ガレージシャンソン歌手
山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』 其の九拾弐 〜予習不足〜
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二十五年前。
私がその青春を捧げたハードロックバンド『AROUGE』。 練習場所は道玄坂にあるYAMAHA渋谷店であった。 大体週二回位のペースで学校の放課後に練習。 終わる頃にはお腹ペコペコである。 帰り道、よくメンバーで腹ごしらえに寄ったものだ。 吉野家で牛丼を食べていた時の事。
無口そうなオヤジが入って来た。 店員「御注文は何に致しましょう?」
オヤジ「牛丼…。」 店員「並盛ですか大盛ですか?」 オヤジ 「牛丼…。」 店員「並でよろいですか?」 オヤジ「牛…。」 しばらくバンド内では
「御注文は」「牛丼」が挨拶となった。 ケンタッキーでフライドチキンを食べていた時の事。
挙動不審なジジイがヨタヨタと入って来た。 店員「御注文は何に致しましょう?」
ジジイ「鳥…。」 店員「何ピース差し上げましょう?」 ジジイ「トリ…。」 店員「1ピースでよろしいでしょうか?」 ジジイ「サ、サカナ…白身魚……アジ…アジ」 何処から海に向かったのだろうか? しばらくバンド内では
「御注文は」「トリ サカナ アジ」が挨拶となった。 ところで今私はスターバックスで上手にオーダー出来ない。
何事も予習が必要という訳か。
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