ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第2話   アリーナの二位 前編




 「そこまで!」
 審判からストップの通信が入る。
 ACが膝をついて倒れている、彼はそれを見てゆっくりと戦闘システムを解除する、
 「勝者!ジオ!」
 勝利した者としてジオの名が呼ばれる、彼は17回目のチャンピオンの防衛に成功した。

 「ちくしょう!」
 今日の相手もこの男だった、
 前チャンピオン『アクセル』とAC『トップ・アタック』だ
 残念ながら負けるつもりは無いけどね・・・
 ジオは眼で語っていた。

 「やったな!」
 「よかったね」
 「当然だな」
 「よかったよかった」
 言葉は違ってもそれぞれに俺を誉めている。
 「あ・・・次の試合からスタンバイじゃん、行って来るよ」
 ノアが立ち上がる。
 「勝って来いよ」
 笑顔でそれに答えて走り去る。

 この辺りの都市は友好関係を築く、と言う名目で各都市のアリーナを統一している、
 この『連合アリーナ』は各都市間の出資で成り立っており場所は各都市のほぼ中間にある。
 ジオが所属する「ラサアリーナ」、ノア、ルシードの所属する「グランブルアリーナ」、
 カリナ、ミリアムの所属する「フランクリンアリーナ」の他に、
 「ブロークンアリーナ」、「ヘクスアリーナ」、「ディクセンアリーナ」、「メタリアルアリーナ」、
 「シルヴァンアリーナ」の八つが連合されており、月に一度開催され、
 年に一度、それぞれのブロックの一位が戦い、そこでも一位になると
 「マスター」の称号が与えられ、様々な特権を持つことになるが、
 彼等にその意志はなく、そのためいつもその戦いには欠席しているため次点が出場することになる。

 「今日も・・・いつも通りか」
 結果  ジオ・・・勝利 現在1位(防衛戦)
      ノア・・・勝利 現在2位(防衛戦)
      ルシード・・・戦闘無し 現在1位
      カリナ・・・戦闘無し 現在1位
      ミリアム・・・勝利 現在2位(防衛戦)
 「ねえ、他のアリーナに移れないかな?」
 「そうだな・・・都市の方に掛け合ってみるか・・・」
 同チーム内でのアリーナ対決は何故か連合アリーナのルールで禁じられており、
 チーム内での順位によって上下させる、と言う奇妙なルールになっている。

 「成る程・・・そう言う事情ですか・・・」
 都市のアリーナ科に掛け合って見ることにした。
 「分かりました、次回、結果を報告しますのでまた来てください」
 ただし期待はしないで下さいね、と一言付け加えて委員会の人間は言った
 「はい、分かりました」


 リグが止めてある駐車場にて。

 「あの、『レイヴン・ノア』さん、ですよね?」
 「え?はい」
 ノアが呼ばれ、それに対して普通に答えるノア。
 「あの、娘と写真、一枚いいですか?」
 「いいですよ」
 「いいそうだぞ、ティア」
 どうやらこの人とこの娘はノアのファンらしい、笑顔でノアが答える。
 娘らしい子供がノアのそばに近づく。
 「はい、じゃあ一枚」
 パシャッというすがすがしさを覚える音とともにフラッシュがたかれる。
 「よかったなぁ、最後にあこがれのノアさんと写真が撮れて」
 娘を抱きながら、この父親は言った。
 「最後?」
 「あ、そうなんです、今度うちの会社が火星フォーミング計画を立案して、家族みんなで行くことに・・・」
 「ああ、そうなんですか、がんばってくださいね」
 「はい、がんばります」
 元気づけられたのか、小気味のいい響きの声が辺りに響いた。


 余談だが、このティアと呼ばれた娘の孫は火星でレイヴンとなる。
 残念ながら事故で記憶を失ってしまうが祖母から聞いたレイヴンの名前だけは覚えていたらしい。
 すなわち、レイヴン・ノアである。
 だがこれは彼等とは関係のない、あくまで余談である。


