ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の八拾六
〜聖書と賛美歌

師走。
忘年会、クリスマス、今年最後のナンタラカンタラ。
何かにつけ催しが多いこの季節。
“別に何も変わんねーじゃん、今日が明日になるだけでさ”
何て思ったりもするアマノジャクな私。

遠い日の思い出。
子供の頃、クリスマスイブには親族一同二十名弱が集合。
祖母が中心となって礼拝を行うのである。
賛美歌を唄い、聖書を読み、祈る。
教会ではなく家で。 山田家はクリスチャンの家系であった。
幼い私も何だか神聖な気持ちになったりした。
ちなみに私自身は現在も洗礼を受けていないのだが。
礼拝が終ってしまえば、食事とケーキ、
大人達は酔っぱらい、子供達ははしゃぎまわる、ありふれたクリスマスパーティー。
今日、そのクリスマスパーティー出席者の内、半分近くは既に雲の上だ。
その家屋も取り壊され残っていない。
全ては遠い日の思い出である。
なのに私の胸には今でもその日の場面がハッキリと焼き付いている。
愉しそうな従姉達の笑顔。
酔っぱらった大人達の赤ら顔。
カタチは無くなってしまっても、ココロに残るモノは確かに、ある。

師走のイベントも悪くない、のかもな。


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