の家に連れて戻った。



 「記憶喪失なんだよな?」
 「はい」
 「少年、じゃあ呼びにくい、とりあえずバーン、でどうだ?焦土から拾ってきたんだし」
 「はい・・・そうですね」
 「よし、じゃあバーン、私もそれほど裕福な生活をしている訳じゃないからな、なにか仕事を・・・」
 そのままラグは考え込むように少年を見た。
 「あ、あの、何か?」
 「もし嫌じゃ無ければレイヴン、なんてどうだ?私がマネージャーをやってやるが」
 「あの?レイヴンって?」
 「ああ、ACという機械に乗って戦うんだ、当然、命がけだが」
 「・・・分かりました、お願いします」
 「そうか、あ、それとな記憶が戻ったら言えよ、何でもいいからな」
 「はい」
 その日から、彼はレイヴンになった、そして徐々にだが記憶も取り戻しつつあった。
 数多くの命散る戦場で・・・
 だが最悪の記憶はまだ思い出せずにいたのだった。
第13話 完


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後書き代わりの座談会

ジオ「第13話なり〜」
ノア「今回ちょっと少なくねぇ?」
ジオ「いや、こんなものだろ」
ルシード「・・・とりあえず暴走して施設が爆発したんだよな?」
ジオ「そうだけど?」
ルシード「暴走=爆発なのか?お前の場合」
ジオ「いや、暴走して、重要施設、例えば発電施設か何かで暴れて、ボンってわけだ」
カリナ「それで無傷?強すぎない?」
ミリアム「それに戦場で記憶を取り戻すって、トロワ?」
ノア「いや、アレはゼロシステムがあったからだし」
ジオ「それは記憶が途切れた場所が戦場だったからって事だよ」
ミリアム「あとCMTの単座式と複座式っていうのはどういう理由から?」
ジオ「それは簡単、火力なり装甲なりでかくするとパイロットの負担は大きくなるだろ?」
ミリアム「ふむふむ」
ジオ「それでパイロットへの負担を減らすにはどうするべきだと思う?」
カリナ「あ、なるほど」
ミリアム「どういうこと?」
カリナ「つまりね、数を増やして1人1人が担当するところを減らしてあげれば1人ごとの負担って減るでしょう?」
ジオ「正解、それを補足すると最新型とかは大幅に自動化されてるから1人でも十分操縦できるようになった、ってとこかな?」
ミリアム「なるほどぉ・・・でもこれって裏設定ばらし大会みたいね」
ルシード「それでいいんじゃないのか?」
ノア「小説に限った事じゃないがお話ってのは設定と裏設定の固まりだろ?」
カリナ「う〜ん、そう言われるとそうかも・・・」
ジオ「いや、正しいだろう、設定は公開されるべきもの、裏設定は公開するかは作者とかの自由なもの」
ルシード「もしかしてそのためにこういう座談会してるのか?」
ジオ「そう言うわけじゃないが・・・週に一回くらいチームで集まるのもいいだろ?」
ノア「ま、親睦会みたいなものか」
ジオ「まあそんなものだと考えればいいんじゃないか?・・・じゃ、今日はこの辺で終了で」
全員「次回もこうご期待!」