 家に帰ってから、しばらく談笑した後、メールが届いていることに気付く。
 「これ・・・」
 依頼書らしいが清々しいまでに簡潔である。

『発信者 ラサシティー、依頼料 50000
敵 ACトップ・アタック 作戦領域 連合アリーナ第六戦闘ブロック』

 「・・・何度読んでもこれだけだね」
 「ああ・・そうだな」
 彼は立ち上がった。
 「ジオ、どこへ行く?」
 「決まってんだろ?戦闘区域だよ」
 「こんなあからさまな罠にかかりに行くのか?」
 「確かに罠だろうな、正々堂々やって勝てないから増援付きで俺に勝とうって考えだろう・・・」
 その旨を語った後、それでも、と彼は補足する。
 「行かなきゃ行かないで、もっと複雑な手を使ってくるかもしれないからな」
 だったら早いうちがいい、さらに付け加えた。
 「・・・そうだな・・・行って来い」
 少しだけ不安そうにノアは言った。
 「心配するな、俺は絶対死なないで帰ってくるから」
 そう言って彼は仲間に笑いかけた。

 「デスハウンド起動!」
 『メインシステム、通常モード起動します』
 「よし・・・行くか」
 そして早くも問題に行き当たった彼であった。
 「え?外?しかもアリーナに行きたいって?駄目駄目、もう通行時間は終わってるし・・・」
 「そこを何とか」
 冗談めかして片目をつぶってお願いしてみる。
 そうだった、都市には外に出る時間が設定されていてそれを過ぎると緊急事態をのぞいて外出はできないんだった・・・
 その事を忘れていたのは彼の迂闊なところだろう。
 「依頼なんだよ」
 「へえ?どこからの」
 都市からの、とは言えない、確認されれば一発でばれるようなことは言いたくない。
 「誰にも言わないでくれよ・・・ヴァージュ社の秘密依頼なんだよ」
 大嘘である。
 第一、結構規模が大きいとはいえ所詮はアイザック地方の一企業、
 この辺りに勢力は届いていない。
 まあ、これは結構でかい規模の情報収集組織がなければ分からないはずだし・・・
 名前そのものはクロームの後釜として殆どの人間が知っているはずである。
 そしてその強引な勢力拡大手口も知っているはず。
 そう考えた上での話だ。
 「・・・分かりました許可出しましょう」

 安堵の息と共に
 「第一関門突破・・・」
 彼は小さく呟いた。



 2時間後、ジオはアリーナに到着した、
 『メインシステム、戦闘システム起動』
 俺はシステムを起動させてゆっくりと目標地点、
 アリーナの第六戦闘ブロックに向かう。

 「遅かったな・・・」
 そして・・・俺は敵AC、トップアタック『1機』を発見した。
                                第2話 完


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後書き代わりの座談会

ジオ「ストーリー本格始動!」
ノア「割とっていうかかなり早いね」
ミリアム「でも量はすくなよね」
ジオ「俺の構成力ではこの辺が一回としてはちょうどいいんだ」
ルシード「ところで機体のアセンブルは出しておいた方がいいんじゃないのか?」
カリナ「そうねぇ、少なくとも私達の分は出しておいた方がいいわね」
ジオ「じゃあ作るか・・・でも画像は使わんぞ」
ノア「なんで?」
ルシード「SIMPLE IS BETTERってことだな?」
ジオ「そう言うこと」
ミリアム「重くなるのがいやなの?」
ジオ「その通り、そしてその分テキストに回す」
カリナ「他の人のところは重くても行くくせに」
ジオ「重さ以上にいい物があるからだよ、俺にはそれを作る自信がない」
ノア「じゃあとりあえず次も期待してくれと言うことで」
ミリアム「もともと期待してる人がいるか不明だけど」
カリナ「それは禁句よ」
ジオ「それでは、この辺で座談会打ち切りぃ!」
一同「さよーなら〜」