ガレージシャンソン歌手山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の八

〜N県Oダム、戦慄!真夏の野外イベント〜
 

紳士淑女の皆様、御機嫌麗しゅう。
いよいよ夏本番!全国各地、様々なイベントが行われるこの季節、野外LIVEも数多い。

その昔、まだ十代の私が現XYZtoAの橘高文彦とやっていた重鋼鉄楽団『AROUGE』も一度夏の野外イベントに出演した経験がある。
N県はOダムのお祭りで、花火も数千発、LIVE観客も二千人強、とにかく盛上がり必至
のイベントとの触れ込みだったので、心よく出演依頼をOKした。
当日我々は楽器をバンに詰め込み、関越自動車道を爆進、その先更に4、5時間は走っただろうか?
とにかく遠い、遠すぎる。
トンネルを十数個くぐり抜け辿り着いたその場所は、山々に囲ま
れた、まるでモンゴルのような所であった...。う〜ん不安...。
そして夜になりいざ本番!我々はメークもバッチリ決め、9cmヒールのブーツとヒラヒラの王子様衣装を身に纏い、颯爽とステージに上がった。
すると目の前には!
観客はおよそ二十人、みんな地面にゴザを敷いて胡座をかいている。
おじいちゃんおばあちゃん、そして走り回る子供達、僅かながら村の青年団らしき姿も...。え〜い、今更後には引けないわい、やったるで、と私はハイトーンSHOUT! 橘高はライトハンド!
すると青年団の一人、パンチパーマがツイストを躍り出した!
メタルでツイスト、う〜んプログレッシヴ...。

一時間程の悪夢のLIVEが終わったその瞬間、司会者の「ファ、ファイヤ〜!」
と共に10m程の打上げ花火がヒュルルル〜、ポン。
ツイストパンチの
「まぁた来いよぉ!」
の声を背に我々の夏は暮れていったのであった...。

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