ARMORED CORE BATTLE FIELD OF RAVEN
プロローグ 日常と非日常
ACチーム『ジュピトリス』・・・
現在連合都市において最上級にランクされているACチームである。
チーム結成から現在までアリーナにおいて負けは1つとして無く。
依頼達成率も完全無欠の10割を誇る、
もちろん、トラップミッションは除いてであるが・・・
戦場やアリーナでの彼等の怖さを知る者は数多い・・・
だが・・・彼等の心を知る者は少ない・・・
時代はネスト崩壊より10年後、
レイヴンは自らの腕とアリーナ、
そして仕事斡旋組織、俗に言う「ネストの後釜」によって生きている・・・
ネスト崩壊後の混乱の後、どうにかネストが存在する当時の状態に彼等は戻すことに成功する。
だがそれは同時に悲劇も生むことなった・・・
「ヨーゼフ・エルンスト著 エデンズロード レイヴン達」より
一人分なら充分広く、五人分なら少し狭い、そんな家に『彼等』は住んでいる。
どうして彼等がチームを組むようになったか、と言うとそれは長い話になる。
・・・のでそれは後々語ることにしよう。
「あー!こら!誰だよ?俺が買い置きしといたミルク飲んだのは!」
共同の冷蔵庫の前でやたらと大きな声がしている。
「俺達」
対照的に小さな声が窓際からする。
「お前らか!ルシード!ジオ!」
「ちょっと待て、何で俺まで・・・ってまさか!」
『ジオ』はパソコンのモニターから目を外して向き直る、
向きなおった先には『ルシード』がさっきプリントした「アリーナニュース」を広げ、
件のミルクを飲みながら窓際に座っている。
ちなみにパソコンの側に置いてあるコップには三分の二ぐらいそそがれたミルクがおいてある。
・・・しまった、共犯にされた。
『ノア』がいつも買っておくミルクは1本1リットルの物、
そして彼のコップには少し飲んでしまったがせいぜい200ミリリットルぐらいしか入っていなかった。
つまり残りは彼が飲んだであって・・・
確かに凄いことには凄いが・・・
「はい」
って普通に出すなよ・・・こいつ、ばれるの承知で共犯作ってやがったか・・・
にゃろう・・・あとでトマトジュースにキムチ入れてやる・・・
・・・思ってから気付いたが結構有効そうだな、色同じだし。
などとジオが考えていると家のドアが開いた、三人とも無駄な言い争いを止めて振り向く。
「頼まれた物、買ってきたよ」
「たっだいまー」
玄関には二人の女性、『カリナ』と『ミリアム』が立っていた。
ミリアムは両手に抱えきれない程の荷物を抱えてきている。
カリナはとても大きい物を持っているらしい、後ろに台車を引っ張ってきている。
「はい」
カレールーやら何やらの保存用食料を冷蔵庫に入れた後、
頼んでおいたシステムCDや音楽CDを受け取り、パソコンで中身を見る。
「そう、これこれ、いいねえ」
音楽CDを再生させて、うやむやになっていたミルクを全て飲み干しておく、
「くおら、何飲んでんだよ」
ちょうどノアが振り返った。
最悪のタイミングだった。
「まあいいじゃないの、ほら、ちゃんと買ってあるから」
ミリアムがノアの後ろからミルクの大瓶を取り出す。
「なら、まあ、いいか」
ちょっと納得していないようだが・・・これはいつものことなのでみんなそれほど気にしてはいない。
「で?何買って来たんだ?」
一応聞いてみようと思ったのでそれぞれ聞いてみる。
「俺はとりあえずいつも通りミルクと・・・あとはAC用の潤滑油一式を頼んだけど?」
ノアはそう言って早速瓶を開け、ミルクを飲み始めた。
「俺は・・・何だっけ?」
「ああ、まだ渡してなかったわね・・・はい」
妙に生活用品が多いルシードである。
そしてそれを忘れるルシード・・・それを渡すのを忘れるカリナ。
どっちもどっちである。
「私は・・・これね」
ミリアムは袋をいくつも取り出す。
「何?それ」
それは透明で一個の大きさはだいたい人間の指三本分ぐらいの大きさそれが・・・15袋にもなる。
それは彼等が今まで見たことのない代物であった。
これはいわゆる流行物と言うやつだろうか?
さすがにそんなわけないが・・・
などと考えていると。
「これは弾丸の貫通力アップのための工業用ダイヤモンドよ、弾の先端に付けるんだって」
あっさり言ったが問題が一つある、それも重大な。
「誰が?」
ルシードが言った、どうやらルシードは気付いたらしい。
「え?」
「誰が付けるんだ?それを一つ一つ手間をかけて」
ジオがそれを補足する
「あ・・・」
はあ・・・我が妹ながらなっさけない・・・それくらい考えろよ。
ジオが頭を抱えてうずくまる、今更ながら妹のアタマの中身が心配になったらしい。
「そもそもマシンガンの弾に取り付けてたら大きさの関係でジャム(弾詰まり)を起こすんじゃないのか?」
と、言うことも考えていなかったらしい事は彼女の表情でわかる。
「とりあえずそれは置いとけ、カリナは?」
視線を移して聞くジオ。
「私は・・・あれ」
言って玄関の端においてある凄まじく大きな袋を指さした。
「人間用のバズーカ10本」
ぶっ!
