ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第8話   光色の闇



 「妙だな・・・」
 『彼』は呟いた。
 そう、さっきから気付いていた。
 敵の配置が奇妙なことに。
 まるで二人をどこかに誘うように・・・

 「ジオ!戻って!この通路は駄目!完全に塞がれたわ!」
 「ちっ!」
 舌打ちしながら正面の三人を斬り倒す。
 なら・・・左か!

 「やはりな・・・」
 予想通り手薄だと気付く、彼は敵を斬り倒し、敵に聞こえないようにカリナに言った。
 「カリナ、気付いているか?敵は俺達をどこかに誘っているらしい」
 「分かってるわ、でもどうするの?」
 「いいか?活路を見出すために・・・あえて敵の罠にはまる・・・」
 危険は倍増するが、唯一の活路だとカリナも理解した。
 「・・・いいわ、それが私達にできる最善の道でしょうから」
 「では、行くぞ!」
 そう言って二人は駆けだした。



 「おらおらどうしたぁ!」

 せっかくの夜間迷彩を駄目にするように白く塗装された武器群を携えた暗色のAC、ライトキラーを駆り
 既に廃墟と化したスラムを背景に、まるで踊るように敵を倒していくノア。
 対照に完全に闇と同化したAC、ブラックナイトで
 黙々と敵機を斬り倒していくルシード。
 共に現在撃墜数150を超えた。

 「こいつら化け物だ!人間じゃねえ!」
 部隊のAC、MTもパイロットが焦り始め、そんな考えさえ浮かんできた頃、
 「核ナパームを残っているだけあのポイントに撃ち込め!」
 四天王の一人で、この戦場の司令官に任命された男、ディミは叫んだ。
 「しかし閣下、あのポイントでは多くの兵士が」
 「うるさい!あれだけの戦力でたった二機を何故墜とせん!すなわち兵士が無能だからだ!」
 それは認識の違いからだったのだろう、通常のレイヴン二機なら既に撃墜されていて当然なのだ。
 だが、彼等は普段全く性格が違うためそうは思われないが、
 コンビ戦ではチームの中でも有数の組み合わせなのだ。

 「命令だ!やれ!」
 「・・・了解!」
 半ばやけになった兵士は核の封印を解除した。
 「ギーレンとの競争に敗れる訳にはいかない!なんとしても敵を消去する!」
 しかし、そこが廃墟と化したスラムだったことが災いした。

 「次弾が来る!」
 素早く物陰に隠れ、再びレーダー機能を全開にする。
 遠くに核攻撃反応があった。
 「ここからならスナイパーの最大射程圏内だ、どうにかなるか・・・」

 通常、兵器には有効射程というものが存在する。
 それを超えた場合、FCSでは捕らえられないような仕様になっている。
 通常、武器に記されているのは有効射程である。
 だが、武器には最大射程というものが存在する。
 それを超えれば、実弾兵器は威力を失い、地面に落下、エネルギー兵器なら拡散してしまう。
 そしてここは最大射程の圏内にあった。

 「ルシード!どうした?お前の支援がねえと回避し切れねえぞ!」
 ノアの叫びはルシードには届いていない、手元のパネルとACのライフルに意識を集中させていたからだ。
 「FCSの射程まで動いていたら発射までに間に合わない・・・
  だが、その爆破圏内には一般住民はいない」
 構わずルシードは撃った。

 核弾頭への直撃弾。
 凄まじい爆音が四方約二キロメートルの物を吹き飛ばす。
 そしてそれは司令官をも吹き飛ばした。

 「なんだ?」
 一瞬止まった攻撃、ノアにとってはその一瞬で十分だった。
 たちまちのうちに数機を破壊して十字砲火の中を抜け出る。
 「しまった!」
 兵士が気付いたときにはもう遅い。
 「撃墜数3更新!あと175!」
 「無事か?」
 「ルシード?今のはお前か?」
 「そうだ」
 「なるほど、サンキュな」
 「それは戦闘が終わってから言ってくれ」
 「そうだな!」
 そう言って再び両者は敵部隊のただなかに突入した。



 その頃、ミリアムは寝ていた。



 「くそっ!」
 目の前の一人を斬り倒して俺は思わず毒づいた。
 確かこの先には最南端出口に続いているはずだ。

最南端出口
ラサシティーのセカンドプレートとファーストプレートをつなぐポイントの中で
もっとも治安が悪く、言ってしまえば最も好き放題できるところである。

 「明らかに何かを狙っている・・・しかし連中の目的は・・・?」
 まさか!いや、そんなはずはない。
 ・・・俺の過去か?
 「ジオ!右正面!」
 カリナの言葉が無ければ危なかった、
 反射的に右手を突きだし、刀で相手の首を貫く。

 「どうしたの?さっきから動きが鈍いわよ?」
 「すまない、ちょっと考え事をな」
 「・・・出口よ」
 確かに地下に設置されている灯りよりも明るい光が射し込んでいる。
 俺は一度深呼吸をして出口に向かって駆けだした。
第8話 完


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後書き代わりの座談会

ジオ「ふい〜、冬休みが開けると更新がきつくなってくるな」
ノア「何気に宿題提出してるしな」
ミリアム「私の出番少ない・・・って言うか寝てただけ?」
ジオ「展開の都合上しょうがないだろうが」
カリナ「でも寝てただけってのはちょっと・・・ねぇ?」
ジオ「いいんだって、その後に目立たせてあげるから」
ミリアム「本当?」
ルシード「嘘だったら殺されるぞ・・・」
ジオ「大丈夫だって、イイトコで見せ場作ってやるから」
ノア「後半にちょびっと出てくるだけだと怒るぜ、多分見せ場でも」
ジオ「・・・」
カリナ「図星?」
ミリアム「ジ〜オ〜」
ジオ「ああもう!解ったよ!出番を増やすから、少しだけ!」
手帳に修正を加え始めるジオ。
ジオ「元はコメディー調だった終盤を修正っと」
ミリアム「・・・これならOKよ、少ない気もするけど」
ノア「ここらで終了しようぜ、対戦しよ対戦」
ルシード「よし、そうしよう」
ジオ「え〜じゃあここらで終了します」
全員「次回もどうぞよろしく〜!」