ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第4話   そのころ




 「なあ、コレって偶然だと思うか?」
 「・・・思わない」
 既に瓦礫の一部とかした部屋のリビングのソファーの影で会話しているのはノアとルシードだ。
 「ミリアムとカリナは?」
 妹を後にする辺りがノアらしい。
 「吹き飛ばされたのはここだけだ」
 「じゃあ・・・大丈夫か、あいつら自分の部屋に行ったんだもんな」
 玄関に人の気配がする。
 「コレってやっぱりジオが呼び出されたのと・・・」
 「しっ」
 ノアの言葉を遮るルシード、
 「・・・かい、・・・は被検体の・・・思われる人物を・・・入して・・・を排除します」
 とぎれとぎれながらも外の連中がどこかに報告しているのが聞こえる。

 「兄さん、ルシード」
 小さな声が後ろからしてくる、カリナとミリアムだった、二人とも既に武装している。
 「そろそろ連中は突入してくるぞ」
 「わかったわ」
 そう判断した理由は聞かずに突入して来るであろう玄関に向かって銃を構えるミリアムとカリナ。
 ノアは窓ガラスからも突入して来る可能性があると判断して窓に視線を向ける。
 ルシードは弾薬や銃器の確認をしている。

 先ほどバズーカで吹き飛ばされたドアから侵入してくるのは気配からおよそ10人、
 侵入の瞬間に二人が倒され、辺りを確認しようとした時、振り返ったノアに撃たれて倒れる。
 4、5人目が侵入してくるが倒れゆく三人をみて二の足を踏む、
 その瞬間を狙ってミリアムとカリナが二発目を発射する。
 その間わずかに0,4秒。
 その直後気配が去ってゆく、不利と判断したか、もしくは・・・
 「おい」
 「分かってる」
 「重要な荷物だけ持って逃げるぞ、ここはそのうち、いや、すぐに吹き飛ばされる」
 四人とも立ち上がり荷物をまとめ始める。
 「ジオの荷物は?」
 「とりあえずクレジットカードとシステムディスクだけは持っていこう」
 「了解、でも私達が無事だと知らせなくていいの?」
 「大丈夫、大事な物だけ無くなっていればあいつも分かるはずだ、それに知らせる方法も無いしな」
 「・・・じゃあどこに逃げる?」
 「敵戦力が分からない以上ACを取りに行くのがベストだろうけど・・・」
 「行けるか?抑えられてる可能性も・・・」
 「一人でもACに乗り込めればどうにかなるだろう」
 「その後どこに逃げる?」
 「ミリィ、あなたの部下の空中騎士団のところは?」
 彼女をあだなで呼ぶのはカリナだ。
 「今はディクセンシティーにいるからまず無理ね」
 言いながらもう一度荷物をチェックする。
 「よし、荷物持ったか?」
 「全員」
 「とりあえずここを離れよう、吹き飛ばされる可能性のあるところで話すのは馬鹿なことだし」
 ジオがいないときチームをまとめるのはノアの仕事だ。
 「オッケー」

 五分後、再び彼等の部屋を閃光が包んだ、
 だが彼等は既に部屋を離れていた・・・

 「ジオの荷物、非常持ち出し用に最初からまとまっててよかったな」
 「そうだね」
 AC用格納庫の近くに彼等は来ていた。
 「敵らしいのが十三人、なんか呪われそうだね」
 ミリアムはこんな時でも冗談を忘れない。
 「・・・はいはい、じゃあ、行きましょう」
 「見張りが3人・・・中に入っていったのが10人」
 ルシードは敵戦力が分散配置されたことを報告する。
 「まず攻撃は私が」
 カリナが構える、バズーカを。
 「おい、持ってきたのか?」
 「ええ・・・いくわよぉ!」
 バズーカが三発火を吹き、外の三人が吹き飛び、爆炎が巻き起こる。
 「今よ!行きましょう」
 バズーカを投げ捨て、拳銃を持ち走り出す。
 と、いっても正面から乗り込むのではなく、敵が混乱して、乱射しても当たらない部分、
 入り口の左右から接近し、壁に張り付く。
 「撃て!応戦しろ!」
 敵の隊長らしい声が聞こえる。
 銃の発射音が止まった瞬間を狙って全員が踏み込み・・・
 カリナ以外の三人で、弾薬交換をしていた三人を撃ち倒し、
 カリナがライオット・エージェント弾(閃光と音を激しく撒き散らす手榴弾のこと)を投げる。
 「伏せろ!」
 敵隊長がそれに気付き号令を下した瞬間、
 ルシード、ミリアム、カリナの三人はガレージの外に出る。
 そして敵全員の視線が自分から離れた一瞬の隙を突いてノアが自分のACハンガーに向かって走る、
 当然耳をふさぎ、エージェント弾の方向を背にしたまま。

