ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
第6話 過去と現在との接点
ピー・・・
『彼』の心臓が停止した。
「心臓停止!」
「電気ショック用意!」
医師が私の周りを走っている音が聞こえる・・・
「くそ!まさか研究所ごと消滅させるとは!」
「ごちゃごちゃ言うな!あの中からリオル様を救出できただけでも奇跡的なんだ!」
「とにかく急がせろ!我々はリオル様を失うわけにはいかんのだ!」
「リオル様?」
ハッとなって正面を見た、どうやら夢を見ていたらしい。
・・・八年前の悪夢を。
「・・・どうした?」
「第二部隊は目標地点、ラサに到着したようです。我々もあと24時間で到着します」
「・・・そうか、わかった。確か第二部隊には・・・」
「はい、四天王が全員集結しております」
「わかった、各部隊の指示はギーレンに任せると伝えろ」
「了解しました」
「八年前の悪夢・・・今こそ封殺してやる」
そう言ってリオルと呼ばれた男は首にかけていたペンダントを力強く握った。
「そう・・・ありがとうミューア」
「いいのよ、他ならぬミリィの頼みなんだしね、でも後で何かおごってよ」
少し笑いながら彼女、ミューアは言った。
「じゃあ、頼むわね」
「任せて」
彼女と手を振って別れた後、二人はあることに気付いた。
「ねえ、カリナ」
「なに?」
「手掛かりって、あるの?」
まともに表情が変わる、全くその事について考えていなかった二人、
当然ながらノアとルシードは何か知っていると思ったからこうしたわけで・・・
「しまったわね」
「ええ・・・」
今更何も考えてませんでした、というわけには行かない。
「と、とりあえず二手に別れましょう、顔が割れてる私は・・・
セカンドプレートとサードプレートを探してみるわ、
顔が割れていないあなたはファーストプレートを探してちょうだい」
「わかったわ、じゃあ、今から五時間後にこの近くの・・・『ブレイクファスト』で会いましょう」
「わかったわ、気を付けてね」
わかってるって言いかけてミリアムは何も言わずに街の中の雑踏に駆けだした。
そしてカリナもセカンドプレート入り口に向かった。
「ところで、ルシード、俺達はどこで連中の注意を引き付ければいいと思う?」
「・・・外壁近くの進入禁止区域だな」
少し迷ってからルシードは答えた。
「なるほど、あそこなら滅多に見つかることはない、つまり逆に敵が探しに来ることになる、か」
つまり普通に行けるところにいなければ立入禁止区域にいるだろう、
と、三流以上の指揮官なら考えると踏んでの行動か・・・
「それだけではないが・・・」
「え?・・・と、一般人への被害が出にくい、それに・・・?」
「あそこは敵の混乱をおこさせやすい」
あそこにはどこかの企業が違法に製造した兵器が結構あるので敵の大部隊がしらみつぶしに探そうと
大部隊を送れば逆にガードか何かにその秘密がばれたと勘違いを起こして敵と戦ってくれる、
そして敵はそれが俺達の味方だと思い混乱する、
それでこちらが刺激しないような行動をとれば無傷で共倒れをおこさせることができる。
とルシードは一瞬のうちに判断したのだ。
ジュピトリスの中ではルシードに瞬時の戦略状況の把握で勝てる人物はいない。
もちろんそれぞれのメンバーでチーム1と言うのがあり、それ以外の部分でも、
全てのレイヴン関連分野で平均以上の実力はある。
・・・それぞれがそれぞれの理由で強さを求めたから。
「よし、そうと決まれば行くぞ」
ようやくルシードの意図を全て答えたノアが言った。
「・・・そうだな」
ルシードも後に続いた。
カリナとミリアムの行動が行き当たりばったりだと気付かずに・・・
「ギーレン様、先鋒部隊は作戦失敗したようです」
「だろうな、それで捕まるようなら『それ』はもはや我々の探し続けたオルフェラウスではない、
・・・他の四天王を呼んできてくれ」
「了解しました」
その五分後、宿舎に四天王が集まった。
「何事だ」
ギーレン以外は三人とも不満そうな顔をしている。
それは当然ではある、いかに総統の指示とはいえ、同階級の人間の指揮下に置かれたのだから。
「それぞれの部隊の全人員を私の直接指揮下に置く」
「な・・・何だと!」
