ガレージシャンソン歌手 山田晃士の
『嗚呼、泥沼回顧録』
其の六拾弐
抑揚



私が幼かった70年代初期。
コンビニ が無かった。
ファミレ スが無かった。
キャッ シュサービスが無かった。
レンタル ビデオが無かった。
ドンキ ホーテが無かった。
PCが無 かった。
TVゲー ムが無かった。
携帯電話 が無かった。
メールが 無かった。

大晦日迄 に色々な準備に追われた。
元旦にな れば街中が眠ってしまうから。
新年を迎 えこの時ばかりは一家団欒。
こたつで 雑煮、おせち。
私の大好 きな栗きんとん。
大人達は 酔っぱらい 、子供達ははしゃいだ。
かるた、 凧上げ、独楽、夜はテレビ。
しまい にゃ飽きて来る。
だがしか し他にやる事が無い。
それが正 月だった。

二〇〇七 年。
正月気分 なんてモノは何処にも見当たらない。
大晦日か ら元旦になっても、暮らしは何一つ変わらない。
”歳末大 売り出し”が”新春大売り出し”に変わるくらいだ。
不便なん て何処にも見当たらない。

さて、特 に関係無いのだが、
今年私は 自分の歌唱表現に
更なる” 抑揚”をつけたいと思う。
呆れる程 に。嫌と言う程に。
覚悟した まえ。

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