 ドン!
 凄まじい閃光と音が辺りに響く、
 ノア以外の三人が再びガレージに入る、
 ノアはどうにかACのハッチを開ける、
 敵戦闘員は耳をふさいでいても至近距離で爆発したためか動きが鈍く、
 あっさり撃ち倒される、しかし隊長らしき人物のみ、銃を構えた右手を撃たれただけになっている。

 「さて、話してもらいましょうか?」
 まるで世間話をするように、相手の眉間に銃を突きつけながらちょっとした笑顔を浮かべるミリアム。
 客観的にみて怖い笑顔である。
 「そうだねえ・・・話してもらわないと困るね、何故俺達を狙っているのか・・・」
 さっさとACに乗ったはいいが活躍の無かったノアが呟く(もちろん今はACから降りているが)。
 「そして首謀者は誰か・・・」
 普段は無口なルシードも情報はほしいようだ。
 「そして、何故ジオを呼びだしたか、話して貰えるかしら?」
 バズーカを回収(するなと言いたい)してきたカリナも行った。
 「ふん、話さないと言ったら?」
 隊長が聞いてくる、話す気は無いようだ。
 「こうする」
 後ろに回っていたノアが相手の右耳を撃ち抜く、
 それによるダメージは脳にまで苦痛を与える、
 どれほど痛いかは想像を超える。
 「ぐあ!」
 相手が苦痛で床に転がる。
 「次は左だ」
 ノアが転がる相手の左耳を正確に撃ち抜く。
 「ぎゃああああああ!」
 相手が痛みで発狂しそうになっているところで転がらせるままにせず、
 襟をつかんで強制的に起きあがらせる。
 「さぁ・・・話せ、それとも手足も潰すか?」
 と、言って顎に拳銃を突きつける。
 ここまではさすがにするつもりはない、しかし既に耳を撃ち抜く、という布石がある。
 実際に行動に起こす、と相手に思いこませることが目的だったのだ。
 「ひいいぃぃ・・・」
 既に消え入りそうなほど小さな声で男は話し始めた。
 「り、理由は分からない・・・」
 「本当だな?」
 もはやこの状況では嘘をつく余裕があることはないと思うが、
 ついこういう事をやってしまうのは昨日のドラマの影響だろうか?
 「首謀者は?」
 「ダ・・・ダインスレイブ総統・・・リオル・ヴァーノア閣下」
 その時、ノアとカリナの表情が凍り付いた。
第4話 完


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後書き代わりの座談会

ジオ「今回は出番無しだったなぁ・・・」
ノア「そうだな、それよりいよいよ敵が分かってきたじゃないか」
ミリアム「ボスの名前だけでしょ?」
カリナ「あと組織の名前」
ルシード「部屋も吹き飛んだな」
ジオ「景気良くな」
カリナ「不景気へのテコ入れのつもり?」
ジオ「黙殺」
ノア「・・・ところで俺はあんなに射撃は上手くないと思うが」
ミリアム「そうよね、目くらましで使うような人だし」
ノア「お前が言うな、同じ戦法のくせに」
ジオ「確かにルシードの領分かもしれんがこっちの方がいいと思ったんでな」
ルシード「・・・まぁ俺はどっちでもいいさ」
カリナ「ところで私の趣味がだ〜いぶあったような気もするわね」
ジオ「ああ、バズーカにライオットエージェント弾・・・」
ノア「爆発系ばっかりだな」
カリナ「流行るといいわね」
ミリアム「無理だと思うけど・・・」
ジオ「・・・ここらで打ち切りにしておかないとこのあとすっごく延びるぞ、無意味に」
ノア「そうだなぁ・・・切ろっか」
ルシード「・・・決定だな」
ジオ「それでは次回をお楽しみに!」
全員「お楽しみに!」