ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の拾参
〜薄灯り〜




熱帯夜のカルナバル。
夜の帳が降りる頃、オレンジ色の薄灯りに群がる群衆。
真夏の夜の夢は光と闇の狭間で描き出される。
眩し過ぎちゃ、駄目なんだ。
 
 
夜のディズニーランド。
入り組んだ通りのアドベンチャーランドは霧に煙っている。
つま先なんて見えないのに流れてゆく人の波。
はしゃぐ子供達。
迷子続出。
 
タイの屋台。
裸電球の陰影。
他に類を見ない旨さの焼きそばを頬張りながら、
トラベラー達は夢を見続けている。
足元にまとわりつく、踏まれても動じない野良犬達。
スリ続出。
 
ハイウェイを滑る夜行バス。
消灯前の仄かな車内灯。
ブックライトを頼りに読み耽るSM小説。
タイヤの音がカーヴに吸い込まれてゆく。
妄想続出。
 
 
 
その昔、中村義人(横道坊主)と山田晃士のキャンプサイトは、
それぞれの道具自慢によってコンビニ並に眩しかった。
真夏の夜の夢など見られる訳が無かった。
 
 
眩し過ぎちゃ、駄目なんだ。
 
<<back
next>>