カリナ以外の4人が飲んでいたものをコップの中や床に吹き出す。
マットが敷いてあったら掃除が大変だったが幸いこのフロアには何も敷かれていない。
それから・・・
十五秒ほどして、とりあえず落ち着く。
ちなみに彼等は戦場でもこれほどまでに次の行動をどうしようか悩んだことはない。
「おまえなぁ・・・」
「一人二本よ」
そうじゃねえええええええええええええええええええええええええええええええ!
ジオは叫びそうになったのを必死で堪えた。
「どこの世界にバズーカ二本同時に構えた人間がいるんだ!
いや、いるかもしれんがせいぜい小型の軽量バズーカだろうがああああああ!」
叫びたくてピクピクしながら
「あの袋の大きさからして大きさは約1,5メートル、重量約30キログラム」
などと冷静にスペックを読んだ。
「安心して、護身用だから」
「護身用でバズーカ持ち歩くなああああああああ!」
カリナの背中に飛び蹴りを入れるノア!妹とはいえ容赦なし!である。
「なによー!」
「どこのどいつが街歩くときにバズーカなんか持ち歩くか!あっという間にガードの世話になるわ!」
その意見には誰しもも賛成だろう、拳銃を持ち歩く分にはいくらでも隠しようがある、
が、バズーカは隠せないだろう。
「ガードなんか吹き飛ばしてやんなさい!対AC用だから」
いかん・・・こいつに人間用兵器の買い付けなんかさせるんじゃなかった・・・
いくらレイヴンが誰かから狙われる可能性があるとはいえ・・・
ああ・・・させるんじゃなかった・・・
ジオは後悔していた。
それも相当に。
だが一応リーダーとしての義務は忘れていない。
「はい、ストップ、そこまで!」
俺はまだ殴り合いに達していない二人の向こう、ダーツ板に向けていつも持ち歩いているナイフを放つ。
二人の動きか止まったのを確認して二人の間に割ってはいる。
「ストップだ」
「・・・わかった」
少し迷ってからだが二人は争いを止める、
何でまたバズーカのことでここまで争うのだろう?
確かに結構な値段だろうがバズーカ(を買ってこいとは言ってないけど)の金だしたのは彼なのだ。
・・・ふう、まあ、いいか。
ジオは早々に決断を下す。
「メシ、できたぞ」
いつの間に作ったかは不明だがルシードが夕飯を作っていた。
「とりあえず、メシを食って落ち着け」
そう言って彼は二人に笑いかけた。
「緊急通信、応答しろ」
「何だ?」
メシを食おうとしたまさにその時、通信が入った。
「どうした?ラグ」
とりあえず、とジオが応答する、他のメンツは食べ始めたようだ。
だが表情に、さっきまでのふざけた感じは無い。
「依頼だ」
その言葉に全員が反応する、夕飯を食べる手も止まった。
「それもお前らを指定してだ、運の悪いことに三つ、ほぼ同時にだ」
「敵戦力と展開場所は?」
「今、送る、悪いが分散して出動してもらいたい」
彼の端末に受信完了のメッセージが入る、確認して・・・
「もう既に移送用リグはそちらに手配してある」
この状況では断る、とは言えまい。
「・・・了解・・・」
限りなく気が重い、だが仕方ないか、との断を下す。
「ルシード、カリナ、二人は今から郊外にあるF−18ポイントに向かってくれ、
ここはシティー建造当初からある工場がある、そこにいる敵兵力を全滅させてくれ」
「了解」
「わかったわ」
いい返事を返す。
「ノア、ミリアム、二人はACの気密性を確認の上でシティーの外部に向かってくれ、
既にシティーから外部出撃許可は出ている、
今現在シティーガードが交戦中らしいが急いでほしいそうだ」
「りょーかい」
「はーい」
対照的に返事がよくない・・・だが気にしてる時間はない。
「俺はどこへ?」
ジオが聞く。
「エアクリーナー、謎の攻撃部隊が接近中だそうだ」
「相手の詳細戦力は?」
ノアが聞いた、当然のことか。
「詳しいデータはここに入れておいた、行く途中で読んでくれ」
言ってデータを送信する。
「オッケ」
「じゃ、行くぞ!」
日常から非日常へと、彼等は向かった。
プロローグ 完
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後書き代わりの座談会
ジオ「始まったねぇ・・・」
ノア「いきなり弱気だけど、どうしたの?」
ジオ「いや、だってタグだのなんだのの設定がえらく時間がかかってこれからどうなることかと」
カリナ「それは自分で始めたんだから自己責任でしょ?」
ルシード「そうだな、ストーリーはこっちでも手伝うから設定とかは自分でやることだ」
ミリアム「うん、その通りね、すっごく更新遅くなりそうだけど」
ジオ「痛いところつくね・・・実際その通りだけど」
ラグ「こんな奴らの拙い話だがこれから宜しく頼む」
一同「宜しくお願いしまーす!」