ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の七拾弐
〜天国と地獄





ガレージシャンソン歌手、遂に登山デビュー!!!
今まで数々のドタキャンを繰り返し、呆れられた私だが、
満を持して泥沼山岳部<Drロジャー高橋、Tp渡辺隆雄>に入部。
神無月中旬、登山を敢行した。
北八ヶ岳は西天狗岳・東天狗岳に登って来た。
しかも黒百合ヒュッテに一泊と本格的な山行である。
大丈夫か?自分。
さて当日は雲一つない快晴。
メンバー曰く“山の神様が味方している”との事。
お調子に乗った私は“楽勝〜”と意気揚々に歩き出すも束の間、
一時間もしない内に動悸・息切れを訴え、早くも『挫折』の文字が頭をよぎる。
だがしかしもう戻れない。だって皆行っちゃうんだもん。
美しい毒キノコやびっしりと覆った苔に励まされ、
登る、登る、登り続ける、滑る、転ぶ、又登る。
嗚呼、呼吸がままならん。
手足の指先が痺れて来た。
これは軽い酸欠だなぁ…。
それでも登る、登る、登り続ける。
正に“ぢごくのくるしみ”であった。
ぢごくをくぐり抜けやっとの思いで頂上に到達。
そこで私が見た景色とは…!
下界とは次元が違う、
そこに己が立っている事が信じられぬ程の壮大さ、美しさ。
一体ここはドコ?一体これはナニ?
眼下に広がる雲海。 神々しく連なる山々。
見つけたぞ、何を?永遠を。
正に“あの世”であった。
そう、私は一日にして天国と地獄を味わったのであった。
これぞROCK…。
その晩は貸しきり状態の山小屋で泥酔し、満天の星空で流星群に包まれ、
その日卸したばかりの羽毛布団で眠った。
帰り道はカモシカちゃん達に遭遇。
また近い内に“ぢごく”と“あの世”を体験したいと願いつつ下山。
山の神様に感謝致します。

アーメン。
泥沼山岳部万歳!!!

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