所属は同じでも四天王クラスになると直接指揮できる部隊が少なからず存在する、
それ以外は総統からの指示で指揮下にいる、と言うだけなので
それらは当然今はギーレンの指揮下にある、が、
今度は自分が直接指揮する部隊までこちらの指揮下に置く、と言うのだ、当然反発が出る。
「どういうつもりか!ギーレン卿!」
「我らの直営部隊までも差し出せとは!」
「・・・いや、いいだろう」
この言葉に一番驚いたのはギーレンだったのは言うまでも無い事である。
「クレスタ卿、感謝します」
内心の動揺を抑えてギーレンが答えた。
「ただし、いざというときには責任はとってもらいます」
なるほど・・・とギーレンは思った。
もし自分が発見できれば自分たち全員の功績、
もし発見できなければギーレンが無能であると言うことになる。
それはライバルの失脚を望んだ物であり、少なくとも自分が責任をとることはない、
それを考えての行動である。
「なるほど・・・いいでしょう」
「そこまで言うのは自信があると言うことだな?詳しく聞かせてもらおうか」
「いいだろう」
そう言ってギーレンは一枚の大きな紙を取り出す。
「これは?」
「ここのセカンドプレートの地図だ、奴の逃げるべきところは二つしかない、
人の最も多いところ、もしくは最も少ないところだ」
「なるほど・・・多い部分は既に捜索したと言うことか」
「ギーレン閣下!」
一人の警備兵が駆け込んできた。
「報告します、ラサシティー・スラムにおいて、ターゲットの仲間のものらしきACを確認しました」
「そこも、人数の少ないところですな」
にやにやしながら四天王の一人が言った。
「そうですなぁ・・・通常兵力を送らねばなりませんなぁ・・・」
「そうでもなければ我々も協力しませんぞ」
これは明らかな妨害行為である、兵力を分散させ、どちらも失敗することを誘発させ、
相手の失敗をもくろむのは初歩の謀略である。
フゥ・・・
ギーレンは息を一つ吐き出し、仕方なくAC、MTの大型武装兵団の派兵を決定し、
一般兵員、移動小型砲台などの小型戦力をセカンドプレートに向かわせる事にした。
「それでは・・・『狩り』を開始する」
「よし・・・と、こんなもんかな?」
俺はとりあえず入り口付近にあった長めの刀を二本、拝借した。
こんな中で拳銃なんかぶっ放したら音で敵に位置を見つけられるし、弾切れになったら終わりだ。
これなら多少は使ったことがあるし、『エネルギー切れ』に困ることもないしな・・・
そう思いながら腰に差したままの柄だけの刀を握り、離す。
さて、どうする?
入り口は塞がっている・・・
まさか3時間で封鎖作戦を展開されるとは予想外だったな・・・
この後、彼が他に知っている出口を探したが全て塞がっていた。
・・・待てよ?
彼は冷静に考える
だとすれば次に敵がしてくるのは・・・
次の瞬間、彼が聞いたのは大量にセカンドプレートに侵入してくる敵と思われる連中の足音だった。
第6話 完
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後書き代わりの座談会
ジオ「ふい〜、どうにか年内に更新できた〜」
ノア「AIRにはまるなよ・・・確かに泣けるのは分かるけど」
ミリアム「で、お話もこの状態で新世紀迎えろっていうの?」
カリナ「モロにピンチよね?それぞれ分断されたし」
ジオ「ジオちん、ぴんち」
サプレッサ(一般的にサイレンサーと呼ばれるモノ)特有の僅かな発射音、ドサッという音。
ルシード「座談会でそれはやめい・・・」
ノア「そ、それはそうと裏世界にも権力機構ってのがあるとはな」
カリナ「どんなにちっぽけなところでも権力があればそれは存在する側から腐り出す・・・」
ミリアム「これはどんなトコロでも当然の事よ」
ルシード「お前もそれくらい知れ」
カリナ「普段秀才なんだし」
ノア「う・・・そうだね、じゃあ今日はこの辺で切ろっか」
カリナ「ところで、さっきからジオ動かないんだけど・・・」
ミリアム「大丈夫、頭蓋骨が離れても死ななかった人よ?来週には復活してるって」
ルシード「そうだな、それでは打ち切りだ」
ミリアム「打ち上げパーティーだ〜」
ノア「次回もこうご期待!」
一同「それでは新年、新世紀、開けましたらおめでとうございます、それでは!」