ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第5話   ダインスレイブ




 「ダインスレイブ総統・・・リオル・ヴァーノア閣下」
 一瞬の硬直、そしてそこからの解放。
 「リオル・・・ヴァーノア・・・」

 ヴァーノア家・・・フランクリンシティー最大の資産家族であり、
          ノアとカリナの出身家族でもある、
          また、財産の取得権を持つのは妻以外には四人、
          次男ノア、長女カリナ、三男ヴィゼア、そして長男リオル。

 ノアは少しだけ考えていた。
 兄貴は・・・俺がレイヴンになる一年前に行方不明になっていたはず・・・
 まさか今更会うとは・・・
 と。

 「ヴァーノアなんて名字はこの辺りの地域にはそうは無い」
 ルシードはそう言った。
 ・・・つまりは彼達しかいないはずだ、
 仮にいても彼達レイヴン相手にできるほどの組織を作れるほどの財力があるのは・・・
 彼達の知るヴァーノア家ぐらいだろう・・・
 ノアは考えていた。
 「俺が・・・知ってるのはこれだけだ・・・助けてくれ・・・」
 おびえている男のことを思い出す。
 「ああ、いいだろう」

 とりあえず、強力な薬を注射し、街角に放り捨て、救急車を呼んでやることにした。
 これならアシがつくこともほとんどないだろうし、
 なにより確実にここ数日間の記憶がなくなる。
 同時に全ての記憶を失う可能性もあるが・・・

 それについては彼等の関知するところではない。


 「さて、これからどうする?」
 ノアが聞いた。
 と、言われても誰も答えようがない。
 相手の組織名が『ダインスレイブ』で、
 総統の名前が『リオル・ヴァーノア』、
 と分かったところでどの程度の組織力かも分からない状態で詳しいことなど相談できるわけがない。
 「ACは一度どこかに隠した方がいいと思うけど・・・」
 ミリアムが言った。
 「何故?」
 ルシードは今のところ全面交戦になる可能性がある限りACには乗っていた方がいいと思っている。
 「多分だけど、相手はノアとカリナはともかく、
  私とルシードの顔は知らないと思うの、だから降りていれば大丈夫だと思うわ」
 「なるほど・・・」
 「それ、良いかもしれないわね、囮作戦、私は乗るわ」
 カリナは賛成なようだ。
 「それに・・・兄さんを捜すときACに乗っていれば目印になるけど・・・同時に敵からも目印にされるわ」
 ミリアムが付け加える。
 「しかし・・・」
 「よし、わかった」
 「ノア?」
 「俺とルシードで敵の目印になる、そしてカリナとミリアでどこかにACを預けてジオを探してくれ」
 ノアにとっては一種の賭だがそれほどの大部隊が来るとは思わないし
 ACと言う目標がいなくなれば敵は行きつけの整備工場やパーツショップにも襲撃をかける可能性もあるからだ。
 「じゃあ、どこに預けようか?」
 カリナが言った。
 「・・・『ミューア』がいるでしょう?、そこに預けましょう」
 ミリアムが少し考えてから答える。
 ミューアというのは彼女達、いや、彼等全員にとっての旧知の人物だ
 「・・・そうね、それがベターな選択だわ」
 「よし!それじゃ作戦開始しよう!」

 誰一人として気付いてはいないこと、そして無意識下にあるもの。
 それはリーダー、ジオへの信頼、呼び出された先で殺されたと考えていないこと。
 帰ってくることを前提にしていること、である。



 「な・・・何だ?なにが・・・あった?」
 吹き飛ばされた部屋のリビング、そしてそこに数人のボロボロになった人間、
 一般人でなくても十分驚く事だ。
 とりあえず自分の部屋をのぞいてみると非常持ち出しとして一応まとめておいた物が無くなっていることに気付いた。
 「これ・・・何なんだ?」
 「しらねーよ、でも一応奴らは無事らしい、さっき見たら非常持ち出しがなかった、
  多分奴らが持ち去ったんだろう、さっき倒れてた死体の中にもあいつらはいなかったしな」
 「・・・そうか」
 「ラグ、頼みがある」
 「なんだ?」
 「ACを預かっててくれ」
 「おま・・・本気で言ってんのか?」
 この状況ではACは唯一正体不明な敵に対抗できる物だとラグは考えていたところだった。
 「ああ、この状況下ではACは迎撃にしか使えない、
  ・・・迎撃は苦手なんだよ」
 「つまり反撃するアテがある、と?」
 「ま、そう言うことさ」
 彼はとりあえず軽く笑って見せた。
 「どこに行く気だ?」
 「まずはこの都市のセカンド・プレートだ」

