ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の七拾四
〜猫莫迦日記





愛猫MARIE。
彼女もいつの間にやら16歳。
猫としてはかなりの高齢。
立派なおばあちゃんだ。

いつも世話になっている獣医から連絡があり、
横浜市が高齢のペットを表彰してくれるというので、
師走の日曜日の昼間、区役所へ行ってみた。

6階の会議室。
微笑ましいスタッフ&飼い主さん達がおよそ30名程。

1人づつ順に表彰されてゆく。
やがて”MARIEちゃんの飼い主の山田晃士さん、どうぞ前へ”
あたたかな拍手の中、表彰状と盾を受け取る。
いやはや何とも、面映い。
私の舞台からは程遠い世界だ。
不覚にも嬉しさを隠せない自分。

間もなく表彰式が終了、
さて帰ろうかと思った矢先!
”は〜い、ではこれから福祉施設を動物達と一緒に慰問するボランティアの勉強会を始めま〜す”と笑顔のおねいさん。
成程…狙いは其処か。
私は嵌められたという訳か。
話の内容うんぬん以前に、
何故勉強会の事を知らせていないのか、それが問題である。

その昔従兄弟に昼飯を奢るからと呼び出され、
食事の後、マルチ商法の説明会に連れて行かれた事を思い出した。

私は甘かった。
真の狙いを見抜かなければ。
浮き世を儚む暇等無いのだ。

それでも私の部屋の壁にはMARIE宛の表彰状が飾られている。
生っ粋の猫莫迦である。

 


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