ガレージシャンソン歌手
山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』 其の九拾四 〜放任主義〜
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今でこそ自他共に認める猫莫迦・有難迷惑なまでの猫っ可愛が
りが得意なガレージシャンソン歌手であるが、その昔は生き物達に随分とひどい仕打ちをしてきた事実がある。
最近では見かけなくなったが、あの頃は縁日で“金魚すくい”ならぬ“亀すくい”というのがあった。もなかの皮でミドリガメをすくうのだ。すくったミドリガ メを私は何匹あの世へ送ったのだろう…。餌やり、水槽の掃除、 世話をするのは文字通り3日坊主。後は放任主義に徹する。母のお叱りも耳に入らない。ミドリガメというおもちゃに飽きてしまった訳だ。ある時弱りきったミ ドリガメを“たまにはお日さまの光にあててあげなくちゃ”と 炎天下の石の上に放置。数時間後ミイラガメラ―が誕生していた。これぞ残酷物語である。まったくもって悔やまれる。 ハムスターというおもちゃにも飽きてしまった。さすがに餌、水は与えていたが、ゲージの掃除をやらなかった。 やがて悪臭を放つようになる。どうにも我慢できなくなると掃除する。冬になればその感覚は長くなる。ある時 従兄妹のハムスターを預かった。気付いた時には数が増えていた。ゲージはますます悪臭を放つ。これぞ拷問である。そのうち奴らは自分でゲージの扉を開けら れるようになり逃走。押し入れの中で腰が抜けて歩けなくなっ ていたハムスターを発見した事もある。まったくもって悔やまれる。 中には放任主義でもたくましく育ったヤツもいる。 カブトムシの幼虫。コイツは買ったまま本当に何もしなかった。土の入ったプラスティックのケースの中にずっと放置。ある日茶色いサナギになってた。ちゃん とカブトムシの形をして。コアイ…。そうしたらそのサナギを 突き破りまだ背中が白い状態のカブトムシが出てきた。ビックリして公園の樹に放してしまった。最後まで放置プレーだ。 トノサマガエルのオタマジャクシ。巨大なオタマジャクシである。やがて足が生えてきてかなりグロテスクな生き物となった。“キモチワリ〜”と庭の池に放 置。2匹いたのだが共にトノサマガエルに成長した。お見事!それから毎年冬が終わるとその姿を庭で見かけた。変な声で鳴いてた。放置プレーが功を奏した訳 である。 ところで私から生まれた楽曲達。放っておいたら育たないだろうか。 怖かったり、気持ち悪かったりすればいいのかな? それならいっぱい生まれてるはずなんだけれどな。なかなか育ってくれないなあ…。 早く楽をさせてほしいものだね。 |
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