ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN


第1話   過去




 「うう・・・」
 これは夢だ・・・分かっている・・・
 でもこの苦しさはリアルに自分に伝わってくる・・・

 殺してやる・・・
 「すばらしい・・・これこそ純粋なる殺戮兵器・・・オルフェイル」
 「このサンプルNO5634で一応の成功を見ることになりました」
 「これが予想される戦闘能力の推移です」
 「後は洗脳操作を残すのみですが・・・」
 生まれた明らかな殺意・・・

 ガバッ!
 彼は跳ね起きていた
 ・・・疲れているとき決まってみる夢・・・悪夢・・・
 疲れていても決して完全には眠れない。
 ・・・またあそこに戻るのは嫌だから
 「もう眠れないな」
 まだ朝日の登る時間まで間があった。
 一度大きく深呼吸する。

 ふう・・・少しは落ち着いた・・・コーヒーでも飲んでこよう。
 そう考えながら、彼は部屋を出ていった。



 「認めよう、君の力を、今この瞬間から君はレイヴンだ」
 時折見る昔の夢・・・この言葉を聞くまでの自分・・・

 「死んだ?みんなが」
 「はい、乗っていた列車がレイヴンに襲われて・・・」
 執事を押しのけてニュースを見る、そこにはランカーACらしい全身金色のACが映っていた。
 「繰り返しお伝えします・・・
  本日未明、フランクリンシティーより出発した列車がレイヴンと思われる3機のACに襲われ
  本体が大破、乗っていた乗客、528名のうち515名が死亡、
  3名が行方不明、10名が重傷です。
  また重傷の10名のうち7名がシェルター外の汚染された空気を吸っており、危険な状態が続いており、
  行方不明者についても生存は絶望とされて・・・
 最後まで聞くことはできなかった。
 『レイヴンと思われるAC』
 『全身金色のAC』
 ・・・そいつを殺す
 そしてそのまま家を出た・・・



 「貴様!それでも人間か?同じ血が通ってんのか!?」
 飽きるほどに聞いた言葉、兄さんが死んだと聞いたときから冷えきっていた感情。
 「同じ人間・・・?お前らにとって私は・・・の化け物じゃなかったのか?」
 そして飽きるほど言った言葉、自分に唯一優しくしてくれた兄さんが・・・目の前から消えたあの日から・・・

 「汚らわしい!お前の目!まるで・・・の色だよ!」
 母の言葉、家庭の絆を引き裂いた自分への言葉・・・
 「母さん!もう止めてくれ!」
 唯一かばってくれた・・・存在・・・は・・・もう・・・

 「夢・・・よかった」
 もう戻りたくなかった、例え・・・夢でも
 「起きよう・・・」
 あの夢は見たくない・・・できれば・・・もう二度と



 「死なないで!」
 あの時死に行く仲間に言った言葉
 「一緒に未来に進もう」
 生きることに絶望した仲間に言った言葉
 私も最初は絶望していた、全てに・・・
 だから笑った、何があっても笑っていた・・・

 「お父さん・・・お母さん・・・どこ?」
 都会と言う密林にいる子供の自分・・・
 「みんな・・・どうして私の周りからいなくなるの?」
 全てから孤立した自分、自分が消えてゆくのを感じた。



 「お兄ちゃあああん!助けて!」
 助けられなかった自分の妹、止められなかった自分、生きているのか分からない妹・・・
 誰かが自分を助けた?自分が全てを壊した?

 「シスター・・・ルシードが怖いの」
 「どうして?」
 「だって・・・全然笑わないんだもん」
 修道院にいた自分のこと・・・自己のない自分、全てを信じない自分。
 「ねぇ・・・神の存在・・・信じる?」
 「神が例えいたとしても・・・無力ですよ」
 「そう・・・ね、最も怖いのは・・・ヒトの形をした生き物だから」

 だから俺は銃を手にした、『いつでも自分のこめかみを撃ち抜けるサイズ』の『力』を。

 どこかにいる俺の片割れ・・・君は今どうしている・・・?




 時折、彼等はこんな夢を見る・・・
 過去の自分の夢・・・
 そして未来の夢を・・・
第1話 完


第2話へ

プロローグへ

戻る


後書き代わりの座談会

ノア「おい、これほとんどプロローグじゃん」
ジオ「伏線だと理解してくれい」
カリナ「伏線だけ?」
ミリアム「ていうかもろにね」
ルシード「過去が強烈すぎるぞ、みんな」
ジオ「とても当時6歳の台詞とは思えないぜ、ルシード」
ルシード「次に期待しようか」
ジオ「そう言いつつ構えるな!そして撃つな!」
発射音、ドサッという音。
ルシード「設定でそうしただけだからな」
カリナ「次回に期待してください」
ミリアム「それでは〜」