ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第9話   兄と妹



 彼達は敵の望んだとおり、最南端の出口よりセカンドプレートを出る。
 そして・・・

 「!!」
 そこには500人程の武装兵と、その数百メートル先に輸送艇が停泊していることに気付いた。
 上空を見れば大型飛空挺が飛んでいる、恐らく目の前の輸送艇はあの飛空挺から降りてきたのだろう。
 その戦闘艇に視線を戻すと、そこにかけられた橋に立っている人物が彼を驚愕させた。
 昔、見たことのある人物だと言う事に気が付いたのだ。
 昔、殺したはずの人物・・・
 「お前は・・・」
 彼は、声を絞り出すのが精一杯だった。
 ちらりと横目を向けると、彼女はカタカタと震えている。
 「久しぶりだな」
 圧倒的な威圧感。
 「・・・『あれ』から八年か・・・」
 そうとしか形容できない声・・・
 「NO1・・・いや『オルフェラウス』、それに・・・」
 怖かった、だから、逆に破壊してやろうと思った。
 武装兵の間を一瞬で駆け抜け、数百メートルをほんの数秒で駆け抜ける。

 刀を振り上げ、振り下ろす。

 そのまま、『奴』を両断する。
 そのはずだった。
 あの声さえ聞こえなければ。
 「やめてぇ!私の兄さんなの!」
 後ろから聞こえたカリナの声。
 彼の刀は奴の鎖骨まで数センチというところで止まっていた。

 次の瞬間、彼の体に激痛が走った。
 そして、自分が斬られた事にようやく気付く。
 倒れたジオは、カリナに支えられた、恐らく彼が走ったのと同じタイミングで走り出したのだろう。
 それを止めようと・・・
 その瞬間、彼は忘れ去ろうとした記憶、捨て去った記憶、八年前の記憶全てを思い出した。



 ミリアムはふと店の外を見、そして、店を飛び出した。



 「さすがにこれ以上はきついな」
 ノアは素早く自ACの状態を確認する。
残AP 4689
武器位置   残弾  最大弾数
右腕    0269ー1000
左肩    0148ー0250
右肩    0000−0250
左腕武器最大出力 98%

 「そうだな」
 ルシードもそう言った。
残AP 5863
武器位置   残弾  最大弾数
右腕    0000−0010
左肩 ステルス機能 正常
右肩 ステルス機能 正常
左腕武器最大出力 86%

 状態確認しながら左肩のバックパックからマガジンを取り出しながらブレードを敵に突き刺す。
 「命中率が低いとはいえ、これだけ撃たれると装甲がやばくなるって・・・」
 「そうだな」
 瞬間的にマガジンを詰め替え、マシンガンを撃ち続けるMTのコックピットを正確に撃ち抜く。
 「このまま進むとこっちの弾が先に切れるな」
 ノアはできるだけ正確に、と考えながらマシンガンを撃つ。
 「こっちも弾の予備は後一つしかない」
 ルシードは一瞬のうちに照準を決め、命中率100%を崩さぬまま敵をうち倒してゆく。

 「特攻?」
 ノアに対し、空中からAC二機、地上四方向からMTが突っ込んできた。
 空中に飛べばACの空中斬りが、このままとどまれば四機の体当たりに合う。
 半ば本能的に、正面の一機にマシンガンをたたき込みつつ左の敵をブレードでなぎ払う。
 そのままの勢いで半回転して初期位置から後方のMTも切り裂く。
 「ぐあっ!」
 結果的に後方になった、初期位置から右の敵の体当たりをくらってしまった。
 だがそのまま勢いを付けてルシードに対してマシンガンを乱射していた別のMTにブレードをたたき込む。
 「すまない、助かった」
 ルシードも相当きついようだ、
 黒く塗装した装甲版の一部がはがれ飛んでおり中から機体冷却用のバイパスが見える。
 「そう言うな、お前がやられるとその分こっちに来る敵が増える」
 「だからか」
 「ま、最終的にはそう言うことだ、それに、『仲間』には死んでほしくないしな」
 「そうか」
 瞬間ルシードの放った弾丸がノア機をの近くを通り過ぎ、
 先程ノアに体当たりを仕掛けたMTを機能停止に追い込む。
 「さて、残りをツブしてさっさとジオ達の救援に行こうぜ、
  これだけ激しい攻撃だ、きっとジオ達は攻撃を受けているに違いない、奴らも支援に行こうと必死なようだぜ」
 「そうだな」
 そういって珍しくルシードが笑った。
第9話 完


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後書き代わりの対談

本日メンツが揃わなかったのでジオとノアでお送りします。
ジオ「第9話ですな」
ノア「そうだな、トコロで兄と妹ってガンダム・・・」
ジオ「それを言うな、他に良いタイトルが思いつかんかったんだ」
ノア「それとバックパックってどこだよ?何の疑問もなく俺が使ってるけど」
ジオ「え?ミッションで隠しパーツをゲットしたときどこに入れておくと思ってる?」
ノア「そこがバックパックか?」
ジオ「その通り、まぁ両肩にあるってのは趣味だけど」
ノア「ガンダムヘビーアームズは両肩にミサイル搭載してるけど」
ジオ「あれは実弾兵装で最強だろうな、一斉発射できるし(略)」
ノア「ところでストーリーも真実に迫ってきたな」
ジオ「ん?ああ、そうかもしれんけどまだまだ続くよ」
ノア「それと世界観が独特と言われているけど、その辺は他のAC小説とどう折り合いつける気だ?」
ジオ「・・・うーむ、それは考えていなかった」
ノア「あ、そ、まあそれはどうにかしろよ、」
ジオ「わかった」
ノア「何か1対1だと話が詰まるな」
ジオ「しゃあないだろ?連中は他に色々用事があるんだし」
ノア「そうか、じゃあしょうがないか、じゃあ終了って事で」
ジオ&ノア「次回もご期待を〜」