 セカンド・プレート・・・都市が管理するファースト・プレート(地表部分)と違い、
             (と、いっても企業本社、支社の部分はその企業が管理している)
             各企業が管理し、倉庫やシークレット情報の主立った連絡通路となっている
             地下部分である。
             また、余談だがサード・プレートは上、下水道となっており、
             そこは全て都市が管理している。

 「で?」
 「セカンド・プレートに身を隠して、敵の内情を探る」
 「それから反撃か?」
 「そうなるな」
 「金は大丈夫なのか?」
 「少しは持ってる、食料品一ヶ月分ぐらいにはなるだろう」
 一般人にとっては大金でもレイヴンは何かと必要になるが多い、
 そのためそのくらいは常に持ち歩くのだ。
 「分かった、じゃあACは預かる、連絡方法は?」
 「そうだな・・・通信じゃすぐばれる可能性もあるし・・・
  よし、週に一度、この近くの廃ビルに近況報告、現在の情報その他を連絡し会うってのは?」
 「OK」
 「よし、それじゃあ行こうか」
 彼もまた、自分のチームメイトを心配などしていない、
 楽天的なのではなく、信頼関係の上に成り立つ無言の連携、それが彼等の武器にもなる・・・
第5話 完


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後書き代わりの座談会

ミリアム「減速しつつ展開するストーリーとは別に書き終わるころ世間はクリスマスですね」
ジオ「加速しつつ、と言ってくれよ・・・」
カリナ「だんだん顔色が悪くなる速度は速くなってるけどね」
ノア「う〜ん、ここだけ暗いクリスマス・・・」
ルシード「明るくしてくれ・・・少しは」
ジオ「でもなぁ・・・これが終わっても・・・」
ノア「そうだな、クリスマス殲滅委員会があるもんな」
カリナ「これ一個アップすればいいんじゃないの?」
ミリアム「そうよね、仕事って最低一回はアップすること、ってだけだし」
ジオ「でも常にノリだけで生活してる以上、ここで何かしておかんと今まで以上に辛いんだよな」
ルシード「クリ死ね団もノリで参加か?」
ノア「そしてこのホムペもノリでかよ?」
ジオ「そうかもしれんね、でも小説は小説で書いてて楽しいし、運営も結構楽しいものだよ」
カリナ「そんな行き倒れバッタリ寸前でも?」
ミリアム「彼女居なくても?」
ジオ「ミリィ、皮肉かよそれ?」
ミリアム「YES」
ジオ「(沈黙)・・・お、そうだ、お前達、誰か紹介しろ」
ジオ以外全員「え?」
ジオ「そのなかから探す、贅沢は言わねぇよ、俺の行動を容認してくれる人なら」
ノア「・・・いなそうなんだが」
ルシード「確かに、お前突然笑い出したりするし」
ミリアム「突然暴走するし」
カリナ「危険人物だし」
ジオ「くおら!貴様ら!言いたいこと抜かしよって!」
ジオ以外全員「わー!」
バットを振り回すジオ、逃げる他の人。
ジオ「あ、そうそう、次回も期待してくれ」
ミリアム「日本にいるかいないかした期待してくれる人、多分これでゼロになったわね」
ジオ「お前達のせいだろうがああ!」
凶器を振り回して暴走するジオ、待て!次回!(座談会は続かないって)

ラグ「え〜大変お見苦しいことをしてしまったようだな、皆さん、我らを御見捨てならないように」
ペコリと一礼。
ラグ「次回をこうご期待」
顔を上げ。
ラグ「では失敬」